24 Wish
「本当に逝ってしまったんだね」
京也の頬に触れる。
白い菊と、蘭、そして白い薔薇。
彼の周りが花で埋められていく。
赤い薔薇はよく持っていたな、そんな事を思い出す。
京也の両親と妹、俺の母と俺。
そして、ルアードの三人。
たったそれだけの参列者よりも多い、大量の供花。
斎場から狭い会場では収まらないから、と広い会場を用意された。
ロンドンを夕方に出て、翌日の昼過ぎに羽田に到着。
一夜明けた今日が告別式だ。
荼毘に付す間、狭い和室で待つ。
何故か皆、落ち着いている。
この数日で気持ちの整理がついたのだろうか。
親族から離れてメンバーのもとへ。
「……冴子さんは?」
「事務所が対応で大忙しだ。駆り出されてるよ」
良介さんから当日の状況を聞いた。
自分にそんな事が出来るかどうか考える。
「京也には敵わないな……」
零れてしまった言葉に、自分で驚く。
三人はふわふわと現実味のない京也の存在が、今でも尾を引いていると言った。
特にこの二年近くはほとんど会っていなかった。
落ち着いて見えるのはそのせいだろう、と。
「アキ、そういえば、ロンドンでいい出会いがあったそうじゃないか」
秀之さんが探るように言ってきた。
「ええ、帰る前に大変な目に遭いましたが。後でゆっくりお話します。……長くなりそうだから」
苦笑い。
「でも、芯が通ったみたいだな」
秀之さんにはそう見えるのだろうか。
「だといいんですが。……憧れてた京也がいなくなって、ええと、少し、途方に暮れてます」
「うん、そうか。憧れてたか。……まったく二人揃って」
ジーンみたいに秀之さんが口の端を片方だけ上げて笑った。
良介さんと竜二さんも俺を見てる。
「もう、迷いませんから」
「絶対だな? 京ちゃんに誓えよ?」
「……はい」
秀之さんの気迫にたじろぐ。
「ははっ、頼りにしてるよ。それからな、敬語はもうやめろよ。なあ?」
「ああ、俺たちは対等だからな」
良介さんが同意する。横で竜二さんが頷く。
「……頑張りま……るよ」
ブフッと三人が吹き出した。
『アキならできると思うんだ。きっと。君なら任せられる。……アキにやってもらいたい』
──うん。京也。俺、改めて君の願いを受け止めるよ。




