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~大会~

クィン王国滞在六日目。

街は武器屋組合の不正会計摘発で騒ぎになっていた。


その事もあってか武器屋の店主達は組合に確認に追われている。

やったのはもちろん言うまでもない。


「なんとか上手くいきましたね。」

「相変わらずやってくれるよな、その凄腕は。」


カリーユも認めるしかなかった。

その情報収集力は仲間達は誰もが認めている。


しかし今回の一件で次期国王を決める武術大会に影響が出そうだ。

セファーナもそれを懸念しているが、今は特に支障はないと考える。


すると例の武器屋の店主に出会う。

どうやら彼も確認に追われていたようだ。


「あんたは…、まさかこの国でもやられるなんてな。」

「そうですね、黒羽の使者、世界でその腕を振るう執行者です。」


セファーナは何食わぬ顔でそれを話す。

その顔は表情すら変えていない。


「とはいえこの様子だと国王決定の武術大会も一ヶ月ぐらい延期かね。」

「たった一ヶ月しか延期しないんですか?」


その帰期間の短さにセファーナは驚いていた。

店主はその短さについても教えてくれる。


「まあその癒着してた奴は追放だが、やる事も少ないからな。」

「ふーん、なんか意外だな、もっとかかると思ってたのに。」


カリーユも意外そうに言う。

店主は長年この国で武器屋をやっているので、詳しいのも当然だろう。


店主は自分の店の武器も大会で使ってもらえる、それが名誉だと話す。

武器屋も防具屋もそうだが、大会で戦士に使ってもらえる事は最大の名誉らしい。


「うちもそこそこいい武器は揃えてるからな、選ばれたらそれは名誉だよ。」

「そういえばこの国の国王決定の大会って、武器屋と防具屋も関係してるんですか?」


セファーナは率直に疑問をぶつける。

店主はその栄誉についても話してくれた。


「まあな、国王に選ばれた人間の使ってた装備なんて名誉なもんだよ。」

「なるほどな、つまり武器屋と防具屋の宣伝にもなるっていう事か。」


そう、この国の国王に選ばれた者の使っていた装備を提供した店には名誉なのだ。

客を一気にかっさらう絶好の機会でもあるのが国王決定の大会でもある。


この国のシステムには感心しているセファーナ。

カリーユも上手く出来ていると感心していた。


「おっと、もう行かないとな、あんた達もボサッとしてるなよ、それじゃな。」


そう言って店主は去っていった。


「それにしてもこの国のシステムは面白いですね。」

「そうだな、戦士の国で武器と防具の店がしのぎを削る、面白いな。」


二人はそんなこの国の独自の仕組みに改めて敬意を払う。

そうして二人はその場をあとにして飛空艇に戻っていく。


飛空艇に戻るとシスシェナが出迎えてくれる。


「お、お帰り、その様子だと成功みたいね。」

「はい、滞りなく成功ですよ。」


シスシェナもその様子には毎度ながら感心させられる。

それはそうとシスシェナは次の目的地について尋ねる。


「次ですか…ならワイマール王国に行こうと思います。」

「ワイマール…またずいぶんな国を選んだわね。」


ワイマール国は大国だ、仕事としても大仕事になるだろう。

それでも行くと決めている以上決定である。


「分かった、なら準備しとくわね。」


そう言ってシスシェナは部屋に戻っていく。

セファーナも部屋に戻り次の国についてのリサーチだ。


「あら、カリーユだけかしら?」

「なんだ、戻ったのか、相変わらずいいタイミングだな。」


レイネが戻ってきた。

手には食材が抱えられている。


クィン王国は食材屋はあるのだが規模は小さい。

店のほとんどが武器屋と防具屋、他の店はあるものの小規模だ。


そもそもこの国は民の多くは別の街に住んでいる。

王都は民も住んでいるものの、国としては珍しく少ないのだ。


基本的には王都は戦士達が集う武術の都である。

その関係もあり国民の総人口が世界でも少なめになっていた。


他国から一攫千金を求める戦士達も集まるからだ。

国王決定の大会の他にも、武術大会も頻繁に開かれるのが影響しているのだろう。


「まあそれだけあれば飯には足りるな、世話をかけてすまない。」

「いいのよ、私も少しでも役に立ちたいだけだから。」


レイネは笑顔で答える。

堕ちた聖職者ながらその信仰心は失われていないようだ。


「それじゃ私はこれをキッチンに持っていくわね。」


そう言ってレイネはキッチンに行ってしまった。

カリーユも部屋に戻り勉強に励む。


セファーナは部屋でフェラナと一緒に次のリサーチだ。


「さて、次はワイマール王国ですね。」

「また大きな国を選んだね、あの国は簡単にはいかないよ。」


それは承知の上での選択だった。

一度は大国での仕事も成功させたい、そう思っていた。


だからこそ難関だと知りつつも選択したのである。


「あたしはどこだろうとついていくよ、それがあたしの恩返しだ。」

「はい、感謝します。」


そうして覚悟は決まった。

そうして日は暮れていき、次の国への出発になる。


次の仕事は一つのターニングポイントになる事を予感させるのである…。

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