~帰国~
ミューア王国での仕事が終わりエルミナス王国へ向かう。
国内は新生グラマン軍があちこちに監視の目を光らせる。
だが情報では無益な殺生をしていないとも聞いている。
つまりかつての仲間達や家族は生きている可能性もある。
それを信じてエルミナス王国の端に到着する一行。
ここからはカリーユとの行動になる。
飛空艇は何かあったときのために上空で待機してもらう。
「さて、ここからはあんたとカリーユだけよ、いいわね。」
「はい、では行ってきます、撃ち落とされないように。」
「セファーナは僕が守ってやる、安心しておけ。」
そう言ってセファーナとカリーユはエルミナス王国内へと歩を進める。
そのままシスシェナは飛空艇を上空へと移動させる。
すると早速新生グラマン軍の兵の姿を見つける。
「どうします?力で突破しますか?」
「言われまでもないだろ、行くぞ!」
そうして茂みを飛び出す二人、そのまま兵士を気絶させる。
だがそれによって遠くの兵士も気づき援軍を呼びに逃げられてしまった。
「さて、援軍がきますか、どうします?」
「決まってるだろ、正面突破だ!」
そう言って二人は最初の目的地である王都エルミナスへ向かう。
だがその前に大勢の増援部隊が立ち塞がる。
セファーナは今まで使わなかった力を使う事を決める。
「相手はたったの二人だ!全軍かかれ!」
その号令と共に大群が二人に迫る。
そしてそのわずかな間にセファーナは剣の柄を指で弾いた。
それと同時に兵士達が全員その場に突然倒れ込む。
それを見ていた敵の指揮官は驚嘆の表情を浮かべ顔面蒼白になる。
「大人しくここを通しなさい、そうすれば命までは取りません。」
「ふ、ふざけるなぁっ!!我ら新生グラマン軍は…こんなところで退かぬ!」
ヤケになり向かってくる指揮官。
セファーナが動く前にカリーユが一瞬のうちに指揮官を気絶させる。
「これでいいんだろ?あとあんたも力を持ってるのはいいけど無駄撃ち禁止な。」
カリーユなりの配慮なのだと思った。
そのまま王都の内部へと突入する二人。
だが王都の中には外以上に多くの兵が配置されていた。
当然のように正面突破なので即座に見つかる。
だが二人の剣の前に次々と兵士達がその場に伏せていく。
そのまま二人は王城へと向かう。
「敵だ!全軍突撃!」
次々と襲いくる兵達。
王都だけあり相当数の兵が配置されているのは確かのようだ。
「邪魔です、散れ!」
剣の柄を弾き兵士達をその場に伏せていく。
そのまま二人は王城へと突入する。
囚われているとしたらどこか、まずは女王を探すべく上へと向かう。
女王の部屋の前の守りは堅い、だが数は少ないので一気に押し切ってしまう。
そのまま女王の部屋の扉を開ける二人。
「陛下!ご無事ですか!」
「あなたは…セファーナ!なぜここに!」
女王は部屋に監禁されていたものの怪我などはしていないようだった。
「他の皆さんは?陛下のように監禁されているのですか?」
「恐らく騎士団の寮です、彼らはそこに騎士達を押し込めていました。」
居場所を確認すると次はそこへと向かう事にする。
セファーナは女王の護衛をカリーユに任せ一緒に騎士団の寮へ向かう。
その道中のセファーナを見た女王はその姿に驚きを隠せなかったようだ。
騎士団の寮の前の兵を片づけ、中へと踏み込む。
「無事ですか!誰かいたら声を上げてください!」
するとそこに現れたのはリリーシェだった。
「お前は…セファーナか!どうしてここに!」
「話はあとです、武器を手に立ち上がってください!国を取り戻すんです!」
その言葉に騎士達は一斉に発起した。
武器を手にした騎士達はそのまま王都へと飛び出していく。
「それにしてもお前が来てくれるとは…この八年それを待っていたのか?」
「私は今までずっとこのときを狙っていました、国を取り戻すこのときを。」
「そうか、ならばお前は敵の総大将を叩け、そいつはアルゴー村だ。」
その情報を信じ次はアルゴー村に戻る事に決める。
リリーシェはそのまま武器を取り王都奪還のために戦場へと飛び出していく。
そんなとき懐かしい声がする。
「無事だったんですね、心配していたんですよ。」
「全くだよ、まさか助けにきてくれるなんて思ってもなかった。」
そこにいたのはゼノンとアーベルだった。
懐かしい二人との再会もほどほどに二人はまた会う事を誓い戦場へと向かう。
セファーナは女王をその場にいたガルザスに託し飛空艇へと戻る。
「あのセファーナが…強くなられましたね、陛下、あとはお任せを。」
「はい、この国のためにもまだ死ねませんから。」
王都奪還は解放した騎士達に任せそのまま二人は飛空艇へと走る。
そして海岸沿いの崖で飛空艇に回収してもらいそのままアルゴー村へと飛ぶ。
だがその心を大きく動かす事になるのはもう少し先の話。
暁は確実に月の陰に隠れ始めているのだから。
 




