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ぶらり日本旅


なんだか暇だったので危険な妖怪っぽく振る舞って、人里近い洞窟に子供をさらって来て、村に帰さないような事をしていた。


けれど取って食うような事はしない。


だって、可愛いもん。


三食しっかりあげて、朝早く起こして身体を動かし、昼はお勉強、夜はぐっすりと眠らせる。時には軽い労働を私と一緒にしたり、と。


来てから三日くらいは泣いていたりするが、みんなの楽しそうな様子を見ると涙もなくなる。


夜の安全は私が受け持っていたり、と不自由はないが村にだけは帰さない。




「みんな、今日は川に魚を捕りに行こう」


「「やったー」」


小さい子は私や、大きい子におぶらせて川へと向かう。


注意する事は村の大人に見付からない事。


「ねぇ陽奈ちゃん、何でよーかいなのに私たちを襲わないの?」


と、最初にさらった女の子、ちぃが聞いてきた。


「強いから。私たち妖怪からは人間は弱い存在なんだよ。でも私は弱い存在を傷付けて悦に浸る事は出来ないの。人間というか、みんなといるのが楽しいから」


「弱いよーかいは襲うって事?」


「うーん、お姉ちゃんよく分からないな……」


強くても人を食べる紫みたいな奴もいるからな……。


「弱いってなんだよ!俺は強いぞ!」


と、男の子、カイが話に割り込んできた。


「うん、カイは強いね」


私のところに来た頃に泣く事もなく、また、夜に珍しく妖怪が来たのを退治していたら教えてくれと言われ、教えたら才能を発揮。


それ以来、カイ以外にも簡単な妖怪退治の方法は教えているが未だカイ程の才は見つからない。


「何てったって、俺はさいきょーだからな!!」


「じゃあお姉ちゃんとやる?」


「いや、陽奈には敵わないって」







魚をたくさんとって洞窟に戻ると何故か紫がいた。


「はーい、久しぶり」


「紫に食べさせる為の人はいないからね」


「ひ、陽奈ちゃん、お友達?」


子供たちが怯えながら私の後ろに下がる。


「妖怪の、ね。紫、帰って」


「あら、せっかく情報を持って来たのに……」


「……何が欲しいの」


紫は等価交換と称して何か貰っていくことが多い。


「何もいらないわ。みんなを村に帰してあげなさい。村が危ないわ。じゃね♪」


紫はスキマに帰って行った。


「みんな、村に帰りたい?」


みんなは首を横に振る。


……困ったな。


「嫌でも帰るよ」









村は特に何もないように見えた。


「子供たちが帰って来たぞー」


村に入ると大人たちが、わんさか。


「おのれ、妖怪め」


と、村長。


「陽奈ちゃんは悪くないよ、父さん」


と、ちぃ。というか村長の子供だったのか……。


「そう……なのか?」


「そう。なんか、友人の妖怪から村が危ないから、って聞いて……」


「あの鬼です」


村長さんが指した先には泥酔したロリ鬼が。


「酒寄越せー、と」


私はとりあえず歩み寄る。


「んぁ?人間?酒は?」


「炒った豆を投げてあげようか?」


「ちょっ……待った待った!それだけは勘弁してよ!!」


いきなり目が覚めたように慌てるロリ鬼。



「あのさ鬼さん、酒飲んでないで私とちょっと手合わせしない?私が負けたら文句は言わないけど勝ったら村から出ていくって事で」


「あの鬼がそんなことを聞いてくれると……」


「いいよ!!」


やべぇ、目がキラキラしてる。








「私の名前は伊吹萃香。見ての通りの鬼さ」


「私は陽奈。今年で何万歳だろ?」


「へー、長生きなんだー。人間じゃないんだね〜」


「そう、妖怪」


「それじゃあ……相手として不足ではないね」


萃香がいきなり拳を私の腹に一発。


反応出来ず、そのままくらって村の外の木々を折りながら飛ばされている。


久しぶりに目茶苦茶痛い。


「痛いな〜。骨折れたりはしてないけど……」


「じゃあもう一発。今度は本気だよ」


目の前に萃香がいた。


ドゴン


地面に私を中心としたクレーターが形成された。


私は諏訪子から教えてもらった神力での回復をする。小匙程度で全快だ。


「今度は私からいこうかな」


私は『天候』を操り雷を萃香に落とす。そのまま威力を上げた拳を……


萃香が霧になった。


「私は『密と疎を操る程度の能力』、密度を操れるのさ」


