~王都~
船に揺られる事二日、王都へと降り立つセファーナ。
偶然一緒になったビスカスとはここでお別れになる。
「では私は騎士団に向かいます、ビスカスさんもお仕事ですね。」
「うん、私は新たな納入品を受注しなきゃ、セファーナも元気でね。」
そうして二人は別れセファーナは騎士団へと向かう。
流石は王都エルミナス、村とは景色が違う。
景色に見惚れながらも王城にある騎士団本部へ。
その道中で一人の若い男性と出会う。
「あの、すみません。」
「ん?お嬢さんは観光客かな?」
「いえ、今年度の騎士団の新人です。」
そう答えるとその男性は驚いていた。
「あなたもですか、僕も新人騎士になるんですよ。」
それを聞いて胸を撫で下ろすセファーナ。
そして彼に訊く。
「えっと、お名前を聞いてもいいですか?」
「名前かい?僕はゼノン、ゼノン・フラグメントだよ。」
その名前を聞いてどこかで聞いたような気もするが思い出せない。
だが騎士になるという事は信じるに値するだろう。
「私はセファーナ、セファーナ・アルトリオです。」
「ふーん、そうだ、よければ一緒に行かない?」
その言葉にセファーナは首を縦に振った、心強い仲間だと思ったからだ。
「それじゃ騎士団本部へ行こうか。」
そうして二人は城にある騎士団本部へと向かう。
騎士団本部では入隊式へ向けて準備が進められていた。
その光景を見た二人はこれからの騎士としての暮らしに夢を見ていた。
すると一人の中年の騎士が話しかけてきた。
「そこのお二人、入隊式は明後日です、今は立ち入り禁止ですよ。」
二人は合格通知の手紙を見せた、するとその中年騎士は驚いた顔をする。
「ほう、こんな美しく若い娘が騎士に合格するとは、大したものですな。」
その言葉に顔を赤らめるセファーナ、その横でゼノンは微笑んでいた。
「おっと、名乗りが遅れました、自分はエルピス、エルピス・アルスファンレイと申します。」
その自己紹介に二人も名前を名乗る。
「ふむ、セファーナにゼノンですか。」
その後エルピスは少し騎士団について話してくれた。
騎士団には複数の部隊があり入隊後にテストを受け配属が決まるのだそうだ。
魔法部隊、防衛部隊、遊撃部隊、前線部隊、後方支援部隊などがあるとの事。
「入隊式は二日後です、それまでは街の宿をお使いください、合格通知を見せれば優先的に泊まれますので。」
その言葉を受け二人は一旦街の宿に向かう。
宿の受付に通知の手紙を見せると部屋に通してもらえた。
荷物を整理し二日後の入隊式へ向け気合を入れる。
セファーナが廊下に出ると一人の若い男とすれ違う。
彼も見る限り新人騎士になる人のようだ。
「おや、その様子ではあなたも新人騎士のようですね。」
「はい、えっと。あなたは…。」
すると快く名前を教えてくれた。
「私はアーベル・アヴェルトマ、お見知り置きを。」
セファーナも名乗り返す、そして握手を交わした。
「二日後の入隊式、楽しみですね。」
「はい、夢にまで見た騎士になれるんですから。」
その後談笑を交わし一旦別れる事に。
その後街を少し見た後日が暮れていった。
入隊式を目前に控え胸が高鳴っていた。
だが現実の壁は確実に、そして少しずつその姿を見せる事となる。
そうして運命の入隊式が始まろうとしていた…。