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命を奪うと言うこと  作者: 葉山麻代
3章 貴族交流

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動物

 猫を連れたまま話したいと言っていると、受付から報告が来た。

「構わなくてよ」

 (らん)が許可したので、猫を抱いたままの高齢の男性が、部屋に入ってきた。

「お初にお目にかかります。動物の耳(アニマルイヤー)、仮当主です」

「碧眼の黒猫、夜香 蘭(やこう らん)ですわ」

「動物の事でお困りはありませんか?」

 犬、猫、などの、ペットになる小型の動物の言葉がわかるらしい。

(わたくし)に近寄る動物が、人か猫しかおりませんので、困ることもなく過ごしておりますわ」


 (らん)は、あまり外に出ないので、なかなか気づかなかったが、他家の飼い犬が、身を低くして、(らん)を見ないように避けるのだ。鳩や雀もすぐに飛んでいくし、(からす)に至っては、こちらに気づくと、一礼してから飛んでいく。

「あー、本当主でしたね。すると、猫語も分かりますか?」

 今代の動物の耳(アニマルイヤー)は、朝子(あさこ)(りん)の他にも会ったが、今まで仮当主ばかりだったので、つい興味本位で聞いてしまったらしい。

「試したことがないので、分かるかどうかが分かりませんわ」

 抱っこされている白猫が、机に降り立ち挨拶を始めた。

ぬし様、初めまして(にゃー、にゃ、にゃー)

「初めまして。? え!?」

 (らん)が混乱していると、奥から黒猫が出てきた。

あー、(にゃー)まだ(にゃ)伝えてないのにぃ(にゃにゃー)

黒猫様、(にゃー)ごめんなさい!(にゃにゃー)

 白猫は、慌てて動物の耳(アニマルイヤー)の腕の中に隠れてしまった。

「えー、なんでー!?」

 (らん)は混乱したのか、お嬢様言葉を忘れている。


 記録係の助手だけが、キョトンとしている。2匹の猫が鳴いて、(らん)が騒いでいるようにしか見えない。


あとで、説明するー(にゃ、にゃーにゃーん)

「わかったわ」

 黒猫は、金色の瞳を光らせ、奥に帰っていった。


「申し訳ございません。ご存じないとは知りませんでした」

 動物の耳(アニマルイヤー)が、謝ってきた。(らん)と同様に、猫の言葉を理解している為、やり取りを理解したのだ。

(わたくし)、引き継ぎをしておりませんので、知識に欠けが多いようでして、」

「そうでしたね。聞いていたのに、考えが至りませんでした。申し訳ない」


 (らん)は、屋敷の者が変身した黒猫以外の、普通の猫の言葉もわかると判明した。そして、猫の中での、一番偉い立場らしいことも。



 その日屋敷に帰ってから、いつもの指導係、自由な黒猫、(らん)に講義をした爺や(じいや)、その他にも屋敷のメンバーが集まり、(らん)に事実が伝えられた。


 いつもの指導係、ブラン。約600歳。

 自由な黒猫、ノアール。人に例えると身分は王子。174歳。

 (らん)に基本の講義をした爺や、グリ。約900歳。

 皆、実齢の1割くらいの年齢に見える。

 他にも、ジョーヌ、ヴェール、ヴィヨレなど、皆、別名があるようだ。ちなみに(らん)の呼び名は、ブルゥらしい。


 (らん)の正体は、猫神様の子孫で、(らん)が、分かりやすく言うなら、屋敷の者たちは化け猫。なので、普通の猫から見て、(らん)や屋敷の者たちは雲の上の存在に当たる偉い猫なんだとか。会う機会はないかもしれないが、ネコ科の動物なら、漏れなく(らん)の言うことを聞くそうだ。

 昔々、猫の神様と結ばれた人の子が、夜香(やこう)家の先祖らしい。

 祈りの間で祈った、翼のある像が、猫神様の像なのだそうだ。


「なぜ、今まで内緒でしたの?」

「当主、動揺はないのですか?」

「特にございませんわ。人ではない自覚はとうにしましたし、正体が分かってスッキリしましたわ」

 過去に、動揺した当主がいたのだろう。

「早く伝えれば良かったねー」

 ノアールが、明るく話していた。(らん)を大事に思い、気遣った結果、伝えるのが遅くなったらしい。


「1つ驚いたとすれば、皆さん、(わたくし)より年上でしたのね」

 指導係や爺やはともかく、ノアールや、その他の若く見えるメンバーは、(らん)より年下だと、(らん)は思っていたのだ。

「とーしゅが一番若いよー」

「そのようですわね」

 現在50歳を越えたばかりの(らん)が、この屋敷の中で、一番若いのだ。


 屋敷のメンバーは、およその者が黒猫に変身できて、人側からは現在(らん)しか居なくて、残りは皆、猫側の化け猫で、常に人に変化していられる優秀な選りすぐりらしい。


「黒猫に変身できない猫側のメンバーは、どういう立場ですの?」

「黒くない猫には変身できるよー」

「成る程ですわ」


 (らん)としては、茶トラや三毛なんかがいるのかな?と考えたが、そういうことではないらしい。

 化け猫の中では、黒猫が一番格が高いそうで、そこは人間出身の(らん)には、わからない感覚かもしれない。


 (らん)に、歴代の名乗りを教えてくれたのは観測者だが、黒猫たちによると、仮当主はブラックキャットと名乗り、本当主だけが、碧眼の黒猫と名乗れるそうだ。 

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