ピカチュウ登場
俺は目が覚めると、上から俺をソフィアが覗いていた。
「ジンさん!やっと起きてくれました!」
俺は頭を擦りながら、上体を起こす。
「ああ、そうか…。俺、ソフィアの津波の魔法のせいで、流されて気を失っていたんだな。」
ソフィアは申し訳無さそうに、
俺にペコペコする。
ふと左を見やると、空間に巨大な次元の穴が空いていた。
「お前が気絶している間に、すっかり大きくなったんだ。」
女王がそう言ってくる。
「分かりました。では、ここから早速、俺の住む東京に向かいましょう。」
俺はそう説明すると、早速次元の穴に向かう。
「えっと…、この穴に入れば良いんですよね?」
俺は女王に尋ねる。
女王が頷く。
俺は、「ほりゃパアッ!」と叫び、次元の穴に
入る。
すると俺の身体はたちまちの内にまるでスパゲッティの様に引き伸ばされてしまい、
「ああああああ〜れぇぇぇぇぇ〜」
俺は素っ頓狂な声を上げていた。
「あっ、しまった。私の次元バリアで
保護しておくのを忘れていた。」
女王はそう言うと、女王自身とソフィアを
次元バリアでガードして、
「行くぞ。ソフィア。」
と言い、ソフィアと一緒に穴に飛び込んだ。
俺は引き伸ばされていく身体で、
その二人の光景を眺めながら、
「ナンデ、オレバッカリイツモコンナメニアウンダアアアア」
と叫んでいた。
しばらくして、気が付くと俺は、車がビュンビュン行き交う交差点の真ん中で寝ていた。
寝ていたのだが、俺はまるで紙の様にペラペラで薄くなっており、車が俺の上を通り過ぎても、
まるでスパゲッティの様に細長くなっている俺の身体は俺の身体の左右を走り抜ける車のタイヤに触れず、俺は潰される事は無かった。
信号が赤になり、車の往来がストップした時、
女王が俺の所にやって来て、俺を持ち運ぶと、
公園のベンチに俺を置いた。
「モドシテ…。モドシテヨオオオオ…。」
俺がそう言うと、女王は、
「いや、でも、面白いから、やっぱりそのままにしておくか。」
と言った。
すると隣に居たソフィアが、
「もう!女王様ジンさんの事イジり過ぎですよ!」とツッコミを入れる。
すると女王が俺の身体に手をかざした。
女王の手が青白い光を帯び始め、俺のまるで紙の様にペラペラだった身体は元に戻った。
俺は頭を掻くと、女王に掴みかかり、
「何で俺だけバリア張ってくれないんですか!!?」
と叫んだ。
すると女王は俺に膝蹴りを入れ、
「忘れていたんだ。」
と言ってきた。
俺は蹴られた衝撃でうずくまり、ケホッ、ケホッとむせ返った。
隣に居たソフィアが
「でも、謝らないんですね。」
と女王にツッコミを入れる。
すると女王は「兎に角今は人海戦術だ。」と言い
「おい、ジン。貴様の職場に居る仲間達を呼んで来い。そいつらに王国の復興を手伝って貰う。」
と俺に言ってくる。
俺はフラフラとした足取りで職場に向かって行った。
その様子を、ソフィアが汗を掻きながら、苦笑いして後ろから見ていたのは見なくても分かった。
職場の工場に辿り付くと、俺は、工場の人達に声を
掛けようと思った。だが、そこである問題に
ぶち当たる。
(つーか、そもそもこんな話、喋った所で誰も
信じる訳がねえ…。)
どうしようかと俺がしどろもどろに
なっていると、
「どうしたんだ?」
同僚が俺に声を掛けて来た。
振り返ると、そいつは俺の友達の
伊藤光宙
だった。
光宙と言うのは、
聞いて分かる通り、DQNネームである。
そして、こいつは極度の小心者で、少しでも
驚いた事があると、ショックで気絶してしまう。
だが、俺は、(こいつは俺の友達だからな…。
こいつにだけならワンチャン、話せるかも。)
と思い、このピカチュウにだけ、真実を話す事に
した。
「あのさ、ピカチュウ、俺実は…。」
俺はピカチュウに全てを打ち明けた。
話を全て聞き終わったピカチュウは、
「ぶわーーーーーっはっはっはっ!」と
大笑いすると、
「お前さ、作り話随分上手になったもんだな。」と一蹴して来た。
「まあ、そりゃそう言うに決まってるよな。」と俺は苦笑する。
「つー訳で、言っても信じる訳無いから、
俺と一緒に来い。」俺はそう言うとピカチュウの腕を掴むと、「あっ!ちょっ、おい!」と言う
ピカチュウを無理矢理強引に連れ出し、
女王とソフィアの所に連れて行った。
すると、女王は、「良し、では再び始める。」
と言うと、空間に手を前回の様にかざし始めた。
そして、女王の手がまた再び青白く光り始めると
空間が裂け始め、次元の穴が出来始めた。
それを見たピカチュウは驚きのあまり、
「ピッ、ピッ…ピッカッチュウ〜…」と
言いながら気絶してしまった。
ソフィアは「わあああ〜、大丈夫ですか!!?
