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拝啓 白嶺陽奈様

うん、更新年内無理でした。


時間なかったのよ。




紅魔館でいろいろあって家に戻ると家の戸に何かが挟まっていた。


どうやらそれは紙で何かが書いてある様だ。


「手紙かな?」


私の家には郵便受けなんてないから、これしか手はない。しかし、私に手紙を出す人なんていないはずだ。


人里に関係あれば慧音経由で連絡があるし、妖怪の山なら文が来る。紅魔館なら美鈴やパチェや小悪魔が、他にも直接来るはずだ。


つまり、差出人は私が思いきり忘れているのか、あるいは見知らぬ人物であろう。


とにかく開かないのもどうかと思うので家に入りながら手紙を開いた。


-神無月ノ朔日ニ出雲大社ニテ集ウ


「はい?」


出雲大社って……、それに神無月か……。


しかも何故に片仮名と漢字?


私はたしかに神の力も持ってるけど、後天的なものであって私自身は妖怪だ。なのにこの様な手紙が届くというのは理解し難い。


-追伸、幻想郷の他の神様も出来れば連れて来てくれるといいなー。ちなみに上の文が片仮名なのはノリだから。


ずっこけた。


そんなことはさておき、恐らく差出人はどこかの神様であろう。しかし、手紙に書かれていた内容がいろいろ問題だ。


私は幻想郷に神様がいたなんて知らない。


ちなみに私の知ってる神といえば諏訪子と神奈子だ。






「そうだな……、そろそろ秋の神が里に来る時期だな」


という訳で慧音に聞いてみた。


「だから今のうちに妖怪の山に行って厄神に会って来ればいいんじゃないか?お母様から聞いたが人を避けるらしいからな」


「分かった、ありがと」


「ちなみにクルクル回っているからすぐに分かるはずだ」






そんなこんなで山の麓。話によると天狗の領分には至らない程の位置にいるらしい。


「待ちなさい」


突然声をかけられた。


「貴女、厄いわ。あり得ないくらい厄いわ。むしろ貴女が厄ってくらいよ」


声の主は私の正面に回りながら動いた。


彼女は緑の髪でリボンだらけであり、端的に形容し難い。


「えっと……、厄神様?」


「そう、厄神の鍵山雛よ。それより貴女、厄いわ。で、貴女は?」


「私は白嶺陽奈。『恐怖を操る』妖怪だけど一応神様でもあったりするよ」


「だから厄いのね」


彼女は納得したかの様に頷いた。


「まあ、それはさてより何の用事があって?」


「ああ、そうだった。実は出雲大社で集会があるらしくてさ」


「ああ、その件なのね。私苦手なのよ、あれ」


「何で?」


「ただの飲み会になっちゃうのよ。それに酒豪ばっかりだから洒落にならないわで散々よ。……まあでも、幻想郷が隔離されてから一度も行ってないから今回ばかりは付き合ってもいいわよ。生存報告くらいしないと」


「生存報告?」


「それが本来の目的よ。どのくらいの信仰が増えた減ったとか、信仰を完全に失って消滅した神はどれくらいか、誕生した神はどれくらいかとか、そういう為に集まるのよ。実際は八百万も出席出来る神様はいないから機能しているかも謎だと思うのだけど」


果たしてそれでいいのか、神様界隈。


たぶん、動けない神様もいるだろうから実際はある程度言伝てとかもあったりして成り立っているのだろう。

でもそうなると幻想郷は隔絶された地である為に頼む相手もいないので不安要素だったのかも知れない。






それからいくらか月日が経って、収穫祈念祭が行われた。


私が事前に秋の神様たちの秋静葉とその妹の穣子に話をしたところ、わざわざ人里に伺って、収穫祭の代わりに祈念祭を行う旨を話していたのだった。


実際、彼女たちの悩みは、収穫祭よりも祈念祭をやってくれた方が力になれるがしてくれない事であるらしく、今年の結果から考えてくれる事も期待しての祈念祭らしい。


ぶっちゃけ収穫後に神頼みされても神様は困るという訳である。


そして、この祭が行われている。


神様が里に顔を出すという珍しさもさることながら、それよりも単純に信仰されていて参加人数はかなり多い。というか里規模で行うので用事がなければ参加を半ば強いられたりする。


