花に囲まれた新芽
私は花屋で働くことが決定した
面接から三日たった日の事、知らない電話番号からの着信に、花屋からの電話だと気付き緊張して、電話に出たのを、覚えている。
初日までは少し間も開いたけど、私を受け入れるための準備期間が欲しいと言われての事だっ
私は不安で一杯だったけど、浅井さんがすべてサポートすると言ってくれて、私はすっかり安心してしまった
「おはようございます」
私は浅井さんに挨拶をすると、浅井さんも笑顔で挨拶してくれた。
いちいち綺麗な人だ…
私は一人、浅井さんを見つめる
「結香、今日から隆世の店で働くっていう子、来たのか?」
「あっ、来てくれたよ、今、紹介する」
ゆいか、たかせ…浅井さんの下の名前と、あの「勿忘草」で働くお兄さんの名前かな?
私が店の入り口で突っ立っていると、浅井さんに名前を呼ばれ、中に入って!と言われた
私は、浅井さんの後ろを付いて、店の中に入っていた
この店は、私が面接した『花屋 勿忘草』とは違う
『花屋 勿忘草』は、最寄駅からは少し離れている。駅は東口から出て、歩いて15分くらいの場所にある
この花屋は『フラワーショップ 浅井』という名前で、駅の西口にある
西口出てすぐの場所にあり、「勿忘草」よりも店舗が狭い
『フラワーショップ 浅井』の方が「勿忘草」よりも古く、こちらが“本店”らしい。
東口しか利用してなかったから、西口も、花屋の存在も、全く知らなかった…
店の内装は「勿忘草」とは違い、店自体は花屋のイメージそのもので、ほかの花屋との違いも分からなかった
「高野さん、紹介するね?フラワーショップ浅井と勿忘草のオーナーであり店長であり、私のお義父さん(おとうさん)でもある、浅井 泰孝さん、そして、泰孝さんの奥さんの良美さん」
「高野さん、よろしく」
「よろしくね?」
「はい。」
「高野さん、次に紹介するのは、泰孝さん、良美さんの息子さんでもあり、私の旦那でもある、浅井 拓巳、そして、私は結香です、よろしくね?」
「はい」
「そして、高野さんと一緒に働く勿忘草の店長・伊奈 隆世」
「よろしくね、高野さん」
…いなさん?というのね、この人。
そう、この人こそ、私が会いたかった人“勿忘草のお兄さん”
「よろしくお願いします」
お兄さんは、にっこりと微笑んでくれた
浅井 泰孝さん
浅井 良美さん
浅井 拓巳さん
浅井 結香さん
伊奈 隆世さん
この五人の中に、私は仲間入りする事になった
新たな出会いの場で、私は暖かい人達にめぐり合え、とっても幸せな気分になった
私は改めて自己紹介をする
「高野 彩です、これからよろしくお願いします。」