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とある少女の話 後編


東の地――日本に着くと私たちは驚きを隠せなかった。


平和を体現したかの様な国だった。

小さな犯罪などはあるものの、すぐに捕まったり、互いに遠慮し無駄な争いもあまり起こらない。


そんな雰囲気なので私たちは観光してから幻想郷に行く事にした。






観光を存分に楽しみ、いよいよ幻想郷へ。


「ってどうやって行くんですか?」


「知らん」


「調べてある」


カリビアさん、さすがだ。


「誰かが能力を使えばいい。そうすれば幻想郷の管理人が拉致する」


・・・。


「拉致とは失礼ね。招待よ、招待」


そんな女性の声が聞こえたと思ったら足元に穴が開いて私たちは落ちてしまった。




落ちた先は湖だった。ちゃんとみんないる。


「たぶんここが幻想郷」


不幸中の幸いというのだろうか。


「今度管理人にお礼をしないといけない」


「さっきのが管理人?何で分かるの?」


メグさんがカリビアさんに聞いていた。


「能力も調査済み。幻想郷の管理人は八雲紫という妖怪。『境界を操る程度の能力』によって空間の裂け目を作る」


「お前……なんで知ってたのに俺に教えない?」


「必要がなかったから。それよりアレ」


カリビアさんが湖の向こうを指差す。


「霞んで何も見えないが……」


「私もです」


「真っ赤な建物があるねー」


メグさん、カリビアさん、視力いくつですか……。


「目的地はそこだろうねー。スカーレットとかって名前だし」


そんな安直な。


「まあ、行くだけ行くぞ」


「どうやってですか?」


「泳ぐしかなかろう?」


「氷が浮いてますよ」




結果を述べると陸続きだった。


それにしても真っ赤な館だなんて趣味が悪い。目にも悪い。


「あ、お客様ですか?」


そう思考を廻らせていると門番をしていた中国風な女性が話しかけて来た。


「誤魔化さなくても結構ですよ。お嬢様が気紛れでも殺しに来た相手を招き入れる様に指示なさいましたから」


驚いた。今回の標的は敵を招き入れるという。


「但し、通りたくば簡単なゲームに付き合ってください」


「ほぅ、それは?」


「まず、今、この館のメイドをしている妖精には暇を出してあります。あなた方には私を含めて戦ってもらいたいのです。そちらは4人ですのでこちらも4人で、一対一の決闘を……」


「いいだろう。負けたら相手の条件を受け入れるというのだろう?」


「はい。それですみませんが、夜までお待ち出来ませんか?」


私たちはその条件を飲んだ。






夜になり、少し欠けた月がのぼる。


私たちに相手の4人ずつ、庭に並んだ。


「では、まずは自己紹介といこうか。互いにフルネームでな」


先生が話し掛けた。


相手は門番の人に、青い髪の女の子と金髪の女の子。前者はコウモリの羽みたいで後者は変な羽らしきものが生えている。それに加えて紫のパジャマみたいな服の女の人。


「あら、そちらから名乗るのが礼儀では?」


青い髪の子が先生に言った。


「そうだな。ではまずは俺からだが、生憎名前は数年語らずにいたもので忘れていたのだ。だから、まあ、アグニとでも名乗っておこう」


先生って名前忘れたんだ……。


「今宵はようこそいらっしゃいました。私の名前はレミリア、レミリア・スカーレット。この館の主よ。あなた方が来るのを待っていたわ」


青い髪の子が言った。

吸血鬼だから小さいのかな?