ちなみに私は数年単位で寺子屋で教えていた事もあったが自宅出勤であり、休みを出された日は本の虫と化していた為、秋姉妹の存在は知らなかったのだ。


まあ、私の事はさておき、彼女たちは神様なのにやけにフランクな性格であるといえるだろう。

普通に人々と四方山(よもやま)話をする神様とかなんなのだろうか。尊厳の欠片もない様に思えるがそんな小さな所も信仰に影響しているのかもしれない。


神とはそもそも人々の役に立つ物事を偶像化した事からなる事が多い。それがやがて信仰となり神が生まれる。

神は生まれながらにして既に人格が完成されていたりするが、その性格は人の役に立ちたいという気持ちが多いという。って諏訪子が言ってた。

彼女たちは最たる例で、収穫が増えたりする事に関して指導などもしてくれていて非常にいい神様であろう。


まあ、そんな野暮な事は考えないで、とりあえずは今を楽しもう。






さて、私と雛は現在、秋姉妹の家にお邪魔している。祭が終わっていよいよ出発が出来るのだ。


だがしかし、少しやるべき事がある。


服装や見た目が明らかにおかしいのだから。


髪色や目はまだいいのだが、服装に大きな問題がある。

私の場合は和服っぽい服装だ。具体的には上は和服風で下はスカートである。明らかに奇異の目が向けられるだろう。

同様にして雛もだ。彼女の場合はリボンだらけの控えめなゴシック風であり、人形らしさはあるものの現代人の服装とは離れている。

秋姉妹は……、帽子がなければそのままでもいいだろう。


そして私の場合は紫と外に行った時に買わされた服がいくらかあるので大丈夫であるが、雛の服はどうしようかと思案しているのだ。私のは入る訳はない。


「うーん、服かあ」


「考えてもみなかったね、穣子」


玄米茶うめぇ。


じゃなくて、本当に悩み所である。


ちなみに靴はあるらしい。


それよりも私たちにある選択肢は数える程しかない。


幻想と現実に接点を持つ人、つまりは紫か魔理沙の親父さんに頼るしかないのだ。


他にも魔理沙とか霖之助とかいるけど魔理沙の服は小さいだろうし、霖之助はどこにいるか分からない。


けれど紫が簡単に手伝ってくれるかというと……まずない。何か寄越せとか絶対言ってくる。


だから親父さんの所に行くのがベターだが行くまでの過程が問題だ。素直にスキマツアーでもいいのだが、私は紫ほど精度がよろしくない。

『石の中にいる』とかになると洒落にならないし、人目についた時点でアウトなのだ。


そんな訳だから結局紫に頼む必要がありそうだ。


ちなみに私だけが行く場合は上空から姿を消して降りるだけだ。だけど、3人は出来るか私には分からないのでそれはしない。






「ゆかりー、いるー?」


そんなこんなで博麗神社なう。


霊夢はどうやら外出中らしい。


紫に頼むと何らかの要求をされるのは分かるが、快くオハナシする事でやり過ごす事に決めた。


「んー、陽奈かしら?」


「うん、そ……う……?」


境内から普通の巫女服の紫が出てきた。


「どうかしたの?頭でも打った?」


「修業相手に霊夢と対決する事になって負けた結果よ。察してちょうだい」


「あ、そう。それでみんなで外に出たいんだけど」


後ろからついてきていた3人が会釈した。


「その服装じゃ……、ちょっとないわね……。これを着なさいな」


紫がスキマに手を突っ込んで3着の服を取り出した。


「紫が快く手伝った!?」


「霊夢にやられてね。神社に来る者には最上のおもてなしをと、ね。何かしらの行動を起こしたら直感的に彼女にはばれてしまうわ。だから嫌々従うのよ」


「……ああ、そうなの」






着替えが無事に終わり、ついでに私も着替えて、外の博麗神社へ送ってもらった。


「こんなに変わったのね」


「ふえー、すごい高い建物があるー」


「姉さん、あっちにもっと高いのが……」


3人とも似た様な反応をしていた。


それほどまでに幻想郷の文明の時間は止まっているのだ。


「あー、観光は後にしてさ、行くとこ行くよ。私がお金は出すから」


実は魔理沙の教育の賃金があまりに余っていた私ならば余裕で出雲までは行けるだろう。


「えーっと、幾らかかるの?ある程度なら出せるよ?」


静葉が聞いてきた。


「その気持ちはありがたいんだけど……、1人あたり5000円くらいはかかるよ?たぶんだけど」


「「「えっ?」」」


「幻想郷とは物の値段が違うの。ここではもう(せん)はないし、だいたい幻想郷の単価の何百倍はあるからね。だからさ、私がお金を全部払うから」


「「「うん」」」






散々待たせた癖に続くというね。


もう、すみません。



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