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~手口~

バルビーノ議員の逮捕から三ヶ月が経過していた。

相変わらず犯人の捜索は続いているが未だに行方は掴めていない。


騎士達は国内を総動員で捜すが足取りは掴めなかった。

だがこの期間に別の事も起きていた。


何者かのリークにより国内の犯罪者が炙り出されたのだ。

その手口はバルビーノ議員の時と同じ事から、同じ人間の仕業だろう。


それにより一部の騎士達は逮捕の功績で昇級もしていた。

だが情報をリークしたその人間の存在は未だに闇の中だった。


そんな中セファーナは国に功績を認められ中隊長に昇級していた。

同じくアーベルも階級が上がっていた。

リリーシェはそれを祝福したがやはり何かが引っかかる。


「セファーナ、少しいいか。」


リリーシェはセファーナを呼ぶ。

ちなみにリリーシェはセファーナの右腕に任命されていた。


「まさかお前がこの短期間で私よりも上に行くとは、驚いたよ。」

「いえ、私の功績はあくまでも情報をリークした人の手によるものです。」


そう答えるとリリーシェは言葉を続ける。


「今ではその情報を密告する奴は小さなヒーローだ、民の中ではな。」

「そうですね、人知れず悪人を法の裁きに誘う、言わば鎌のように。」


そう、今や名も姿も分からぬその犯人は小さなヒーローだ。

民にとって平和を守ってくれる力になっていた。

だが国もそれに対して不信感を募らせていたのも事実である。


「国は犯罪者が減るのはいいが、やはりこのままでは終われんのだろう。」


そう言うリリーシェに対しセファーナは答える。


「でも裁判になるような大きな逮捕ではないですよね?」

「そうだな、だが国の刑務所もキャパシティがある。」


そう、犯罪者を逮捕した数が多く刑務所のキャパシティはギリギリだった。

だが今は犯罪も激減している。

何者かに情報を掴まれるのを恐れ犯罪をしようとする人などいないのだ。


さらに国外からの工作員なども一掃されていた。

それも同じ手口だった。

情報を国に密告し工作員やスパイを逮捕する、全く同じ手口だ。


もはやこの国に喧嘩を売る事が他国にとっても危険と認識されたのだ。


そんな時ガルザスがセファーナを呼ぶ。

それに対してセファーナはそちらへと移動する。


「なんでしょうか。」


ガルザスは言う、このままではこの国は他国から恐れられてしまうと。

それもそのはず、国内で明確に法を犯した場合の末路があるからだ。


女王もそれを危惧しており他国に説明をしていたのだ。


「それは分かっています、とはいえ戦争になるような事はないですよね。」


それに対してガルザスが口を開く。


「実は隣国のグラマン王国が軍備を拡大しているそうでな。」

「それは国防のためですか?それとも戦争のためですか?」

「今は分からん、だが返事次第では戦争になる可能性もある。」


それは隣国が軍事費を増額させているという話だった。

グラマン王国は強力な騎兵隊で知られる国だ。

歩兵中心のエルミナス王国の騎士では戦いにくい相手でもある。


「もし開戦しようものなら被害は大きくなる、その時は我々も戦わねばならん。」


そう、国の騎士は軍隊として扱われるため戦争では兵士なのだ。

ちなみにエルミナス王国の騎士は今年の新人を含め約8000。

一方のグラマン王国の騎兵隊は約10000と言われている。


当然数では不利な事に加え騎兵隊の強さも知っている。

簡単に勝てる相手ではないのだ。


「今はなんとかなっているが下手に手を打てば宣戦布告とも取られるだろう。」


だがエルミナス王国は交渉などの外交力の高さでも知られる。

簡単には開戦しないだろう、それは確かだと多くの騎士達も知っていた。


「なんにしても万が一に備え戦術を学べ、いいな。」

「分かりました。」


そうして国は緊張感の中今日も平和を保っていた。

だが女王の交渉は今でも続いているのだ。

今現在グラマン王国も戦争推進派と戦争反対派で対立しているという。


運命の歯車が刻むのは開戦か、それとも…。

狂った歯車が刻む運命は静かに動き始める。


そこにあるのは正義か、それとも狂気か…。

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