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―入学式―3 高校生活をenjoyしましょう。

有栖川優花(ありすがわゆうか)っていうの。宜しくね?えっと…吉崎さん?」



私にとっての地獄のHRが終わり、皆が帰り支度を始める中で、真っ先に私の元に駆けてきた主人公こと有栖川さん。


なんでも彼女、私とお友達になりたいらしい。


どうも胡散臭いと思いながらも私も軽く自己紹介をする。


「吉崎遙です。こちらこそ、宜しくね」


「う、うん。あの、遙ちゃんって呼んでもいいかな」


まさかの名前呼びキター!ガチでお近付きになりに来てるじゃん。


なーんて思っても顔に出さない私。


「勿論。でも、いきなり声をかけてきたからビックリしちゃった。何か私に用があったのかなって」


「あ、それなんだけどね!遙ちゃん、もしかしたら椎葉先生の知り合いなのかなって思って」


「え、全く違うけど。どうして?」


どうも有栖川さんが言ってる意味が分からない。

なんで、全く接点がない先生と私が知り合いになるのだろうか。


「だって、先生が学級委員を遙ちゃんに押し付けた時、先生「女子の立候補者がいない」って言ったでしょ?」


しかし次に有栖川さんの言った言葉は、私にとって衝撃的だった。


「でも実際、立候補なんてとってなかったもの。

遙ちゃんは話聞いてなかったから気付かなかっただろうけどね」



「は?」

な、なんだってぇ?


つまり彼女が言いたいことは、実は椎葉先生は立候補なんて取っていなくて、それを知らない私に学級委員を押し付けたらしい。

そして有栖川さんはそのやり取りをみて、私たちを親密な関係だと勘違いしたらしい。


学級委員を押し付けて押し付けられる関係ってどんな関係よ?



それにしてもあの教師、騙しやがったな。

でも私は問い詰めたりしない。

学級委員になったものはしょうがない。

多分、「女子なんてだれも立候補しねーよなー。よし押し付けよう」みたいなノリだったんだ。

きっとそうだ。そうだと信じたい。

だいたい、学級委員を押し付けられたのに裏があるとしたら多分攻略キャラが関わってるだろう。

今更言い返したら生徒会室へレッツゴー!なんてことになりかねん。


私なるべく攻略対象には関わりたくないし。


「ありがとう。有栖川さん。とても有意義な情報を聞かせてもらったわ。言っておくけど、先生と私は赤の他人よ?変な勘ぐりはしないでね」


ホッとした様子の有栖川さん。

さてはあのダメ教師に気があるな?


うふふ。でもまあとりあえず、今日から藁人形もって神社に通いつめよう。

勿論、釘は欠かせないし、毛髪も必要ね。どこで採取しようかな。



「あ、あとね、」


と有栖川さん。まだ聞きたいことがあるらしい。


「もう一人の学級委員の神崎君とはどういう関係かなーって…ずっと遥ちゃんのこと見てたじゃない?」


頬を染めながら目を泳がせる目の前の美少女さん。

ほうほう。さては静に気があるな、って…。


おいおい主人公。気、多すぎやしねえか?




▼▼▼



いつの間にか静が男子の学級委員になってた。


私は心の中で先生に対してずっと罵声と呪いの言葉を吐いていたから全く気付く筈もなく、学級委員が決まりましたよーの拍手で、やっとその事に気が付づくことができた。


さすがに驚いた。

ヤンデレモードでは殺し方が一番非道で冷徹で氷の王子なんて言われていたのだ。

その静がこんな面倒くさい仕事をするなんてどういう心境の変化だと思い静の席を仰ぎ見た。

が、そこには別人がいた。


「宜しくお願いします」

と一言。

たった一言で私を除くクラス中の女子が顔を真っ赤に染めた。

それもその筈。

ニコニコニコニコと微笑みながらいつもより少し高い魅力的な声で言ったのだ。


氷の王子どこいった!ここに微笑みの貴公子が立っているぞ!


つか、本当お前誰だよ!

心の中でそう突っ込んだのも無理はないと思う。





「しーずかちゃん。ねぇ、静ってば」


「………。」


無言。

あれ、なにこの既視感。



学校の帰り道。

有栖川さんとの話が終わるまで待っていてくれた静は私と合流すると、スタスタと私の手を引いて無言で歩いていく。

しかしその歩調は極めてゆっくりで、私に合わせてくれてるんだなとホッコリした気持ちになってしまう。


「静、今日なんでキャラ作ってたのよ?」


わざと咎めるような口調で言うと、静は立ち止まり、振り向いた。

その表情は実に情けないものであり、顔に「え、怒った?遙怒った?」と書いてある。

マジやだこの子可愛い。


「遙が学級委員になんてなるから…」


「つまり、私の事を心配してくれたの?」


そう言うと静は無言で頷いた。

つまり学級委員っぽいキャラを作ってたわけだ。

その結果が微笑みの貴公子…か。ハイスペックが憎い。


「ごめんね。私のせいで、静まで面倒なことに巻き込んだね」


「遙は悪くない。あの教師が全て悪いんだ」


憎々しげなオーラを放つ静。

だから目が据わってるって。


最近目が据わると静がヤンデレになると学習した。


「いや、元は私がよそ見していたからだから…」


でもそれを言ってしまえば静が私をガン見していたところまで遡るだろ?


……もうやめた。今は過ぎた事をアレコレ考えないでこれからのことを考えよう。


目立たないって決意したその日に大変危ないポジションに立ってしまった。


これじゃ、目立たないっていうのは無理かなぁ…。

というかそもそも私、目立つの嫌いじゃないしね。


学級委員かぁ…。

面倒くさそうだし、イベント事なんか忙しそうですっごい嫌だけど。


でもきっと、皆で何かをする時にその中心に立てるというのはきっとすごく楽しいんだろうなぁ。


主人公が撒き散らした死亡フラグの回収も大事だけど、イベントを楽しむのも同じくらい大事だ。


私は前世で楽しめなかった、青春とやらを楽しみたいんだ。


そうだ、私は生まれ変わったんだ。



現世でくらい、幸せになってもいいだろう?


『有栖川優花』

このゲームの世界での主人公。

ハニーブラウンの髪と瞳。髪型はツインテール。

抜群のスタイルで誰がどう見ても美少女である。

しかしゲームと違い、ミーハーな所があり、今の一番のお気に入りは神崎静である。

たまに肉食獣のような目で神崎静を見つめてる。

ギラッギラである。

逃げてー。



次は橙色の髪の人たちのターン!

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