言葉
大分深刻な顔をした若い男性が、占いの時間に相談に来た。
「転職を考えています。どうしたら良いでしょうか」
「あなたの考えの、最良を教えてくださる?」
「嫌な上司が居なくて、部下が言うことを聞いて、ちゃんと暮らせる給料がもらえて、恋人に結婚を申し込める環境が欲しいです」
30歳の中間管理職で、職場の女性たちから総スカンを食らっているようだ。
「今のお仕事先での嫌な上司とは、女性の上司さんかしら?」
「はい!そうです!」
仕事自体の能力はあるが、コミュニケーションに難があり、仕事に支障が出ている。
「転職なさるなら、女性の全く居ない別業種をおすすめいたしますが、まずは、今の職場の女性上司さんが言っていることを、良く考えて、他人を批評しないことから始めてみては、いかがかしら?」
「批評なんてしてません!」
自覚はないらしい。
「では、他人の行動について、いちいち言葉にしないようになさって」
「スミマセン、具体的に教えてください」
「○○さん、もうお腹空いたの?や、今日も良い匂いだね。等ですわ。はっきり言って、物凄く嫌がられていますわね」
「え、それって、円滑に進めるための声かけ」
「完全に、方向性が間違っていますわ」
「なら、何を褒めたら良いんですか?」
女性の匂いについて、褒めているつもりなのは、かなり強烈。
「仕事の早さや正確さですわね」
「そんなのは、出来て当たり前」
「お茶を出されて、ありがとうを言っていますか?」
「え、そんな当たり前のことにお礼を言うんですか?」
「女性に嫌みを言わないのも、お礼を言うのも、スマートな男性なら出来て当たり前でしてよ」
当たり前の基準は、人それぞれ違うのだ。
「スマートさが足りないのか。反省し、改善してみます」
「1月くらい頑張って下さいね」
「頑張っても改善しなかったら、また教えてください」
「よろしくてよ」
後日、どうなったかの報告に来た。
「先生、ありがとうございました。まずは、みんなに謝りました」
今まで、申し訳なかった。批評するつもりではなく、褒めたかったこと、お茶などに、お礼をせずに当たり前に思っていたこと、直したいとは思っているけど、気が付かずに間違えるかもしれない。だから、嫌なことを私が言ったら、どうか教えて欲しい。それが相手の嫌がる事だと言う認識が、私にはないのだと思う。ちゃんと理解して、次からは言わない。図々しいお願いだとはわかっているが、どうか協力して欲しい。という意味のことを言ったと、話していた。
「それで、今はどうですの?」
「ニコニコ話しかけてもらえるようになりました。職場が楽しいです」
「良かったですわね」
「褒めるのも、少しわかりました。コピー機に紙を足してくれるのは、とてもありがたいことだと気が付きました。それをありがとうと言ったら、自分が使うときに用紙不足を見なくなりました。なので、足しているのを見かけたときは、ありがとう助かるよ。と声をかけるようにしています」
「正解ですわね」
「褒めるとは、やる気を出させる魔法の言葉なんですね」
「素敵ですわね」
職場なら、仕事を認め、正しく褒めてくれる上司が一番ありがたい。




