表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/48

しんぶんのつくりかた


どうも、清く正しい射命丸(しゃめいまる)です。


今日は天魔様に命を受け、新聞という情報誌を作る事になりました。


記念となる初めに取り上げるのは、この幻想郷で噂になっている白嶺陽奈という妖怪を取り上げたいと思います。


早速里へ赴き話を聞いてみましょう。






「なんだ、妖怪か……。団子食うか?」


里に降りたらお腹が空きまして……、


「すみません、今回は仕事で参りましたので」


営業スマイルという奴です。仮にも取材相手ですから不快な思いはさせてはいけません。


「そうかい。なんか手伝えるかい?」


「とある人物についてお話を伺いたいのです」


「誰だい?」


「白嶺陽奈です」


「ハハハ、そうかい。陽奈ちゃんの話なら幾らでも聞かせてやるぜ」


「よろしくお願いします」


「じゃあ団子食ってけ。お嬢ちゃん別嬪さんだからタダにしてやるよ」


私は有り難くいただきます。


機嫌が悪いと丁寧に応えて貰えないかも知れません。


「では彼女の事について、そうですね……人柄などを教えて貰えませんか?」


御主人は凄く楽しそうに語ってくれました。


途中から周りの方々も話をしてくださいました。


里の皆さんは彼女に対して好印象の様です。


子供っぽいのに頭が良くて、加護欲にもかられるらしいです。


「皆さん有難うございました」


次は彼女の友人がいるという寺子屋へ向かいましょう。






ゴスン


あやや、寺子屋の外まで響く鈍い音が聞こえました。喧嘩でも起きたのでしょうか。


早速見てみましょう。


「妖怪がなんのようだ?」


私が入って来るのが分かっていたのかの様に戸が開けました。


「私は射命丸文(しゃめいまる あや)と申します。何も敵意などはありません。白嶺陽奈についてお話を聞きたいんです」


「そうか。悪意はないようだな。まだ授業中だからよかったらどうだ?陽奈も教鞭を振るいに来るんだぞ」


お、思わぬ収穫です。


彼女が親しまれている理由にはこんな事にも関係があった訳ですか。


「お言葉に甘えて参観させていただきます」


「まあ、その年で受ける気もしないよな。邪魔はするなよ」




授業が終わると子供に囲まれてしまいました。


あやや、困りましたね……。


「さて、陽奈の話だったか?」


「はい。この度情報誌……新聞というのですが、それを発行するに当たって取材をしたいと思いました」


「新聞か、幻想郷にもあった方がいいな。陽奈についてか……」


ここでの収穫は、子供に好かれている事、教育が上手な事、彼女は博麗神社によく行く事、そして何よりも、彼女は普通の妖怪ではない事、でした。


これは大きな収穫です。


これは彼女の秘密を暴きたくなって来ました。


さて、次は博麗神社に向かいましょう。






「ここは……どこでしょうか?」


たしか私は神社に向かい、何かに当たって意識を失った……?


「起きてたのね。大丈夫よ、怪我はなかったわ」


博麗の巫女ですね……。ではここは博麗神社ですね。偶然ですが目的は果たせそうです。


「ごめんなさい、陰陽玉で訓練していたら当たってしまったようで」


「いえ、構いません」


あくまでも怒ってはいけません。……まあ彼女も謝っていますから許しますけど。


「それで何しに来たのよ、二人とも」


「あらら、ばれちゃったわね」


あやややや!?どうして妖怪の賢者と呼ばれる八雲紫がここに!?


これでは私もいつ取って食われるかわかりません。


「では私はこれで……」


「待ちなさい。何か用事があるんでしょう?」


さすが、八雲ですね……。


「実は新聞を創刊するにあたって白嶺陽奈について調べて来いと言われまして……」


「新聞って何よ?」


博麗には分からないですか……。


「個人に配る『かわらばん』の事よ」


「面白いのかしらね……」


「面白くするんでしょう?」


まさにその通りですね。


「陽奈の事だったわね。別にいいわよ」


「私も構わないわ。陽奈の恥ずかしい過去まで教えてあげるわ」


「八雲……、貴女も悪ですね」


「よく言われるわ」




ここでの収穫はとんでもない事でした。


彼女の末裔が……、とこれは他言してはいけませんでした。博麗大結界を作ったのも彼女でした。神社の周りの森で目撃されるルーミアを封印したのも、博麗の秘宝である陰陽玉を作ったのも彼女でした。


そして、何よりも出産経験には驚きました。これはスクープです!!


