~再出発~
再出発をして最初の国、ジーベル王国にやってきていた。
とりあえずこの国のターゲットを探す事に。
資金稼ぎはレイネが引き受けてくれるので仕事に専念出来る。
セファーナはカリーユと共に情報を集めに向かう。
街を歩いていると屈強な戦士達が目立つ事に気づく。
この国は傭兵を産業としている事を思い出した。
「凄いですね、どこも強そうな戦士ばかりです。」
「本当だな、傭兵を産業としてるって本当なのか。」
すると一人の青年が話しかけてきた。
「そこのお嬢さん、見ない顔だね、この国は初めてかな?」
どうやらこの国の傭兵の一人のようだ。
「ええ、あなたはこの国の傭兵ですよね?」
「そうだよ、周囲の奴らと違って細くて驚いたかな?」
確かに傭兵にしては体が細い。
その理由は簡単だった。
「傭兵って言っても様々なんだよ、僕は魔道士だからね。」
つまりこの国の傭兵は戦士だけではないという事だ。
狙撃手や魔道士、さらには僧侶までもが傭兵として働いているらしい。
「魔道士だからそんな細身なんですか、納得しました。」
「うん、それで君達はどうしてこの国に?傭兵として働きたいってわけじゃないよね。」
その質問にセファーナは上手くはぐらかして答える。
「えっと、世界を旅してて、それで立ち寄ったんです。」
魔道士の青年はその話に興味津々だった。
「へぇ、僕なんか新米の傭兵だから君達が羨ましいよ。」
どうやら新米だったようだ。
彼に志願した理由を尋ねてみる。
「傭兵になった理由?稼ぎがいいからだよ、危険なだけにね。」
どうやらこの国の傭兵は危険なだけあって報酬も高いらしい。
危険を承知で志願する新米の傭兵が多い理由だろう。
「でも最近は賃金が落ちてるんだよね、噂だと国の方で天引きしてるらしいよ。」
セファーナはその話について詳しく尋ねる。
「僕も詳しいわけじゃないけど、国の傭兵組織を管轄するトップが変わってからとか。」
セファーナはその情報に興味を持った。
今回のターゲットは恐らくその人物になるだろう。
「それでその組織は過去になにかやったりしてるんですか?」
「過去に?うーん、今までは悪い噂は聞かないから、その人が来てから…かな。」
セファーナは確信する。
そして今回のターゲットはその傭兵組織を管轄するトップに決まった。
「分かりました、変な事を訊いてしまってすみません。」
「気にしなくていいよ、それじゃ僕はもう行くね。」
そうして魔道士の青年は去っていった。
「さて、国の傭兵組織を管轄するトップですか。」
「恐らく護衛も今までとは比べ物にならないだろうな。」
カリーユの言葉は的を射ていた。
傭兵を管轄するのであれば護衛を多くつけるのは当然だろう。
ならば護衛をどうやって封じ込めるか、それを考える。
「戦士なら魔法とかも簡単に効くんだよな、対策をされてなければ。」
カリーユの言う事はもっともだった。
とはいえそんな簡単に事が運ぶとは思えない。
「とりあえず護衛をなんとかする方法からですね。」
「今からか、まあ好きにやればいい。」
カリーユなりのアドバイスだった。
仕事も覚えたとはいえまだ力技が目立つのは課題である。
とりあえず飛空艇に戻りそのトップについて調べる事に。
「お、戻ったわね、ターゲットは決まった?」
「ええ、あとは情報集めですね。」
今の時点では情報が足りない。
明日以降はそれを徹底的に洗う事になる。
「なら思う存分やりな、今まで以上に集中出来るんだからさ。」
今回からは資金稼ぎはレイネがやってくれる。
セファーナはその分情報集めに集中出来るのだ。
「そうですね、とりあえず簡単な情報の整理をしておきます。」
そう言ってセファーナはフェラナの部屋に向かう。
カリーユは少しでも勉強すべく今までの仕事を今一度振り返ってみる事にした。
「あら、その様子だと仕事は決まったみたいね。」
ちょうどいいタイミングでレイネが帰ってくる。
レイネも資金稼ぎの仕事を見つけたようだ。
「そっちは仕事は見つかったみたいね、なら安心だわ。」
「ええ、少しハードだけどやりがいはあるわ。」
そうして仕事の確認なども済ませ本来の仕事に向けて本腰を入れる。
セファーナはフェラナと一緒に情報を整理していた。
「今分かっているのはこれぐらいですね。」
「ふむ、黒で間違いないとは思うけど、確実に押さえるにはまだ足りないね。」
フェラナは慎重派だが確実に攻められるだけの頭脳がある。
今までも彼女の力に助けられてきたのだ。
「とりあえずもう少し集めてきて、話はそれからだよ。」
フェラナは確実に押さえるまではゴーサインは出さない。
それは過去にやったとき以上に頼もしい仲間でもあった。
そうして今日はこれで切り上げ休む事に。
食事を済ませた後明日以降の仕事の確認をする。
確認を終えたらあとは仕事を始めるのみである。
今まで以上に仕事に力が入る。
物語の終わりはまだずっと先の話である。