ジンさんの同僚さん〜!」と言いながら、
慌てふためる。
「伊藤光宙だ。ピカチュウって呼んでやれ。」
俺がそう言うと、ソフィアは、
「えっ!?ピカチュウ!?何だか可愛らしい名前ですね。」と返事する。
女王は、「とりあえず、これで一人王国に連れて行ける奴が出来たな。他の奴らは連れて来れそうに無いのか?」と俺に聞いてくる。
俺は、「無茶言わないで下さいよ〜…。
信じて貰える訳無いじゃないですか〜。」と
情けない返事をするので精一杯だ。
「ふむ。仕方あるまい。先ずはこのピカチュウとやらを仲間に、大型重機の復旧ロボット達で
復旧活動をするとするか。」
女王はそう返事する。
「ああ、あのでも、じゃああの、俺の工場に
大型重機の復旧ロボット達が沢山有るんで、
女王様。案内しますよ。そこでまた穴作って下さい。」俺は女王にそう語りかける。
「おい!ピカチュウ!起きろ!工場のロボット置き場行くぞ!」俺はピカチュウを起こす。
目が覚めたピカチュウは、目を擦りながら、
「ああ、俺、夢見てたんだな…。」
と言いながら、上体をゆっくり起こし、ふと横を見やる。すると、そこに次元の穴が空いており、それを見たピカチュウはまた驚きのあまり、
「ピッ、ピッ、ピッ…カッ、チュウゥゥゥ〜」と言い、気絶してしまう。
「おい!起きろピカチュウ!いつまで同じ事繰り返すんだ!」俺はまた再びピカチュウを叩き起こす。
そんなやり取りを数回程繰り返した後、
ピカチュウはようやく自分が見ている現実が夢
ではない事に気が付き、納得すると、
「分かったよ…。作り話じゃないんだなこれ。」
とだけ言った。そして俺はピカチュウを連れて、女王とソフィアと一緒にロボット工場のロボット置き場に向かう。
工場のロボット置き場に辿り付くと、そこには
所狭しとロボット達が並んでいた。
「良し!到着!女王様、お願いします!」と
俺が言うと、女王は「うむ。任せろ。」と言い、
いつもの要領で次元の穴を空けた。
「じゃあ、ここから皆で復旧用重機ロボット達を操縦して、王国に行くか。と言うと、そこに丁度他のロボットエンジニアの仲間達も入って来た。
他のロボットエンジニアの仲間達も次元の穴を
見るや否や、ピカチュウと同じ様に驚きのあまり卒倒してしまった。でも俺は、
「ああ、良し!これでまた異世界に連れて行ける奴らが増えた!」と喜んでいた。
ソフィアも目を輝かせながら、
「はい!そうですね!ジンさん!」と反応する。
そんな俺とソフィアのやり取りを見ながら、一言「馬鹿か、こいつら」と女王が呆れる。
ピカチュウも「ピッカッチュウ〜」と言う。
俺とソフィアは二人で協力して、気絶している
エンジニア仲間達を起こして廻る。
そして、ここからロボット工場のエンジニア達やピカチュウと言った仲間達を加え、
人海戦術による異世界の改革が幕を開けるのだった。
評価やいいねをお願いします!




