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二日目

 一日目では七人の犠牲者についてざっと説明した。

 今日は彼らの死について説明しよう。


 最初に殺されたのは大前田だ。彼は一年七組の教室で頭がない状態で発見された。

 次に殺されたのは残りの六人全員。旧校舎の一階で、彼らも頭がない状態で見つかった。

 大前田が午前五時三十二分ごろ。残りの六人が殺されたのは十二時十八分だ。


 死体発見現場の状況。

 大前だが発見された時、大前田の頭部は内側から破裂するような形で破壊されたためか、教室の壁、天井、窓ガラスには大前田の頭蓋骨や血、脳漿で汚れていた。

 しかしこれは主に殺されてしまった名木と卯鷺の証言なので、今となっては真実か虚実か本当の事を聞く術はない。

 ない、が、これは俺の見たままの感想なのだが、どうも血が足りていない。上手く説明出来ないのが歯痒いが、精一杯説明しよう。

 頭を破裂させて殺したのなら、死体周りの血だまりは多かったはずだ。なのに、ほとんど血は出ていなかった。天井や壁もあまり汚れていなかったし、窓でさえ生乾きの血の塊が張り付いたとしか言いようのない、奇妙な血の付き方であった。

 血痕から、血が液体の状態で壁や窓などにかかったという事実が見えてこなかったのだ。

 故に俺は大前田の頭は‘殺された後で’破壊されたと考える。

 つまり、大前田の死因は頭の破壊ではないという事だ。


 残りの六人が発見された時、まだ殺された直後の様で俺達職員が駆けつけた時でも血と肉の臭いが辺りを支配していた。しかも、異常なことに旧校舎が半壊していたのだ。

 半壊した旧校舎の一階に、彼らは倒れていた。


 大友、唐木、武者。この三人は一階の玄関近くに倒れていた。大友は特にこれといった異常は見られなかったが、唐木の右腕が武者の左胸に突き刺さったまま、床に倒れていた。

 誰のものかは分からないが(おそらく彼等三人の内の誰かのものだろう)、十センチ四方ほどの頭蓋骨の破片が彼らの傍に転がっていた。ここまで大きな破片はこれが初めてだし、他になかったので書き留めておこう。

 三人から引きずったような血の跡を残して、五メートルほど離れたところに卯鷺の死体があった。血は彼の右脚の付け根あたりから出た物だろう。

 そう、彼は頭に加え、右脚を一本失っていた。最低限の止血はしてあったので、これは生きている間に、殺される以前に失ったという事だろう。ちなみにこの失った右脚、五メール離れた場所に倒れていた名木の近くに落ちていた。名木が持ち運んだ、というわけでは無いだろう。

 名木は頭がないことを除いて、目立った外傷はない状態で殺されていた。本当に、それ以外、死因となった傷以外に目立った外傷がなかったのだ。

 そして、卯鷺から右手に五メートル離れた場所で倒れていたのが佐賀だ。彼はその場で殺されたようだった。


 さて、ここで俺が感じた違和感を挙げるようしよう。

 大前田は殺されてからしばらく経ってから頭を破壊されたと推測できる。しかし、それ以外の六人はおそらく死んだ直後に、もしくは殺すために頭部を破壊されているように感じられた。

 名木と他の五人。五人は高所から落ちたような傷があるのに対し、名木はそのような傷が見当たらない。

 大友達三人と他の三人。彼等の死亡時刻は、わずか五分程度だが、ずれていた。

 六人の位置関係。なぜ、卯鷺を中心に五メートル程度離れていたのだろうか。

 どのようにして旧校舎は破壊されたのだろうか。四階建ての旧校舎が、どのようにして破壊されたのか。誰かが壊したとしか考えられないが、一体何のためにだろうか。


 次回はこれらの違和感について検討していこうと思う。

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