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命を奪うと言うこと  作者: 葉山麻代
2章 占い師 夜香 蘭

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強襲

 ある日、占いの結果について、もめる者がいた。

「こんなはずはない!これはインチキだ!」

「信じられないのでしたら、信じなければよろしいのですわ」

「覚えてろよ!」

 捨て台詞を吐き、追加料金も支払わずに帰っていった。


「先生、どうしましょう」

「明日、又来るから、あなたはたちはお休みしなさい」

「それはどういう?」

「強制回収いたします。他の予約の方に、ご連絡差し上げて」

「かしこまりました」

 今日か明日しか来られないと言う訪日客には、急遽夕方から来てもらい、少しサービスした。


 翌日、休むように伝えたのに、全員出勤してきた。報告義務など、色々あるらしい。

「あなたたち、休みませんの?」

「先生は危険じゃないんですか?」

「刃物でも出されない限り、(わたくし)は、大丈夫でしてよ。危ないから隣の部屋にいらしたらよろしいですわ」

 モニターで見るなら、危険もない。


 (らん)の予告どおり、ボディーガードらしき数人をつれ、再来してきた。

「昨日の暴言を取り消せ!」

(わたくし)は、事実しか申しておりませんのよ」

「まだ言うか!」

「昨日の不払い分と、営業妨害と、迷惑料で、本日の予定収益分と同額の、1億円徴収いたしますわ。あら、28年残っていませんのね。御愁傷様」

 逆上し、(らん)に殴りかかってきた。

「眠って」

 (らん)は呟き、ぐったりとした相手から、27年と152日分のエナジードレインをした。

「これはサービスですけど、余命3日ですわね」

 ボディーガードが慌てて抱き抱え、帰っていった。


「よ、容赦ないですね」

「暴漢ですのよ。容赦する必要性がわかりませんわ?」

「そ、そうですよね」

「このお部屋、少しお掃除しなくてはね」

 物が散乱し、散らかってしまった。


「ところで、昨日、何を言ったらこうなったのですか?」

「後妻に迎える女性の精査についてですわ。(わたくし)が奪わなくても、その女性に生命保険をかけられ毒を盛られる運命でしたのよ」

「それは、」

「保険の加入が本日で、健康診査があるはずですわ。通らないでしょうけどね」

「それは、確かに」

「今回に限り、現金で1億円用意してきたら、寿命を返しますわ。同意は取れていませんからね」

「もっかい来るんすか!?」(もう一回来るんですか?)

「今日の保険契約の健康診査が通らなくて、女が悪態をついて離れて行きますの。それで目が覚めると思うわ」

「それ、いつ見たんですか?」

「先程ね」


 今日の予定はもう無いので、助手は1人が残り、解散した。


 夕方18時頃、数人のボディーガードにアタッシュケースを3つ持たせ、再び訪ねてきた。

夜香(やこう)先生、大変申し訳なかった。先生の言う通りだった。ここに3億円用意した。どうか寿命を戻してはいただけないだろうか」

「理解し納得されたのなら、1億円だけいただきます。今回は、同意を得ていませんからね。お返しいたします。少し反動がありますので、しばらく休んでからお帰りくださいね」

「ありがとう。これからは、助言はしっかり聞くと、心に刻みます」

 (らん)は、命の光を戻した。

 ぐったりし、やがて眠りについた。

 包容して戻せば、相手に負担無く、もっと簡単に戻るが、愛しい相手でもないので、奪うときと同じく、首筋に手を添えて戻したのだ。(らん)は、久々に命の光を戻し、八仙 花(はっせん はな)神風 龍一(かみかぜ りゅういち)のことを思い出した。


「ボディーガードの皆さん、この部屋には誰も入らないので、交代で休まれると良いですわ」

「あ、あの、夜香 蘭(やこう らん)様」

「なんですの?」

「個人的なことですが、大学の頃は、申し訳ありませんでした」

 大学の頃?もう30年も前の話だ。

「なんでしたか?」

「揶揄する友人を止められませんでした」

「あ、(わたくし)を被害者とおっしゃった方ですわね。でも、ご友人が正解でしてよ」

 (らん)は、妖しく微笑み退室した。


 そういえば(わたくし)、大学中退ですのね。意外なことを自覚し、(らん)は少しだけ落ち込むのだった。

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