自己とは何だろうか
東方の2次創作ですが前半はあまり東方な住民は出てきません。
知識が至らず設定など不自然な点があるかもしれませんが、あらかじめご了承ください。
遥か昔、世界が創られてゆく中、各世界に1つ、形はどうあれ『恐怖』をおかれた。
ある世界では邪神、魔物、呪い、そして妖怪。
とある世界で妖怪とおく時、どうしても必要なものがあった。
人格。
それを最も近い平行世界から連れて来た。
ある日の放課後……とは言っても自分の仕事が残っていただけだが、1人寂しく帰ることになった。
普段は友達が一緒だが、居残りだから先に帰らせた。
もう空も暗くなり始め1番星が光ろうとしていた。空も朱から青黒く染まりつつあった。
とぼとぼと歩いていると、ふと気が付いた。
静かすぎる。
鳥の声、人の声、風まで黙っていた。
その静かさに恐怖を感じ始めていた。
人が見えた。
「あの………すみませ……ん……」
止まっていた。
落ち着いて周りを見ると、みんな止まっていた。
違う。
自分だけが動いている。
そう分かった時、今まで小さかった恐怖が孤独感とともに爆発した。
誰かいないか。
誰もいないか。
探した。
見付からないかもしれない。
走った。
いない。
いない。
いない。
自分しかいない。
「は……はは……」
言葉が出なかった。
地面に座り込み、適当に寄り掛かる。
そして、そのまま眼を閉じ、寝てしまった。
眼を開けると星空が映った。
いつの間に地面に転がったんだろうか?
寝相は悪くなかったはずだった。
「あ……」
風の音がした。
木々を揺らすその音は快いものであった。
ふと気が付いた。
寝た時に周りに木があっただろうか。
あったかもしれないが鬱蒼と茂ってはいなかったはずだ。
森だった。
「ここ……どこ?」
そう、自分の声を聞いて違和感を持った。
高い、幼げな声。
呂律が辛うじて回る程度。
そういえば、木が大きく見える。
ゆっくりと立ってみる。
地面が近い。
自分が小さかった。
「こんな、小さかったかな?」
少なくとも自分は学生で………
自分は………
誰だろう。
分からない。
けれど、とりあえず落ち着こう。
まず、自分はなぜか少し大きい着物を着ていて、見た目は……女の子ではあるだろう。
たぶん、歳は10に満たないだろう。
髪は長く、腰まであり、その色は……暗くて分からない。
さて、自分は何者だったか。
改めて考えよう。
分からない。
忘れてしまった自分に少し恐怖を感じた。
『恐怖』を。
その時、今の自分を理解した。
今の私は妖怪であり、恐怖そのものであること。
私には『恐怖を操る程度の能力』があること。
具体的には
対象の恐怖を知ること
対象の恐怖を具現し、操ること
今まで知った恐怖を操ること
他にもあるだろう。
それが分かった途端、ある『恐怖』が私に流れて来た。
『死』だ。
どうやら、たくさんある恐怖は自然と対象になるらしい。
私は暗闇でも少しは目が利くが、とりあえず朝まで待つ事にした。
日の出だ。
眠れなかった。
とりあえず耳をすませ水の音を探した。
自分を見たかった。
水に映るかは分からないが喉も渇いたので探す。
見つけた。
その方向に駆ける。
速かった。
どうやら身体能力が高くなっているようだ。
成長するだろうか。
身体はしてほしい。
閑話休題。
川を見つけた。
けれど水が清んでいて私を映す事はなかった。
ただし、髪の色は黒い事は移動中に分かった。いやでも視界に入るから。
お腹が空いた。
しかし、生き物の気配がしない。
そういえば、ここまでの移動中に生き物に遭遇していない。
もしかしたら私が恐怖そのものだから本能的に避けられているのかもしれない。
とりあえず、私は不慣れながらも妖力を抑えた。
しばらく川沿いを歩いていると猿のような生き物のコロニーがあった。
見るといくらか食べ物が貯蔵してある。
私は盗む訳にもいかないので、同じ物を探してきて食べた。
2度目の朝。
目を開けると簡単な服をらしき物を着た人らしき生物が私を囲んでいた。
「メシ……」
「えっと……」
何だか私が食べられそう……。
「タベル……」
じりじりと近寄って来る。
「こ、来ないで!!」
咄嗟に妖力を開放し、放つ。
ドサリ、と、当たった奴が倒れた。
私は分かった。
死んでいる、と。
その時、私の中で妖力が大きくなった。
当たらなかった者達が私に恐怖したから。
恐怖は伝染する。
語り継がれ、それは大きくなる。
今日は、誰も近寄って来る事はなかった。
しかし、翌日、私は目を疑った。