表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命を奪うと言うこと  作者: 葉山麻代
3章 貴族交流

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/62

交流

 (らん)は、交流会から招待された。

 他貴族からの正式な招待だ。(らん)は、貴族社会へ公式にデビューしていないので、他家も様子を伺っていたらしい。


「少し(35年くらい)前の公式なお披露目では、夜香 凛(やこう りん)を仮当主と紹介されたが、彼女はどうしたのかね?」

(わたくし)、正統後継者ですので、当然滅されましてよ」

「なんと! 噂は本当だったのか」

 貴族は、特殊能力を持った家だ。(らん)のような、人間個人を見る者以外に、植物の声が聞ける者や、動物と話せる者、何も無い所から火を操れる者や、水を操れる者など、多種多様な能力がある。


 人を超越した存在ゆえに、一般人にはあまり興味を持てず、(らん)のように、直接一般人相手に仕事をしている貴族家当主は稀である。


「正統後継者になるとは」

(わたくし)が望んだわけではございませんのよ」

「成る程。(たばか)られたか」

「ええ、血族外でしたわ」

 (らん)は、叔母の夫だった者に騙されて儀式をしたのだ。


「正統後継者ということは、この会の主催も引き受けてもらえるかね?」

「何故ですの?」

「寿命じゃよ。一番長いであろう?」


 (らん)に声をかけてきた老人は、真っ白な髭をはやし、98歳だったが、寿命は1年を切っているようだ。


「儂の寿命を見たかね? 今年中に引き継ぐ必要があるのじゃ」

「ええ、そうですわね。ですが、(わたくし)は、この会が、何をする会かすら存じ上げませんわ」

「近況を話したり、新入りを歓迎するだけの集まりじゃよ」

「もしかして(りん)の時も、そんな感じでしたの?」

「お前さんに似た、可愛らしい女の子じゃったな」

 (りん)の日記の記述の意味がわかった。皆優しかったのだろう。

「わかりましたわ。主催をお引き受けいたしますわ」

「おお、そりゃめでたい」


 ほとんどの者は仮当主で、その血の能力を全て引き出している者は、現在ほぼいないらしい。(らん)にしても、全ては解放されていないのだ。


(わたくし)以外で、仮ではない当主の方はいらっしゃるのかしら?」

「居るには居るが、今日は来ておらんな。監視というか、観測者が。やつは政府に仕えておる変わり者じゃ」

「どのような方ですの?」

「その名の通り、新しい当主の誕生を政府に伝える等、貴族の動きを観測しておるのじゃ。お前さんも、特に連絡せず、使いが来たじゃろ?」

「確かにそうですわね。今現在も、物理監視がたくさんついていますのよ」

 政府から派遣されてくる助手たちだ。


夜香(やこう)の力では、致し方有るまい」

 アカシックレコードの読み取りと、エナジードレインだ。監視の1つもつけるだろう。

「困っていることなど有れば、相談に乗るゆえ、主催の件、よろしく頼む」

「了解ですわ」


 世間話をし、わいわい楽しく過ごし、本当に何事もなく解散した。この会にだけは、(らん)に監視もつかず、本当に息抜きの集まりだった。


 (らん)は、監視を息苦しいとは感じていないので、困っていないが、監視されることを息苦しく感じている貴族もいて、息抜きが会の主な設立理由らしい。(らん)の普段の監視はいなかったが、給仕をしているメンバーは、全員政府からの諜報員らしい。まあ、確かに、外に話が漏れても困るので、仕方ないのだろう。


 貴族たちは、突出した能力があっても、人に紛れて人として生きたいために、仮当主以上を目指さない人が多いのだ。



「当主、お帰りなさいませ」

「なんだか、井戸端会議みたいな集まりだったわ。それと、主催に決まったわ」

「かしこまりました。次回開催は、当屋敷で準備いたします」

「よろしくお願いするわね」

「承知いたしました」



 (らん)は、満月を見ながら好きな曲を聞き、窓辺で夜を楽しむのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