私は萃香の恐怖の対象である炒った豆を具現して


「おにはーそとー」


霧に投げた。


「痛い、痛いから〜」


霧が萃香に戻った。


「むぅ、反則だろ〜」


「反則なんて定めてないじゃん」


その後、豆を滝の様に萃香に降らせたら倒れた萃香が出て来た。


豆はどうしたか?元々は私の妖力だから消えます。










鬼退治をして、なんか行くあてもないから一回神社に帰ろうと思いたった。


道中、昼は霊力、夜は妖力を出していれば、まず襲われないが……





昼間、


「女の子じゃねぇか、一人で何をしてるのかな〜?」


旅のチンピラに捕まった。


「ヤっちゃおうぜ」


「ヤっちまおうぜ」


私は両腕を掴まれて押し倒された。


「幼子はええの〜」


「だ、黙れ!!」


わざとらしく抵抗する。


「すぐに気持ち良くしてやるかグボァ」


つい、反射的に金的攻撃を……。


「この女郎!!」


私は飛んで回避し、そのまま一言。


「妖怪襲ったら危ないよ、おにーさんたち」


軽く脅した。


泣いて逃げるのを笑いながら見たのはいい思い出です。








夜間、


「貴様が村を襲った妖怪か!?」


「違う違う、妖怪違いだって」


私は即座に否定する。


「けれど妖怪は放っておけぬ。生憎、そんなに強くはないらしいな」


それは私が小妖怪並に抑えているから。


「小さい内に、その芽を摘ませてもらおう!!」


「こんな女の子襲って罪悪感はないんだね……」


私はわざと涙目で訴える。


「それも作戦か!?」


「あ、ばれた?」


「嘗めおって!!」


この退治屋さん、怖いなー。


「だいたい、こんな夜中に女子が裸足とはおかしいだろう?」


ん?裸足?


何年も生きてて今まで裸足だって気がつかなかった。


「うっかりしてた」


「小妖怪め、退治して……」


「いただきま〜す」


いきなり、でっかい妖怪がそいつを食べた。見た目は熊。


ざまぁ。


「おおっ!女子までいるではないか!」


「消えろ」


いらっ、としたから妖力を眼だけ朱くなるくらい開放して殴り飛ばした。









さて、そんな事をしながらも守矢神社に辿りついた。


「おひさー、神奈子」


「あ、ああ。今は本殿に立入禁止だから行くんじゃないよ」


「なんで?」


「諏訪子がオトリコミ中だからさ」


何をしてるんだろう?


私は神奈子の言葉を無視して本殿へと向かった。






「ああぁぁぁー、いいよぉ〜」


聞こえたのは諏訪子の嬌声。


「ナ、ナカでびゅうぅぅってぇ〜」


私は何も聞こえない。

聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞きたくない聞きたくない。


ガラッ


「ふぅ、いい汗か……い……」


「あ……」


諏訪子と目が合い、空気がパーフェクトフリーズ。


「あーうー……」


諏訪子の顔が真っ赤になってゆく。


私は逃げ出した。


後に聞いたが妊娠したと。











さて、それから卑弥呼を見に行ったり、奈良の大仏を見に行ったり、そこで鑑真さんに会ったり、中国から来た人たちを(妖怪として)驚かせたり………etc。


特に大きな事もなく、遊び回っていた。


ここって日本なんだな〜。



とはいっても当時は白米はなく、基本玄米だから……白いのが恋しいよ。


一時期だが仏教が流行った時に漢語の文しかなくて困っていた人が。


基本は簡単なのに。


何年前の記憶か知れないが漢文は読み方を知っていた。


この時代、漢文を読める人は読めない人に指南している為、私も指南役に抜擢された。


何故されたか?


カッコつけようと思って悩んでいる人の後ろから読んだら、私がいる事ではなくて読んだ事を驚かれ、悩んでいた人がお偉方様だったからだ。


まあ、当時上流層にしか読めなかったものを一介の少女が読んで驚かない奴はいないだろうけど。









さらに時が過ぎ、なんか朝廷に偉い僧とかが口を出してきたので都を平安京へ。


これが794年の出来事。


それより半世紀程前に私にとって大きな出来事が訪れた。






ケロちゃん好きの方々まことに申し訳ありませんでした。

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