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3日目

 二日目では彼らの死について触れた。

 今回は俺自身の持つ疑問を、できる限り解消しようと思う。


 『眼球破壊』。相手の眼球を破壊する能力で、眼球は爆発するように破壊される。

 おそらく、大前田、大友、唐木、武者は殺されてから、あるいは死んでから頭を破壊されたのだと推測する。そして、破壊したのは卯鷺だ。

 だが、こんなことを言ってしまうと、卯鷺が自分の頭部も破壊したという事になってしまうだろう。彼にそんなことが出来たとは考えられない。

 だが、こう考えてみてはどうだろうか。


 『音遣い』佐賀は名木に殺され(おそらく名木の『音遣い』としての強さは佐賀の遙か上をいっていたのだろう。それならば、名木が佐賀の頭を沸騰させ、頭を爆発させて殺したのが納得いく)、名木と卯鷺は相討ちになった。名木の近くに落ちていた卯鷺の脚は、おそらく名木の注意を一瞬逸らすために卯鷺が自ら投げたのだろう。辛かったに違いない。


 しかし、何故卯鷺は大前田ら四人の頭を破壊したのだろうか。

 それはきっと、卯鷺には大前田を殺した犯人が分かっていたからだろう。犯人が誰だかわからないようにするために、爆発させた。

 大友ら三人の頭を爆発させたのも、これは前述したように名木の注意をそらすためのものだろう。

 大友ら三人と名木の位置から推測するに、彼の『眼球破壊』の射程距離は五メートルが限界、といったところだろう。その射程に佐賀が入っていたのは単なる偶然にすぎない。


 では、何故旧校舎が半壊していたか。これは他の疑問と一緒に考えることで謎が解けた。

 名木と卯鷺達五人の間で何らかの闘争があり、おそらく最上階の四階で争っていたのだろう、そして、名木の『大声』で旧校舎は半壊。卯鷺達五人は一階の床に叩き付けられ、その時に全身を負傷し、大友ら三人は地面に叩き付けられ不幸にも死んでしまったのだろう。大友はおそらく首の骨をやられ、武者は唐木の腕が心臓に突き刺さったことにより、おそらく唐木は大友と同じか、頭から落ちてしまい、そのせいで脳をやられ、死んでしまったのだろう。

 名木は階段を使って下に降りたので、階段近くに倒れていたのだろう。

 すると、落ちた衝撃で折れた右脚を卯鷺は投げたのだろうか。ふむ、ならば不自然に曲がっていたことも分かる。止血をしたのはおそらく佐賀だ。


 旧校舎を破壊したのが名木、つまり、大前田を殺したのも名木という事だろう。ただの喧嘩と見せるために、鈍器を使って殺したのだろうが、どうやって鈍器で殺したのだろうか?喧嘩では敵なしの大前田を殺すことも、ほぼ不可能なはず。

 だが、『音遣い』の強みは、おそらく近距離戦、対象の近くで『音遣い』を使用することで最大限に発揮されるだろう。

 『人遣い』という、禁術ともいえる技がある。

 音を駆使することで相手の動きを自在に操れるという能力だ。おそらくこれで動きを封じ、殴り殺したのだろう。動機はおそらく、日々の暴力に対する復讐。


 短いが、これで俺の検討は終わりだ。

 日常の内の、ふとした怪事件。多くの人々はすぐに忘れ、別の事へ関心が移ってしまうような、そんなどうでもいいような、小さな事件であった。

 しかし、俺は忘れはしない。

 この事件により、少なからずも、人々の運命は変わってしまったのだ。

 超能力に対する世論は一気によくないものへとなってしまった。

 信頼を取り戻すには、長い年月がかかることだろう。

 しかし、諦めてはいけない。『誰もが笑顔で暮らせる世界に』。そんなスローガンと共に超能力は生まれたのだ。それをふいにしてしまっては、我らが父、大喜城尚久の名を汚すことになってしまう。


 俺はこの事件にけりをつけることで、新たな人生を歩もうと考えている。

 最後にまとめをし、この地を去ろうと思う。

 世界には様々な問題が溢れかえっている。俺の超能力も、少なくとも助けにはなるだろう。

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