「私の名前は紅美鈴です。まあ、門番が仕事の妖怪です」


門番の人が言う。


「パチュリー・ノーレッジ。魔法使いよ」


紫の人はパチュリーというらしい。


「ねぇ、めーりん、早くしたいー」


金髪の子が門番さんに駄々をこねていた。


「妹様、もう少し待ってください」


それをなだめる門番さん。


「あの子はフランドール。私の妹だけど情緒が不安定で……、まあ遊べるって口実で連れてきたわ」


レミリアさんが代わりに説明した。


「ではこちらも紹介をしていこう」


先生は私の頭に手をおいて撫でながら言った。


「まずは……、と言いたいがこいつには名前はなくてな、便宜上、花と呼んでいる」


私は小さくお辞儀した。


「私はカリビア・オルギス。オーク鬼の突然変異で生まれた」


カリビアさんのフルネームは初めて聞いた。


「次は私だねー。私の名前はマグノリア・ノーレッジ」


ノーレッジ……、パチュリーさんと同じ!?


「メグは私の実の妹よ、レミィ。……って何よ、みんな固まって」


「姉さん、姉妹でこれだけ正反対だと誰でも驚くよ。という訳で久しぶり、姉さん」


「ええ、久しぶり」






姉妹発覚にしばらく空気が固まったが、みんな取り直して、


「パチェの妹かー」


……一名除いて取り直して、対戦カードを決める事になった。


「では私から行ってもよろしいですか?お嬢様」


「ええ」


門番さん――美鈴さんが名乗りを挙げた。


「ならば私が行く」


カリビアさんが名乗り出た。


「いや、カリビアちゃんには悪いけど私に行かせて頂戴な。たぶん、ここで出ないと姉さんと戦う事になるしさ」


そこでメグさんがカリビアさんを止めた。


私は疑問に思った。メグさんはなぜパチュリーさんと戦いたくはないのかが分からなかった。理由は姉妹だからというだけではなさそうだ。


「勝負がつかない戦いは意味がないじゃん。だからここは私に行かせてよ」


「……分かった」


結果、2人はバトンタッチした。




「それじゃー、行くよー」


「はい、お願いします」


何だか試合の様に見える。いや、実際そうなのかも知れない。


動き出した2人は組み手をしているかの様に見えた。


互いの攻撃を受けては流し、流されては受けられて、なんというか……、綺麗だった。


「んー、さすがに疲れるねー」


「何故ですか?」


互いに打ち合いながらも器用に会話を始めた。


「遅すぎるよー」


私もそう思った。

本来メグさんの攻撃は私には時間操作しない限り目ではしっかりとは追えない。


「やはりそうでしたか。では互いに準備運動は止めましょう」


「そだね」


途端、とんでもなく速くなった。

互いの体の軸はほとんど動かないというのに、それ以外は異常な速さだった。


なんというか……、すごい。


「勝負がつかないので攻めさせてもらいますよ」


一瞬虹色の軌跡が見え、その拳を受け止めたメグさんが止まった。


「痛っ!!くぅ〜、痺れる〜」


メグさんが腕を振って叫んだ。


「それって中国武術の気功とかってやつでしょ?骨まで衝撃くるから止めてよ」


「そういわれましても『気を操る程度の能力』を扱う私の専売特許ですし……」