話によるとルーミアという例の妖怪が最も長い付き合いらしいです。


次は森を散策した後に、八雲に進められた白玉楼へと行く事にしましょう。






「わはー」


果たして彼女なんでしょうか……、生まれたばかりの様にも感じる弱さです。


「あの、すみません、貴女はルーミアという方でしょうか?」


「そーなのだー」


「陽奈さんの事について……」


「そーなのかー」


「あの……、聞いてますか?」


「そーなのかー?」


話を聞いてくれません……。


「たしか……、しゃめーまるかー?」


「はい、そうですけど……、なぜ?」


そこでルーミアが一つ溜息をつきました。噂に聞いていた性格には合わない表情をしました。


「私が知らない訳ないでしょう?射命丸文さん。私は闇を操るから闇があればいいの。ところで陽奈の事だったかしら?」


「えっと……、二重人格か何かですか?」


「違う違う。さっきまでのは芝居だから」


ルーミア、恐ろしい子……っ!!


「私は陽奈に封印されて本来の力を発揮出来ない。だから、子供っぽく弱そうに振る舞えば……、って訳」


何でしょうか……、見た目はたしかに幼いですがそれでいて醸し出される妖艶さが自然過ぎます。


「他にはありますか?」


「物凄く強かった。たぶん、八雲くらいじゃ天地がひっくり返っても勝てない。だって八雲と私は同じくらいの実力だから」


「恨んだりは……」


「しているけど、私が悪いもの。陽奈の事、どこまで聞いた?貴女が博麗神社に行ったのは見たけど。子供の事は?」


「聞きました。早くして亡くなったとか」


「陽奈の愛娘を私が殺したもの。その様子だと博麗の事も聞いたんでしょう?」


「はい」


これは……、あまりにも大きな収穫ですが書いてはいけない事に分類されますね……。


「じゃあ、もう私から話す事はないから」


「ありがとうございました」


「しゃめーまるー、またねー」






程なくして白玉楼に着きましたが庭師に見つかりました。


「何の用だ、妖怪!」


「ここで白嶺陽奈の話を聞けると聞きましたから赴きました」


「陽奈様の……?」


「よぉ〜むぅ〜、お客さんが来ているはずよ〜」


やけに間の延びた声が奥から聞こえて来ました。


「くせ者ならいらっしゃいます!」


「じゃあくせ者でもいいわよ〜」


「幽々子様!?」


「では、おじゃましますね」


「みょん……」






白玉楼の主である西行寺幽々子さんは八雲から話を聞いていたそうです。


「ごめんなさい、妖夢ったら誰彼構わず切り捨てようとするのよ」


「しませんよ!?」


「では、早速……」


「私から話す事はないわ」


私は耳を疑った。


「彼女の事なら最も良き理解者がいるから紹介するわよ」


「お願いします」


「と、言うわけだから妖夢」


「はい」


「切り捨てなさい」


「はい」


そのまま妖夢さんが刀を抜いて振りました。


もちろん、私は避けます。


「ちょっと待ってくださいよ!何でそんなに躊躇わないんですか!?」


「幽々子様の命だからです」


「しょうがないじゃない、彼岸の閻魔の所に行くなら死んだ方が早いわよ」


「勘弁してください!だいたい幻想郷の彼岸は生身でも行けますから!」


私は飛び逃げました。あんな所、命がいくつあっても足りません。


「ねぇ妖夢、烏って美味しいかしら?」


「普通は好んでは食べませんよ」


聞かなかった事にしましょう。






「……だいたい貴女は長く生きているのに……」


彼岸に無事に着いたら閻魔に説教されてしまいました。


「まあ閻魔ちゃん、これくらいにしてあげてーや。わざわざ説教されたい奴なんておらんからな?」


閻魔のお姉さんなのでしょうか、少し大人びた女性が助けてくれました。


「……、射命丸文さん、ここは本来は生者は来るべきではありませんからね」


「はい」


「それで何の用なん?」


「実は白嶺陽奈の事について新聞の記事を書こうと思いまして。そもそもの新聞の用途は分かっていますが創刊ですから話題を提供すべきかと思いましたので」


「陽奈さんの事やな。あの娘はな、あんさんよりも年上やで。知らんかったろ?」


「あんなに小さいのに……ですか?」


「私らより年上なんやからな」


「うむ」


隣にいた鬼も肯定しました。


「失礼ですが、お歳は……」


「死んでからは数えてへん」


「同じく」


死人に口なし、だなんて嘘だったんですね。


「せやな、死んでから一億は経ったんやないか?」


「もっと経っている」


一億以上ですか。


「って……、えっ……?」


何だか軽くとんでも発言しましたよね。


「一億以上生きてて何故あんなにも力が小さいんですか?何度か会った事があるんですが怖さこそ感じたものの力はあまりありませんでしたよ?」


当時書いた手帖は失くなりましたが。


「その時は髪留め着けとらんかった?」


「はい、赤と紫の二つの布で髪を結っていました」


「陽奈さんは赤い方で思い切り自分を封印しとる」


また変な事をしてますね……。


「嘗めたらあかん。ルーミアっちゅう奴知っとるか?」


「はい。彼女が封印を施したので大妖怪から小妖怪程度になったと」


「陽奈さんも同じ封印やで。ただし、ルーミアっちゅう奴より何十倍も強い封印や。まあ、陽奈さん封印の強さを逐次変えとるらしいけどな、最低がそれくらいや。本人は気付いとらんけどな」


「軽く見積もってもルーミアさんの十倍ですか」


「そやな。まあ、閻魔ちゃんが教えてくれた事なんやけど……」


閻魔が……ですか。


「もう一つ、陽奈は俺より強い」


鬼の方が口を開きました。


「あの貴方は……」


「俺の名前は紅蓮という」


「では紅蓮さん、貴方の実力は……?」


「知らん」


「私が知っとるで。幻想郷の鬼が束になっても勝てへんくらいや」


彼はどれだけ強いんですか!?


