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―入学式―1『入学式が始まりました。』

桜が舞い、多くの木々や花々が活き活きとその葉を生い茂らせている、のは間違いで、

今年は満開どころか、見る影もなく立派な葉桜になり、多くの木々や花々の間にはたくさんの毛虫でいっぱいな今日この日、私が通うことになる鷹山高校の入学式を迎えることとなった。



入学式はこのゲームの世界でいう、一番最初のイベントになる。


しかし不思議なことに、ゲームのスチルでは満開の桜の木の下でこれからの高校生活への期待に胸を弾ませ、頬を染めていた主人公の姿が描かれていたはずなのに、その満開の桜がない。


葉桜の下で美少女が頬を染めていても格好がつかないだろう。


いつからこんなに残念なゲームになったんだ。

つか、そもそもなんでゲームと違うことが起きているんだ?



そんな疑問はさておき、ついに入学式が始まった。




各自自由な席に座って騒いでいた新入生も、この時ばかりは騒ぐのをやめ、静かに校長や、来賓の話に耳を傾けている。

がしかし、その目は様々な方向を向いており、実際話なんて聞いていないのではないのだろう。


その様々な方向の先にある人物たちが、鷹山高校が誇る美形君達であり、主人公の攻略対象でもある。



私からは見えないが、熱い視線を向けられている人の中には主人公もいるのだろう。


何て言ったって美少女である。

モテモテである。



いや、それにしても凄い人気だ。



私の隣に座っている静にも視線がビシバシあたっている。


それも男女問わず、だ。


恐ろしいぞ、静。

お前ついに男まで惑わすようになったのか?

私の心配が遂に現実のものになるのか?


もう一度言っておこう。

恐ろしいぞ、静。






そうこうしている間に私の出番が来ていたらしい。


「新入生代表挨拶。吉崎遙!」


事前の打ち合わせで言われた通り、「はい」と返事をして立ち上がると、視界に入った静が口パクで『がんばれ。』と言ったのが見えて思わず微笑んでしまった。


本当、可愛いなぁ、もう。私の幼馴染みは。


やっぱり、静がヤンデレになるのなんて、見たくないな。うん。

ちなみに既にヤンデレになりかけている点に関してはノーカウントだと考える。


静の応援で気合いの入った私は心の中で誓った。



私、絶対死にたくないので、全力で死亡フラグを回避させていただきます!

ゲームが終わるまでのこの一年、平穏にこの高校生活を乗り切ってみせる!


目指せ!ノー死人!ノーヤンデレ!



でも、その時の私は気付かなかった。


そんな私の決意を知ってか知らずか、楽しそうに口元を歪め、ねめつけるような視線を私に向けていた、橙色の髪をした男子生徒に――。





【豆知識】

『新入生代表挨拶』

入試1位の人が毎回務めることになる。

単純に言うと新入生代表=頭がいいということになるので、生徒会入りは決まったようなものである、ということを吉崎遙は知らない。



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