恋を思い出す物語
今日「フラワーショップ 浅井」で働き始めて、初めての休日。
五日間、しっかり基礎を教えてもらい、今日、ようやく休みをもらえた。
私は朝早く起きる生活に、まだ慣れてなくて、休日と言っても、ベットの中で大半を過ごしていた。
「はぁー。立ち仕事は足痛い。んー。動きたくない。」
私は実家住まいで、平日の今日、家には誰もいない。
何かしたくても、誰も何もしてくれないのだ…
足が痛くても、自分で動かなくてはいけない…
当たり前だけど。
「はぁー。何もしてないのに、もう三時か。何か食べようかな」
太りそう…とも思ったけど、甘いものが頭の中に浮かび、痛かったハズの足が軽々と動いた
「あっそうだ、昨日結香さんから、紅茶クッキーとハーブティー貰ったんだ。それ食べよ♪」
私は部屋を出て、キッチンに向かった
二階の自室から、一階のキッチンまでの距離、いつもより少し時間がかかった。
足が痛くて、まともに階段も下りられない…
こんなの、初めて…恥ずかしい!!
これが、10代と20代の違いなのかな?
私、こうやって、一歩一歩オバサンに近付くんだ…
もうちょっと、カッコイイ大人になりたかったよ。
私は、結香さんから貰ったクッキーとハーブティーを手に取り、お皿にクッキーを盛り付け、コップにハーブティを注いだ
何か物足りない気がして、私はリビングに行き新聞のテレビ欄を確認する
「あんまり、面白くないかも…」
ふと、何かを思い出し、私はテレビボード横の棚の扉を開けた
「これ、大好きなドラマのDVD!!これ見ながら食べよう!!」
ちょうど今日のおやつ?と相性が良いドラマのDVDがあるのを思い出し、私はDVDをセットした
『桜色の恋』
物語は高校に通う男女の恋物語で、とても美しい風景が印象的なドラマだった
私はただ、このドラマに出ている俳優さんが当時付き合っていた元彼・大和に似ていた。と言うだけで見ていたけど、物語自体も、私が高校生の時に放送していた事もあり、すごく共感できたのを、覚えている
その後、私はバイトで稼いだお金で『桜色の恋』のDVDを購入した
何度も、何度も見直し、私はドラマのような恋に憧れ、友達には、色々と言われた時もあったけど、私は大和との恋愛はこの『桜色の恋』のような恋になる事を願っていた…
当時の私としては、初めて誰かと付き合う事になった時、純粋に幸せしかないと思っていた。
ドラマのように、何かの物語のように…
ハッピーエンドだと、信じて疑わなかった…
結果は、別れるほうへ転がってしまったけど…。
「由里と和也みたいになりたかったなー」
私はソファーの背もたれに、もたれかかった
もしかして、この主人公、結香さんと拓巳さんでも良いかも。
あっ、でも、結香さんなら、ユリの方が合うかも。
いや、バラの方が似合うかな?
とにかく、華やかな花が似合う…。
色も白とかピンクより、赤の方が似合いそう。
ユリかぁー。そういえば『桜色の恋』でも、ヒロインが「由里」という名前で、桜色の…というタイトルなら、桜という名前でも良かったんじゃないか…?みたいな事、皆と話してたっけ…
「ゆり」と「さくら」か。
どっちの名前でも、ヒロイン役の人にピッタリな名前だから、私はどっちでも良いけどね。
名前か…私は、名前負けしてるかも。
「彩かぁー。覚えやすいってよく言われるけど、ありきたりな名前で、あんまり好きになれないな」
もっとこう、さっきのドラマの主人公みたいに「ゆり」とか「さくら」とか…。
あっでも、私じゃ似合わないかな?
ウーン…やっぱり名前って、結構難しいかも。
イメージとかあるし。その人の一生付きまとうものだし…
そういえば、「結香」って、結香さんにピッタリ
漢字は確か“結う”って書く字に“香る”だっけ。
あれ?でも、読み方は「ゆうか」ではなく「ゆいか」だっけ。
何か理由でもあるのかな?
今度、暇な時に由来とか聞いてみようかな?
「結香」の名前の意味
でも、あんまり聞かない方が良いのかな?
名前の由来なんて聞いて、私、どうするんだろう。
結香さんか…どうしてこんなに気になるのかな?
そうだ、伊奈さんといい、なんで会ったばっかりの人に、ここまで執着するんだろう。
最近の私、ちょっと変かも。