1日目
俺は反波。名前は名乗らないでおこう。
俺の担任していた七組の生徒が事件のきっかけとなったとして、俺は今回の事件の責任をとるために教師という立場から退いた。『首刈り事件』から半月後の事だ。今は実家へ戻り1人細々と暮らしている。
日記のような形でここに記していこうと思うが、気分によって量も変わってくるだろう。
まあいい。
『首刈り事件』
この事件を語るには、まず7人の生徒を紹介しなければならないと俺は思う。
大前田 大護 オオマエダ ダイゴ
一年七組一番。
性別は男。
超能力は『腕力強化』。腕力を一時的に底上げするものだ。彼は百倍まで引き上げることが出来た。
性格は荒っぽいが、弱い者の味方をするという優しい心の持ち主だ。しかし、同じクラスの名木という女生徒には日常的に暴力を振るっていた。
大友 正也 オオトモ マサヤ
一年五組六番。
性別は男。
超能力は『怪音波』。蝙蝠や海豚と同じ原理で周囲の様子を探れるらしいが、これを応用して消毒などもできるらしい。彼は日常的に発していたそうだ。
臆病な性格だが、やるときはやる、といった感じだ。だが、いい結果はあまり望めない。友人関係は良好だったようだ。
唐木 協助 カラキ キョウスケ
一年三組十二番。
性別は男。
超能力は『念力』。直接触れなくとも物を動かすことが出来る。これは主に救助活動に使われることが多いので重要性が高いのだが、このときは彼を含めて『念力』は二人だけだった。物に触れずに解体したり、組み立てたりと器用であった。
温厚な性格であったが、何かとトラブルを起こしていたりする。
武者 孝一 ムシャ コウイチ
一年三組二十二番。
性別は男。
超能力は彼も『念力』だ。彼は力仕事がよくでき、重いものを動かす際に『念力』を応用して『筋力強化』と似たような事をしていた。
言うなれば、無鉄砲というところがあっただろうか。唐木が人間関係とトラブルなら、武者は彼の無計画さから由来するトラブルばかりであった。
佐賀 一輝 サカ イッキ
一年二組十二番。
性別は男。
超能力は『音遣い』。音を自由に使いこなせ、救助活動にも大変重宝される。のだが、この能力は時に殺人の道具に使われる。数年前に起きた『地下鉄大量殺人事件』は音による人体の支配が原因だ。彼は音を操ることで空気を操り、また、時間はかかるがわずかな振動により零度の水を沸騰させることが出来た。
性格は温厚、というより、あまり人と関わらないでいた。彼の性格が何に由来するものなのかは俺は知らないが、時折彼は何かを隠している様な仕草を見せていた気がした。
卯鷺 ユウキ ウサギ ユウキ
一年七組三番(彼は転校生であった)。
性別は男。
超能力は『眼球破壊』。対象の眼球を破壊するそうだ。実際見るわけにもいかず、わからずじまいだったが、『首刈り事件』をきっかけに俺は彼の能力を理解できた。
性格はこれまた温厚だ。しかし、「僕」という一人称に似合わず、少々荒っぽいところもあったが、このころの生徒会長によれば暴力沙汰は嫌っていたという。
名木 凪咲 ナギ ナギサ
一年七組二番。
性別は女。
超能力は『大声』、であったが俺は『音遣い』と予測する。『大声』はただ単に大きな声を出せる、というモノだが、これは『音遣い』の技術の一部なのだ。音の振動、振幅を操作することで声を大きくする技術が『大声』なのだ。彼女は『大声』を使って何十枚もの窓ガラスを割り、とある小学校の校庭に大穴を開けている。
性格は明るく、いつも笑顔で友人も沢山いたようだが、大前田との仲は微妙なものだった。大前田から受ける暴力に悩んでいたのだろう。
以上が今回の『首刈り事件』の犠牲者となった七人の生徒である。
次回は彼らの死因について紹介したいと思う。