冷めぬうちに
───彼、坂間大和が異変を感じたのは午後10時を過ぎたあたりだった。
今日こそは8時間寝てやると誓い、9時に布団に入った。
しかし、なかなか寝付けない。asmrを聞き始めても逆効果だった。
10、20分と時間が過ぎていく。焦り始めてモゾモゾとしはじめる。
ぬぼ〜とした顔で部屋を見渡した。
いつもの通り整理整頓はされていない。本棚にはゲームが置かれている。
アクション、シミュレーション、ジャンルはバラバラでまとめてもいない。
人と関わること自体が少ないから、中学生に上がってからも勉強の時間を差し引いたとしてもゲームをする時間は大量にあった。毎日毎日ゲーム屋に立ち寄っては遊ばないことでたまった金で新作を買い漁る。たまに中古の古いゲームを買ってきてはやりこむ。
Hoi4なんてPCを買い直してまでやっていた。
10時頃、違和感を感じた。腹が熱いのだ。
(おかしい─今は秋だぞ)
お〜寒いと思いながら布団に入ったのである。熱いはずがない。
(おかしい、おかしい、誰かいないのか?)
声が出ない。彼は関係もないのに思い出し始めた。
(あー母さんが言ってたっけ。出産中は暑かったって)
走馬灯と言うのだろうか。そんなことはどうでもいい。ただ暑い。
その熱は冷めぬまま、ゆっくりと意識を奪った。
どうも。
「君と僕とのタランタッタ」メモを書いている途中に思いつき始め、貴志さんの小説、ドルボザークの音楽で構想が固まりました。
当初、カクヨム連載を考えましたが、異世界転移ものであることを踏まえ、なろうとしました。
なお、異世界転生なのかどうかは難しいです。
ま、お楽しみを〜