「他には……」


「まだあるけどな、仕事とかいろいろな事情があってな、言えん事もいっぱいあるんやけど……」


「お願いします」


しかし、これ以上に得られたもので有益なものは彼女の家の場所くらいでした。


特に向かう場所もないので、伺う事にしましょう。






途中、人里に立ち寄りました。


お腹が空いただけです。


半日あまりも飲まず食わずでしたから、少しくらい食べちゃいましょう。




定食屋を探している途中、白のワンピースを着た女の子が重そうに大量の野菜を運んでいました。


「手伝いましょうか?」


「あ、助かるよ。半分だけ持って欲しいんだけど」


「半分だけでいいんですか?私は妖怪ですから案外力はありますよ」


「ふーん、ボクも妖怪なんだけど」


「そ、そうですか……」


私は荷物を半分程受け取りました。


「な、なかなか重いですね……」


「そうかな?だいたい君って烏天狗の射命丸って名前じゃなかった?ボクの事、覚えてないの?」


…………。


思い出しました。


彼女が山に来て、謝罪をした時に案内役を私が天魔様から頼まれたんでした。


「貴女も……白嶺陽奈について何か知っていたら教えてくれませんか?」


「ボクから話せる事はないよ。ただ、あのおばさんよりは強いって事かな?」


「あのおばさんとは?」


「うーん、幽香、って呼ばれてたね」


幽香とは、あの幽香ですか。




程なくして、彼女もとい六花さんの家に着きました。


「ありがと、きゅうり一本あげるよ」


「あ、ありがとうございます」


河童にあげておきましょう。


「ところでこの野菜は何に使うんですか?」


「まあ、見てれば分かるよ」


彼女が大きな蔵のような建物に案内してくれました。


「これを入れて……」


大量の野菜を全てそこへ押し込みました。


「えい!!」


一気に寒くなりました。何があったのでしょうか。


「こうやって野菜を凍らせれば春夏秋冬いつでも新鮮なのが食べれるんじゃない?」


「凍っているんですか?」


まるで氷室ではありませんか。


「凍ったきゅうりで釘が打てるよ。やってみる?」


「しません」






なんだかんだで腹ごなしも済ませ、彼女の家へ向かいますが、用事を頼まれて立ち寄るべき場所が出来ました。


「綺麗な向日葵です」


「それは嬉しいわ。それで烏天狗が何の用かしら?」


嗜虐趣味を持つと噂の風見幽香がいました。


「聞きたい事と伝言です」


「何を聞きたいのかしら?」


「白嶺陽奈の事です」


「陽奈の?」


「はい」


「いいわよ。彼女は花も好きな……そう私と気があったのよ。それで戦ってみたのよ。だけど彼女には敵わなかったわ。案外涼しい顔をして私と互角に戦ってくれたわ。戦い方が、そう、私のような争い事が少し好きな相手を楽しませる戦い方を知っていたわ」


彼女が若干ながら顔を上気させ始めました。なんでしょうか、見た目は普通の女性なのですが、戦いを語る時にくねくねしないで欲しいです。


「それだけね。陽奈に伝えて欲しいのよ、また戦いましょう、って」


「はあ、分かりました」


果たしてその返事を受けるのでしょうか。


「で、伝言って何かしら?」


