表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命を奪うと言うこと  作者: 葉山麻代
3章 貴族交流

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/62

寝巻

「当主!!」

「どうしたの? 何かあったの?」

 廊下ですれ違った屋敷の者が、慌てて(らん)に報告してきた。

「当主の目が、青く見えます!」

「え?」

 (らん)は慌てて鏡のある場所へ行き、鏡を見てみた。廊下の曲がり角に、鏡があるのだ。

 正面から普通に見てもあまり変わりなく見えるが、角度によって、青く見えるときがある。

「うわー! 素敵ですわぁ!」


「あれ? 慌てて駆けつけたけど、問題なさそう?」

 自由な黒猫のノアールが、報告を受けて駆けつけてくれたらしい。

「問題がございますの?」

 むしろ、慌てて駆けつけてきたことを、(らん)が不思議そうにしている。

「変化を驚いたり、怖がったりしないの?」

「そうですわねぇ、変化は驚きますけど、いずれ変わると教えていただきましたし、楽しみにしていますのよ」

 (らん)が楽しそうに笑った。

「とーしゅ、強いね」

「ありがとう存じます」

 人生において、辛いことをたくさん経験した(らん)は、後悔するくらいなら、何事も前向きに取り組もうと考えている。


「完全に目が青く変わったら、力が解放されると思うよ」

「そうなんですの?」

「うん。実際に見てきた訳じゃないけど、碧眼の黒猫に、完全に覚醒する時期はバラバラで、遅くとも100年って感じらしいよ。とーしゅ、最速かもね」

「覚醒には、どのような決まり事があるのかしらね」

「んー、他人の人生を見た数かなぁ? たぶん、働きすぎだよ」

「え、そうなんですの?」

「だって、猫だよ? とーしゅ、猫知ってる?」

 こんなところにも、貴族教育を受けなかった影響があったようだ。確かに猫といえば、寝ている姿を良く見かける。そして、(らん)はハッとした。


「もしかして、(わたくし)皆さんを働かせ過ぎですわね?」

「あー、それは大丈夫。当主のそばにいると、比喩とかじゃなく、元気になるから」

「本当に無理していませんの?」

「そんな嘘はつかないよ。大丈夫じゃないのに大丈夫って言うのは人間だけだよ」

「それでしたら良かったですわ」

「とーしゅ、気になるなら、皆にも服作ってよ」

 お店の制服を3着作ってもらったため、皆から羨ましがられているのだ。

「勿論ですわ! 早速皆に好みを聞きましょう」


 スーツなどの本格的な洋裁は無理であるが、カジュアルな服を何か1~2着、希望通りに作ると約束した。

 なんと一番多かった要望はパジャマで、次が、添い寝用のぬいぐるみだった。寝ていることが一番時間が長いので、寝ている時に使うものが良いらしい。夏用のサッカー生地やリップル生地、冬用のフランネル、通年使いやすい絹を用意した。


 なんとパジャマ希望者の皆がサッカー生地を指定し、色々な(がら)の木綿素材のサッカー生地で作ることになった。お店の制服とは違い、胸ポケットに名前を入れ、屋敷の皆のパジャマや、ぬいぐるみを作ったのだった。


「当主、ありがとうございます」

「ありがとうございます!!!」

 並んだ全員からお礼を言われた。

「喜んで貰えて良かったわ」

「これで、安心してお店に行けるー」

 ノアールが、感想を漏らしていた。

「ところで、あなたはパジャマは要らないんですの?」

「指導係のブランも断ったでしょ?」

 どうやら、屋敷の皆に遠慮しているらしい。

「お店の制服は仕事着ですけど、今回の寝巻き類は、(わたくし)からの感謝ですのよ」

「せっかく当主が作ってくださるのだから、頂いたらよろしいかと」

 爺やのグリが、ノアールに助言していた。

「ブラン、どうする?」

「私は、ノアール様に合せます」

 二人に決めさせたら、永遠に決まらなそうと(らん)は思った。

「皆には又何か作るから、あなたたち2人分も作りましょう」

「とーしゅ、ありがとう!」

「ありがとうございます」

 希望を聞いて、ノアールとブランのパジャマも作ることになった。


 洗い替えが出来るようにと2着ずつ作ったが、皆の意見としては、何か1つでも作って貰えれば良かったらしく、ノアールやブランが制服を3着持っていることは、割りとどうでも良いようだった。


 ちなみにぬいぐるみの希望は、大きな魚を冷感素材で作ったものと、スマイルカット(変形くし切り)したオレンジに見える大きなものだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