「分かったよ。頑張るから」


少し顔を暗くしたものの、すぐにまた互いに動き始めた。けれども少し違って、メグさんは受け流す事しか出来ないから苦戦している。


「受け流してもこれじゃあ……」


「そう言いながらも涼しい顔されたら落ち込みますよ」


メグさんは相変わらずだと思う。

辛そうな顔は見た事ない。

いつも余裕を持っているのかも。


「本気で殺しに来なよ。そんなんじゃ私には勝てないよ」


「そうですか。では……」


美鈴さんが距離をとった。


「せやぁぁぁああ!!」


そのまま先程までの動きなんか比べ物にならない程の速さで拳を繰り出してメグさんに突撃した。

私は時間を操って見えるけど、メグさんには見えているだろうか。


いや、見えていなかったのだろう。


鈍い音がしてメグさんが館まで飛ばされて壁をいくつか壊してしまった。


「メグさん!!」


私は駆け出そうとしたけど、先生に止められた。


「ダメだ。まだ負けではない」


「でもっ!!」


私は必死に先生の手をほどこうとした。


「ねぇ……、もう茶番はいいよね?」


その時、メグさんの暗くて小さな、けれどもはっきり聞こえる声が響いた。


「茶番……ですか?」


途端に一筋の真っ白な光が美鈴さんまで伸びて、メグさんがそこにいた。


「私ってあんまり実戦で能力使う必要なくてさー、鈍ってなくてよかったよ」


メグさんが首を回して伸びをしながら美鈴さんに言った。


「ありゃ?気付かなかった?」


「何に……ですか?」


「君の持つ妖気は最低限まで削ったよ。もう動くのも難しいはず。いくら『気を操る』事ができても所詮妖怪の君は妖気がなくなればまともには動けないはずだよ。人間の霊気みたいなものだからね」


メグさんが軽く小突くと美鈴さんはその方向に倒れてしまった。


「私の……負けですね。それにしてもどうやって?」


「私の『魔を破る程度の能力』を使って妖気を吹っ飛ばしたんだよ。妖気も魔に属するから有効だったんだよね」


「メグが何で魔法を使えなかったのか分かったわ」


パチュリーさんが呟いた。


「私は姉さんと戦えば互いに相殺を繰り返すだけで勝負はつかない。だからオリビアちゃんに変わってもらったの」


メグさんは美鈴さんを抱えてパチュリーさんの所へ行った。


「姉さん、この人は放っておけば回復するけどどうすればいいの?」


「小悪魔に運ばせるわ。それよりメグ」


「なに?」


「貴女も休みなさい。美鈴にしてやられてるわ」


「ちぇー、ばれたかー」


メグさんがパチュリーさんに二の腕あたりまで袖を捲られると真っ黒な痣が出来ていた。


そして美鈴さんを抱えた小悪魔さんとともにメグさんは館に入って行った。




「次は私がいくわ、レミィ」


そう言ってパチュリーさんが前に出た。


「貴女は私が相手する事になった。成り行きで」


カリビアさんが対抗する様に前に出た。


「成り行きって……、貴女ねぇ……」


「パチュリー・ノーレッジ。五行に加えて日と月の属性の魔法を操る。その東洋の思想を汲み入れた形態は小さな革命を起こし、また恒久的な魔力機関の研究に没頭しているという。間違いは?」


