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拡張Project


今日は紫に呼ばれた。


私の理想とかいう所を作る為にやる事があるらしい。


“妖怪拡張計画”

そう呼ばれたものは、ここら辺一帯を境界で囲み、内部を外からの幻の世界と位置付けする事によって各地に散り散りになっている妖怪を内部へと無意識下で誘導し、妖怪を集めるとともに認識を霞ませるものだ。

さらには流行らなくなった無生物なども引き寄せるらしいが今はおいておこう。



しかし、この行為には世界のバランスを著しく崩す可能性がある。


何せ、ここら辺を世界から隔離する訳で、その弊害は計り知れない。


が、紫も考えていたらしく(散々説教された揚句)閻魔などに許可を得たらしい。

よく頑張った、紫。


で、様々な大まかな手続きは済ませたらしく、肝心の境界(結界)をこれから張るらしいが紫の力では力不足らしい。


「陽奈には役不足だと思うのよ」


「いや、私に世界を変える程の力はないから」


「あの説教くさい小さくていらいらする閻魔が言うには貴女が適任らしいの。……あー、忌ま忌ましい、あの餓鬼」


どんなに嫌ってるのさ。


「ま、まあ、落ち着いて。私は何をすればいいのかな?」


「そうね、貴女には妖力を私に提供してもらおうと思っていたのよ」


思っていた?何故に過去形?


「でも貴女には境界を弄ってもらうわ」


「で、でもさ、私ってそんな事出来る訳ないじゃん。紫の専売特許じゃん」


私には境界を操る事なんか出来ません。


「そうでもないわよ。貴女はルーミアと戦った時に何をしていたかしら?闇を操っていたわよね」


「あー、そういえば」


ふと頭に、ある仮定が浮かぶが有り得ないので取り消す。


「さらに、私をどうやって引っ張り出したかしら」


「それはスキマを……」


「その時も行ったけど私はスキマをその場に設置していなかったわ。直接は見ていなかったもの。貴女はスキマを開いて私を引きずり出したのよ」


私がスキマを?


「いやいやいや、ないでしょ。有り得ないでしょ」


「でも事実よ」


私の消した仮定が事実だという事が判明した。


「で、でもさ」


「今は使えないよ、でしょう?」


もはや紫には勝てない。


認めるしかないのか?



