表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

さいごに

 日本ではもうじき、何かしらの『災厄』が起こるだろう。


 先日、久し振りに旧友と会うためにオリジンへ向かったのだが、いつもとは違った、濁ったような空気に辺りが包まれていたのだ。普段は何処よりも清潔な空気で満たされているオリジンが、だ。

 何処へ行っても汚れていた、むしろ汚されていたような印象をうけた。何者かによって汚された。そう感じられた。


 しかし、旧友に聞いてみると少し違った。汚されたのではないがそうなるであろう、と。

 とある組織の陰謀による『改革』だと言う。しかし、その改革は中途半端に終わり、後にその改革のせいで日本中を巻き込んだ大きな争いが起こるという。


 それを聞いて俺は考えた。


 『首狩り事件』は、その前兆の一つだったのではないか?


 旧友は、ひとつの時代に超能力は一つだけでなければならず、今の時代はそれこそ例外的な時代であった、と言っていた。

 確かにそうだろう。似たような能力がいくつも見受けられた、どころではない。能力の強さは違うが、全く同じ超能力を持った人間が現れた事例がいくつもあった。

 例えば武者と唐木、といったようにだ。


 俺は平気だが、旧友はもうじき殺されるらしい。

 殺される、らしい。

 一体誰に殺されるのか問い詰めたところ、ただ一言、「時代にだ」と答えた。


 時代と共に人は変化して行く。また、世界も変化して行く。

 

 そんな当たり前なことが、とても理不尽に感じられた。

 だが、これも流れの一部なのだ、と。

 旧友は諭すように言った。


 流れには逆らうものじゃない。流れに乗って、逆手に取るものだ。

 流される者は正しき者だが、現実から目を逸らす者。

 流れに逆らうものは現実を己の目で見て、批評できる者だが、しかし正しい者とは言えない。


 流れに乗ったうえで、流れを利用する者。

 それが真の成功者であるという。



 流されているとは気付かない愚かな者が多くだが、しかし気付く者も少なくはない。


 気付いても流され続ける者、気付いて逆らおうとする者、気付いて利用する者。


 そして、気付かずにいる者と、気付かないまま利用している者。



 ここまで説明されたところで、旧友は話すのをやめてしまった。

 具合が悪くなったのだという。

 確かにそうだろう。オリジンの空気が汚れたこと自体が異常なのだ。


 一体何が、いや、誰によって時代がここまで動かされてしまったのか。

 旧友ならば、「なるべくしてなった」と言いそうだが、自然現象では絶対に有り得ない。完璧な機械によって空調が完備されているのだ。

 壊れた、と言うならばそれは人為的な何かが関わっているに違いないのだ。


 ならばそれを突き止めるしかないではないか。


 流れに逆らう者は正しい者ではない、と言われたが、しかし俺はただ見ているだけという事はしたくない。自分の力で原因を突き止め、せめて進行を遅らせたいのだ。


 やるだけ愚かな事だとは分かっている。だが、俺はしなくてはならないのだ。


 日本のためにも、俺自身のためにも。


 せめてもの罪滅ぼしのために……。

 いやー、繋げた繋げた、無理矢理繋げちゃいましたよ。

 因みに、『首狩り事件』の所はものの見事にその場の思いつきです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