「……ないわ」


パチュリーさんが少し目を見開いてカリビアさんに言った。


「そして喘息持ち」


「……そうよ。悪いかしら?」


「別に」


「悪いけど昔より良くなっているの。最近運動をさせられたから」


「そう。それは良かった」


カリビアさんから妖気が溢れた。少し威圧感があるけど先生ほどではない。


「私も貴女がその程度で良かったわ。そんな温い妖気じゃ話にならないもの」


突如として視界を覆う程の火の球が現れた。


それをカリビアさんは手を振り払うだけで消滅させた。


「太古の昔、大陸を蹂躙した巨龍はあらゆる業火も意に介さなかったという」


その手は振り払う瞬間に黒い鱗で覆われていたのを私は確かに見た。


「……貴女、龍だったの?」


「違う」


この二人の対決、なんだか会話が多い気がする。


「貴女は何者?」


「オーク鬼」


「何故鬼らしくしないのかしら?」


「したくない。私は……、鬼だけど鬼でありたくない。他の奴らみたいに本能だけで動くのは私の理に反する」


「そう……、なのね。分かったわ。貴女をただの化け物としてみる事にする。種族として見られたくはないのでしょう?」


「ありがとう。化け物には変わりない私にはありがたい。でも……」


ゆっくりとカリビアさんが歩き出した。


「決着は着けなければいけないから、感謝はしても手加減はしない」


「そう。ならば私も全力で相手をするわ」


パチュリーさんが何かを呼び出した。それは七色の水晶の様なものだった。


「それは?」


「これらは試作した賢者の石。私の扱う属性全てのアシストをしてくれる代物よ」


ふわりと浮いている賢者の石は淡く光っている様に見えた。


「これが私の本気よ。さあ、貴女も」


「そんな変化はいらない。素の私が一番慣れている。さっきのは遊び。普通はあんな大きさでも避ける」


「では何故避けなかったのかしら?」


「外野がいたから」


「そう……、少しムカつくわね」


パチュリーさんが口を結んだ。


「さあ、いらっしゃい。私は攻撃は得意じゃないのよ」


「受け?」


「貴女は何を言ってるのかしら?」


「責めと受けなら受け?なら私は責め?」


「黙りなさい!主に私を含めたみんなのために!!その腐った考え、更正してあげるわ!!」


私は何でパチュリーさんが怒っているかは知らないが、何となくパチュリーさんを応援したくなった。

いやいや、ダメだ。私はカリビアさんの味方だ。でも何か……、パチュリーさんについた方がまともな人間になれる気がしてならないなぁ……。


「あの素晴らしさを知らないとは……」


「知らなくて結構!」


黄色っぽい石が砕けて、夥しい数の金属の砲身の様なものが現れた。


「喰らいなさい。セントエルモランチャー!!」


それらがバチバチと放電し始め、閃光とともに一斉に光線らしきものがカリビアさんに殺到した。

その速さは尋常じゃなくて、私が自動車とかいうものを止まって見えるくらいの遅さにしても目では捉えられなかった。


それらはカリビアさんを撃ち抜いてゆくけど、急所は外れていた。


そんな弾幕が止んだ時、カリビアさんの四肢は穴だらけになっていた。


「さて、吸血鬼でも中々に有効な技よ。貴女には効いているわよね?」


パチュリーさんが静かに言った。


けれどもカリビアさんは何も言わずに立っている。


「……やりすぎたかしら?」




そのままカリビアさんが搬送されて、次の戦いをする事になった。


どうやら痛みで気絶したらしい。


パチュリーさんは今後、あの光線みたいな技は封印するとか言っていた。

威力が高すぎるとかなんとか。理論上、船くらいなら簡単に壊せるとか。


カリビアさんは勿論負けなのだが、パチュリーさんの魔法により、すぐに全快した。友人の妖怪からの知識も相まって、この程度ならば問題ないそうだ。

その友人、何者なんだろうか。


まあ、無事だったからいいとして、残りは先生と私なんだけど……、


「くっ……、私の負けね……」


何故かもう先生が勝っていた。


「吸血鬼は燃えやすいな、話にならん」


非常に相性が悪かった様だ。


まあ、先生に素手で攻撃をしたら燃えるからね……。身体が濡れてたりすると当たるんだけど……。雨の日は無能なんだけど、そうじゃなきゃそれなりに強いんだよなぁ。

だって、よくメグさんと能力を抑えて組み手してるし。


「……フラン、思い切り遊んでいいわよ」


「はーい!」


で、私の相手はすごく楽しそうだ。


「先生、逝ってきます」


「あ、ああ、頑張れよ」


一応まだ2勝で、引き分けの可能性もある。私が負けたら引き分けになってしまう。だから勝たないと。




「私はフランドールだよ。フランって呼んでね」


「はあ……、よろしくお願いします?」


「じゃあ……、コワレナイデネ?」


ぞくり、と寒気が走った。


怖い。今まで味わった事がないくらいに身が震える。


