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日光に当たらないとビタミンが不足する



帰路に付き村も近くなった時、ルーミアが慌てて飛び戻って来た。


「た、大変なのだー!!」


わたわたとして落ち着かないルーミア。


どうやら、ルーミアは村人がいないことを恐怖に感じているようだ。


「村に何かあったの!?」


「そーなのだー!!」


慌てるルーミアを引っつかみ、全速力で村へ向かった。













村がなかった。


あるにはあるが、家々は壊され、人はいなく、残っていたのは死霊と恐怖と何かの力。



たった数時間で村が1つ壊滅した。


私たちの家を除いて。


煤がついてるだけで傷はない。



さて、村人を死に追いやった力の正体を恐怖から読み取るか……。正体がはっきりしてれば使えるようになるんだけどな……。


……ん?

妖力では……ないな……。

霊力でもない。


妖力のまがまがしさと霊力の純粋さを足して半分にしたかのような力だ。ふわふわした曖昧な力。


……使えるようにはなったけど訳の分からないものは使わないのが賢明か……。





近くに同じ力を持った奴がまだいる。


「ルーミア、見付けた!!」


「そーなのかー!?みんなのかたきなのだー!!」


ルーミアは在らぬ方向へ飛び出す。


「違う、こっち」


「あーうー、そーなのか〜」


私はルーミアの首ねっこを掴んで引きずって向かった。














ここか……。


一見、あばら家。けれど材料は恐らく合金。


この(およそ縄文〜弥生であろう)時代にはおかしい金属。この時代には精製なんか出来ない。オーバーテクノロジーもいいところだ。


けれど、硬そうだけど、えーりんのいた頃のよりは脆いはず……。あれはマジで硬かった。


「ルーミア、下がって」


「わかったのだー」


さて、


「威力無げ(略)の8割引!!」


思い切り(?)殴った。


どんがらぐっしゃーん


壊れた。


どうやら合金板の接合部は甘かったらしい。


けれども驚くべきは合金板だ。


傷1つない。


逆に私の手が赤くなった。


「ひーなー、すごいのだー」


「でも、不在みたいだね」


力は残留しているが姿が見えない。


「誰か埋まってるのだー」


ルーミアが誰かを見付けたようだ。


私は上の(あばら家だった)瓦礫をどけて引っ張り出した。


「むきゅ〜」


何!?この紫の可愛い奴!!


「だ、大丈夫!?」


「けほっ、………だ…いじょう……ぶ……」


「よかった……」


「ちょっ……と、待っ……てて……」


何やらぶつくさと呟いたかと思うと足元に幾何学模様が出てきて私たちを囲んだ。


「やっぱり不便ね。これ」


「何が不便かは知らないけど村を襲ったのはあんたでしょ」


私は失礼と感じながらも聞いた。


「あながち間違えてはいないわ。私の使い魔が言う事聞かなかったの」


使い魔……、たまに人間が式神を使い魔とか言ってるな……。本来は魔法の産物なのに。


魔法……?


「ちょっと話変えるけどさ、あんたの使ってるのは魔法?」


「なに?身体から恐ろしい程ほとばしらせている奴が言う事なのかしら?ちなみにさっき使ったのは翻訳魔法。話が通じないのは嫌だもの」


マジで?


「すまなかったわ」


いきなり謝られた。


「あの小悪魔には、ちゃんと罰を与えたわ。命と秤にかけられるほどの」


よく見ると隅っこに小さな悪魔らしい風貌のが一人泣いていた。


「罰って?」


「名前を与えない事よ。悪魔との契約で名前を謎解きにするのがあるのよ。謎が解けたら悪魔は自由。けれど名前を与えなければ……」



「謎も解けないまま使い魔であり続ける、か……」


紫色の(でいいや)は頷く。


「それでもゆるさないのだー」


ルーミアが闇で剣を作り、振り上げる。


「会話の邪魔よ」


突然、地面から生えて来た植物にルーミアは成す術もなく絡め取られる。……ちょっとエロい。


「ぬけられないのだー」


「あれ、何よ」


「妖怪」


私は即答する。


「そう。貴女は?」


「妖怪」


「違うわ。名前は?」


「陽奈」


「パチュリー・ノーリッジよ」


「パチェは何の用で?海の向こうから来たんでしょ?」


「妖怪の血液が欲しいのよ。どうやらここら辺に何億年も生きている妖怪がいるらしいの」


うん、あだ名の事は無視ですか。


と、いうか私じゃないの?