「紫には負けたよ」


諦めた。


「あら、貴女ならもう少し抵抗するかと思ったのに」


「やめたよ、面倒臭い」


「あら、心外ね」


「じゃあ胡散臭い」


「それは否定出来ないわね」


自覚はしていたらしい。




「それで?私は境界を操れるかも知れないけど扱いは慣れてないから無理だよ」


「そこは境界を間接的に弄って0を1にする程度にしたわ。細かい調整はいらないわ」


うん、ありがとう。


私は早速、リボンを片方外した。


溢れる妖気を体内に内包し軽く確認をしてから境界を弄った。


弄るのは大変ではない。


ただし、私だからだ。


動かすエネルギーに妖力が消費される。


今回は世界全体に影響する訳で馬鹿にならなかった。


「さて、しばらく妖怪が集まるまでは休憩ね」


「それは私の台詞だから……」










それから数年後、また紫に呼び出された。


「何の用?」


「ある程度集まった妖怪をいったんみんな集めるわ。ルールを作るのよ。小さな領域なのだから無差別に人間を襲われては困るもの。それと……」


「妖怪の紛争対策も、でしょ」


これだけ妖怪が集まれば嫌われている能力を持つ妖怪もいる。幸い、そいつらはほとんどは仲がいいのでごっそりどこかへ移せばいいだろう。


あとは鬼の処遇も。


「だけどどうやって集めようかしら……」


集める……か……。


得意な奴がいたな……。


「紫、極上の酒を用意して。打ってつけの奴がいるから」











「というわけで、よろしく」


「んにゃ、いいよ〜」


萃めるといえば萃香だろう。


「紫と陽奈はいい奴だぁ〜」


「「いいからやって」」


「もぉ〜、やってるよぉ〜。昼までには集まると思うよぉ〜」


かなり泥酔してるけど、まあ、やってくれてるから文句は言えないか……。







数刻後……。


なんか宴会みたいになっているがだいたい集まったので話を始める事にする。


魔法で拡声器みたいに声を響かせて……、


「えー、皆様には話を聞いてもらう為に集まってもらいました。詳しくはスキマ妖怪の八雲紫さんから……」


私は紫を小突いて話をさせる。


「簡単に申しますと規則を設けたいの。具体的には人間を居住地域とかでは襲わない事よ。ただ、それだけよ。山とか暢気に歩いているのは襲っても構わないわ」


紫の発言に当然、異義を唱える者もいた。


「聞きなさい。妖怪の根源は恐怖よ。ただし、ほとんどの恐怖は人間がいないと成り立たないの。人間がいなくなったら、ここにいる妖怪の大半は消失するわ」


その言葉に一同はざわめき始める。


「あと、悪いけど疎まれている妖怪は揃って地下に潜って欲しいの。ただとは言わないわ。旧地獄の管理を頼もうと思うの。代わりに生活に不自由はさせないわ」


当然、不満の声が飛び交う。


「しょうがないわね……。じゃあ今、この陽奈を倒せれば地上に残ってもいい事にしましょう」


「えっ?」


ちょっと待って紫さん。


周りが躍起になって襲って来ようとしてますよ。


「止めなさい。彼女は戦いを望んではいません。それに多対一は卑怯です。あなたがたの一番の実力者が戦えばよろしいではないのですか?」


一同は静止した。




私はその声の発生源を探した。


紫がかった髪にカチューシャらしきものをつけていて、彼女はまるで何でも見通しているかのように無感情な表情で淡々と述べたのだ。


「おや、貴女は私をご存知ないようですね。私は古明地さとりと申します。さとり妖怪……まあ、心が読めるだけです」


私はとりあえず静止してくれた事にお礼を……


「ありがとう、ですか」


「あ、うん」


やべぇ、私が話さなくても会話が成立してる。


「気持ち悪いでしょう?私も地下に行くべき妖怪だと不本意ながら思うのです」


「じゃあ、地下の管理を任せるわ。貴女なら事前に防ぐ事も出来るでしょう?……それと、陽奈は貴女の事をどう思っているかしらね」


うん?


「陽奈は第一印象で相手を決め付けないわよね」


「えっ?それ常識でしょ?妖怪なんてみんな常識外れなんだからそんな簡単にはかれないし」


「じゃあ、地下への連絡係は陽奈にして後は封鎖するわ」


「そうしてちょうだい」


勝手に話が進んでいます……。


「あと、鬼も一緒に連れて行きましょう」


「そうね、文句があるなら……陽奈に勝ちなさい」


話が進みすぎて分からないけど……、地下に行きたくない鬼が睨んでいるのは分かる。


「待ちな。陽奈は私より強いんだ。まず、私に勝ってからにしな」


勇儀が話に割り込む。


鬼は強さが全てだ。勇儀より強くなければ従わざるを得ない。……まあ、宴会とかのは別だが。


とりあえず、勇儀、助かった。








さて最終的には、さとりは地下の旧地獄(閻魔とかの問題は済んでいるらしい)へ。

山には天狗が多いが妖怪がいっぱい。

などなど……。


キリがないので挙げないが、(人里などに関する)ルールに異義があるなら私か紫に勝ってからにしろ、ということになった。


それと旧地獄へは例外(私)はあるものの基本的に妖怪は介入など禁止。


ルールに従わなかったら実質私刑(周りは我慢しているのにしなかったために)。


だが、問題は人里に誰が伝えるか。


「やっぱり陽奈よね」


「だよね〜」


「私もそう思います。とても嫌がってはいますが」


何で私なんだろ?


「疑問ですか?なんとなくですよ」


「陽奈、任せたわ」


紫が私の足元にスキマを開く。


私は重力には逆らえず、落下した。








長いので次回に続きます

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