「おばさん、ごめんね。と雪女の六花さんからです」


「次会ったら消す、と伝えてくれないかしら」


「は、はい……」


もの凄い表情でしたね……。阿修羅が見えました。






さてはて、魔法の森にたどり着き上空から彼女の家を探していますが見つかりません。


何だか森が歪んできたように見えます。


ふらふら……しますね……。






「知らない天井です……」


いつの間にか意識が落ちていたようです。


私は布団に寝かされていました。


服も脱がされ、代わりに寝巻を着ていました。


「ここはどこなんでしょうか……」


私はとりあえず部屋から出ようとすると、部屋の戸が開きました。


「あ、起きた?」


そこには白嶺陽奈、本人がいました。






彼女の話によると、魔法の森の植物の花粉やらでやられたと思われる私を偶然見つけ、家で介抱してくれたとか。


服に関しては、幻覚作用のある成分が含まれた花粉が付いていたので、それの処理をしてくれたらしく、すぐに返してくれました。


「何で魔法の森の上空なんて飛んでたの?」


「貴女に用事があったからです」


「私に?」


「新聞の取材をしたいと思いまして」


「私、何か犯罪とかしたっけ?」


「異変を解決しましたね」


「それで取材を?」


「まあ、はい。そういうことにしておきましょう」


もう面倒ですね。


「えっと……、今まで聞いてきたもので信じられないのばかり聞いたんですけど……」


「えっと……、例えば?」


私は今まで聞いた内容で特に信憑性のないものを聞いてみました。


「一番聞きたいのは……、年齢です。失礼なのは分かっています」


「ああ、それは疑うよね。私は正真正銘、年齢はババアだよ。紫とか幽香とかも私から見ればまたまだ赤ん坊みたいなものだよ」


「八雲とは大違いですね……」


「紫にババアっていうと、ね」


彼女がおもむろに髪を解き始めました。


「紫に対する不満を聞いてあげるよ。言ったらいくらかスッキリするでしょ」


「八雲が見てたり聞いていたりするかも知れませんから、仮にあっても言えませんよ」


「ああ、大丈夫。紫が干渉出来ないように境界をいじっておいたから」


今何と?


「境界を……いじる、ですか?」


「そうだけど」


「それはスキマ妖怪である八雲の特権のはずでは……」


八雲以外には出来る訳ありません。

その妖怪の力を操る事は、その妖怪を操るにほぼ同義です。


「紫に出来るなら私も出来る……逆かな?まあ、私もスキマは開けるし、境界も操れるよ」


「意味が分かりませんよ」


「私は『恐怖を操る程度の能力』を持っている。そして妖怪、特に紫や私のような一人一種族の妖怪の存在の根源は“恐怖”って言えば分かるかな?」


私は分かってしまいました。

彼女は『他の妖怪の力を使える』ということを。


「一介の妖怪には大きすぎる力ではありませんか?」


下手をすると妖怪を消滅させるのも容易な力です。


「ああ、そうだね。私は普通じゃないらしいから」


自分の事を異常というのも何か痛々しいような気がします。まるで


「口だけの妖怪退治屋のようです、か。確かにそうかも知れないね」


心を読まれた!?