「そんな妖怪知らないかしら?」


・・・。


「知らな……」

「陽奈なのだー」


厄介事に確実に巻き込まれるな……。


「ルーミア?余計な事は言わないの」


私は笑いながらもルーミアに恐怖を向ける。


「ごめんなさい」


ルーミアは泣いて謝った。


けどパチェの興味が完璧に私に向いている。


「貴女なの?」


「いや、違うけど……」


冷や汗がほとばしる……。


「貴女なの?」


「ち、ちが……」


「貴女でしょ?」


疑問から断定に!?


腹を括るか……。



「正解。でも、私の妖力なんてこんなものだから力は貸せないと思うよ」


妖怪退治の男に会った時くらいに抑えている。……まあ、デフォルトだけど。


「そうね……。魔法を知らない様だから色々と教えようと思ったけど、残ね……」

「手を貸そうかな」


「あら、ありがとう」


私、弱いなぁ。













「パチェ、何を作ってるの?」


結局、ルーミアには(やや)力づくで納得させ、パチェを家に住まわせている。


「賢者の石よ」


「すごいの?それ」


「五大元素の木火土金水の陰陽を永久機関として組み込まれた魔法物質の集大成ね。バランス内から溢れた余剰分の力を利用するだけなのに………」


「待って……」


「何?」


「意味わからないです……」


元素?永久機関?余剰分?


「つまり、およそ無限のパワーを得られるのよ」


なにそれチート?


「賢者の石があれば、卑金属を金属に変え、どんな病も治せ、ご飯に振り掛けると美味しくなる、と言われてるわ」


なにそ(ry



こうして賢者の石について延々と語られた。














パチェと一緒にいて数年、パチェは本ばかりにくっつき、家から出ない。


当然、私たちも道連れに。


妖怪な私たちは気まぐれに人を襲いに出てはいたが、それでも外の情報に乏しいには違いなかった。


パチェが来た時には小さかった芽も今や立派な木に育っている。


「ルーミア、あれ取ってちょうだい」


「わかったのだー」


そして、今や私たちはパチェの雑用。いや、悪くないけどさ。魔法を教えて貰ってるから。


けれど流石に閉鎖された状態には飽き飽きしていた。


「ねー、パチェ。暇だから出掛けていい?百年単位で。どちらかと言えば旅に近いけどさ」


「いってらっしゃい。気をつけて」


パチェは私に一瞥もくれずに言葉を放つ。


「ルーミアも行くのだー。陽奈と別れて旅をするのだー」


「いってらっしゃい。気をつけて」


「パチュリー様も素直ではないんですね」


と、小悪魔。


悪魔らしい悪魔の外見から、いつの間にか赤っぽい髪の少女の姿になっているが気にしない。……別に気にしない。

……スタイルがいいからって、背が高いからって、胸があるからって、くびれがはっきりあるからって、外見大人っぽいからって脚が長いからって、……全然気にしない。…………気にしない。



「小悪魔、飯抜き……」


パチェが顔を本で隠しながら呟いた。


「ひぅ……。酷いですよ、パチュリーさまぁ〜」



「じゃあいってくるのだー」


ルーミアは飛び出した。


さて、私も……


「陽奈、待って。これを付けてから行ってちょうだい」


パチェが裾を掴んで引き止める。


渡されたのは薄紫のリボン一枚。


「髪留めにでもして付けてちょうだい」


とりあえず付けてみる。


「魔力を抑えるようにしてあるわ。そんな大きな魔力をばらまかれたら人里がお陀仏よ。この森の植物にみたいになるわ」


ふと、外を見ると花がルーミアを襲っていた。


魔法植物ってやつだ。


ぬるぬるした蔦がルーミアに絡み付いていて凄くエロい。


私も襲われた事がありました。



「それじゃあ、ありがたく頂戴するよ」


私はポニーテールを作ってから


「んじゃ」


「いってらっしゃい」









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