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この扉の向こうへ。(お題)

作者: さなぎ

(う……)


目の前には毎朝くぐる教室の扉。

見慣れたはずのそれが今、全く別のもののように思える。


「ふー……」


とりあえず息を吐いてみた。

だがそんなことをしたところで高鳴る胸がおさまるわけでもなく。


(う……どうしよう)


目の前では今だけ重い扉がその口を閉じている。


なんてことはない。いつものように窪みに手をかけて左に引けばいいだけだ。


(ふー……よし)


意を決して顔をあげる。

窪みに手をかけ、ゆっくり一回深呼吸する。


一息に扉を開けて一歩踏み出した。

大好きな彼が待っている、この扉の向こうへ。






















サイドストーリー



(ふー……落ち着け落ち着け)


何度も手を組みなおしながら、チラリと扉へ目を向ける。

昨日寝ずに考えた言葉を何度も頭の中で反芻しながら、ただ彼女がくるのを待つ。


ゆっくりと深呼吸しながら耳をそばだてているとパタパタと足音が聞こえてきた。


(来た!)


チラリと扉を見ると、おそらく彼女のものであろう人影が扉の前に立っているのが見える。

意思とは裏腹に胸の高鳴りはどんどん大きくなっている。


「お、遅くなってごめんね!」


勢いよく扉を開けた彼女は大きな声でそう言った。

走ってきたのだろうか、赤い顔でこちらを見る彼女とバチリと目が合った。


「あ……」


そんな彼女を見て、昨晩の努力もむなしく頭の中が真っ白になった。


「あ、あのね! 話が終わったらね、わたしからも話したいことがあるんだけど!」


扉の前から一歩も動かない彼女がこっちを見ないでそう言った。


「お、おう!」


慌ててそう返して、何故か彼女から目をそらす。


(言え! 言え! 俺!)


うるさい心臓をおさえて、視線を彼女に戻した。

再びバチリと目があったが、もう逸らさない。

勇気を振り絞って、口を開いた。


告白まで、あと少し。

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