「私は(さとり)妖怪にも会った事があるから。……私は普通の妖怪じゃないって事からだっけ」


「はい」


「私は一番最初の妖怪なんだよ」


たぶんね、と彼女が付け加えました。


「証拠ならあるよ。ハクタクが頑張っても私の歴史を見る事が限界だって事」


それが本当だとしたら……。


「でも私は相手が望まない限り極力戦わないんだよ。だから安心していいと思う」


「他には何かありますか?」


「文が倒れたのは私のせいなんだよ。ごめん」


「な、なんですか!?唐突に」


魔法の森の仕業じゃないんでしょうか。


「魔法の森が出来たのは私のせいだから」


「もう……どれだけ規格外でも驚きませんよ……」


もう溜息しか出ません。


「出来ない事はないんですか?」


「いっぱいあるよ。例えば……、文の能力は使えないよ。烏天狗という種族としての能力じゃないから。私は災害レベルの暴風は起こせるけど、そよ風は出せない」


確かに暴風を恐れる方はいますが、そよ風を恐れる方はいませんね。


「他にもあるけど、私が汲み取るのは負の感情だけだから人を安心させる事までは出来るけど、能力だけじゃ幸福は与えられないよ」


「応用出来なければ……、傷付けるだけなんですか」


「そうだよ」


その後も、ぽつりぽつりと少しずつでしたがお話をしてくれました。


私は八雲に対する愚痴なんて完全に忘れていました。






「そういえば文って新聞の作り方は分かるの?」


「新聞は作り方とかあるんですか?」


新聞という言葉と用途は知っていますが新聞自体は見た事がありません。


「私が教えてあげようか?」


「是非、お願いします」


わざわざ陽奈が教えてくれるならば甘えましょう。






それから山へ帰り、新聞を作り始めました。


万人が読むものですから個人の癖字ではダメなようで、読みやすい字で記さなければならないらしいです。

そのために判を押すような形で一文字ずつ組み合わせて金型にはめ、文字をいれなければいけない、と陽奈が言っていました。

どうやら凸版印刷という形式らしいです。


そのためには様々な大きさの文字を彫った金属の判を作らなければいけないようで、万人が読める程に綺麗な字を手本にして作らなければなりません。

その見本を書ける人を探し、書いてもらうのには多くの時間がかかりました。

今回、必要な分は陽奈が魔法で作ってくれましたが、専用の部署を作った方がいいらしいです。


あとは構成も大事だそうです。

確かに新聞の意義は事件などの真相を告げるものですが、淡々と書いてあるだけでは面白くありません。

そこで関係する情報を特集として取り上げる事で読者も増えるらしいのです。

今回は大雪異変を主な記事として、陽奈の事を特集として作る事になりました。


「文、新聞の名前はどうする?」


「新聞は新聞では?」


「ただ、新聞、って題字だと読む気もなくなるでしょ」


それもそうですね……。


「決めました」











-文文。新聞(ぶんぶんまるしんぶん)-


大雪異変の真相とは?


先日、ここ幻想郷に歴史的大雪の観測があった。しかし、この異常気象は人為的なものである事が判明した。


現在、里で店を営んでいる雪女の錦六花が今回の犯人である。動機は特にないようで今回の異変は彼女の自己満足から生まれたものであると判明。彼女は自分の否を認め、謝罪の念を表明した。

今後は店を営みながら里のみんなと交流して里を守っていきたい、と彼女は語る。


また、事件を解決したのは白嶺陽奈であり、彼女もまた妖怪ではある。彼女が語るには、風見幽香という花の妖怪も解決の為に錦六花に挑んだものの、惜敗。その後駆け付けた白嶺陽奈が見事に打ち破り、この異変は収束した。




特集:白嶺陽奈に密着取材!彼女の過去を探る!!


…………。







こうして私の初めての新聞作りは無事に成功しました。






という訳で文視点からでした。


特集の『……。』は脳内補完してください。


そうです、文は最初のうちはパパラッチとかマスゴミではなかった訳です。という勝手な解釈から作ってしまいました。




前回あたりの後書きの件、期限などはありませんのでご自由にどうぞ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