私は咄嗟に時を止めた。


「ふぅ……」


私は一息吐いてから落ち着いて銀のナイフを設置した。

時間が止まってるからこそ、設置ができる。

吸血鬼が相手だからこそ、銀製なのが活きてくる。


私は時間を元に戻した。


「危ないなー」


途端に粉砕音がナイフの数だけ聞こえた。


ナイフが粉々になって風に流された。


「何か奇妙な技を使ったよね。一瞬で目の前にナイフがあってびっくりしちゃったよ」


フランさん(?)が手を握った。

すると私の手に持っているナイフまでもが砕けた。


「私はね、『あらゆるものを壊す程度の能力』を持ってるんだよ。だから危ないものは壊さないとね」


吸血鬼の反応速度に、能力。主にナイフを投げる私には相性が悪い。


私は時間を止めて再度、今度は倍の数のナイフを設置する。


けれども全部壊されてしまう。


「今度はフランからいくよ」


いきなり私にぐっと近付いて、私の左手首と頭を掴んだ。


「あとナイフはいくつあるの?」


私の袖からナイフが落ちてゆく。

私が抵抗しようとすると頭を強く掴んで、抵抗を止めれば掴んでいるだけだったけど、手首はそれなりに痛かった。


最後のナイフが落ちると左手首は解放されて、ナイフは全て砕かれた。


まだ、反対の袖にも、その他にもナイフはあるけど同じ様になるだろう。


「鬼ごっこしようよ。その方がお互い楽しいよ」


「鬼ごっこ?」


「フランが貴女を追い掛けるの。捕まったら負けね」


私は時間を止めて全力で逃げた。

捕まったら何をされるか分からない。


私は十分に走ってから距離を確認した。


「……変わってない?」


おかしい。さっきと同じ場所にいたなら、もう私の親指で隠れるくらいの大きさなはずなのに。


私はもう一度、その位置を覚えてから動いた。


けれども距離は変わらない。


私は思い切って、見ながら下がることにした。


……大丈夫だ、動いてない。


「ふぅ……、…………っ!!」


安心して、息を吐いた時、一瞬で距離が縮まった。


瞬きの間に移動した?

いや、でも体勢は変わってないし。


「ねぇ」


「えっ?」


見間違いだろうか、普通に歩いて来た。


「お願いがあるんだ」


「えっ?」


何度、目を擦っても普通に動いてる。


「貴女の能力は時間を操れるんだよね、たぶん。なら、これはだれにも聞かれない。違う?」


「聞かれない……けど」


さっきの人とは全然違う人に見える。

子供っぽくなくて、落ち着いてる感じだ。


「私に負けてくれない?お互いの為にさ。私はあいつ……ああお姉様のことなんだけど、あいつは嫌いだけどフランの大事の人なの。だから……、殺されたくない」


「だから負けろ、と」


「うん。すごく痛いけど、フランが治してあげる。陽奈……まあ友達なんだけどさ、陽奈に頼んだりもして絶対に死なせない。フランがとりあえず治して、陽奈に仕上げをしてもらう。絶対に治るからお願い!」


土下座までされた。


やるしかないかな……。


「じゃあ……」


手筈はこうだ。


フランさんが私を戦闘不能なまでに破壊する(凄く痛い予定)。

そしてとりあえず治して交渉を見届ける。

それから本格的に治療。


私は時間を戻して数秒後に、一生分の痛みを味わった。




「引き分けね」


「そうだな」


そして話し合いの結果、互いに互いの条件を出来るだけ聞く事になった。

そんな事より手足が痛い。


「私からの条件は、その子を私にちょうだい?」


レミリアさんが私を指差した。


私を!?


「な、なぜ……」


私は頑張って声を出した。


「有用だからよ」


「俺は構わない。こちらの条件を飲めばな」


先生……。


「条件は?」


「我々をここにいさせてくれ。帰る場所がないからな。それと……」


「それと?」


「その子に名前をあげてくれ」






後日、私は呼び出された。


「済まなかったわね。まだ痛むでしょう?」


私は小さく頷いた。


「貴女の名前をずっと考えていたわ」


レミリアさんが窓の外を見た。


「そういえば昨日は満月だったわね」


「そうなんですか?」


「私たちはそういうのには敏感なのよ」


「そうですか」


「それで思ったのよ。貴女の名前は満月が終わっても衰えず、私に仕えてもらいたくて……」


「それで……、私の名前は?」


レミリアさんは私の方を振り替えってからゆっくりと私に名付けた。




――十六夜 咲夜






これが私こと咲夜とレミリアさんことお嬢様との関係の、そして私の始まりの話。




本編で書かなかった事を。


アグニ

『火炎を操る程度の能力』


カリビア

『身を変える程度の能力』




ぶっちゃけるとレミィとアグニの戦闘はカットしました。

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