03_一章_集められた4人_02_適合者1号
■著者前書き
こんにちは。著者の上下Kちゅけです。
月一回の連載では、存在に気づいてもらいにくいことが分かりました。
03月配信は試しに6分割して掲載してみたいと思います。
なので03月配信は1分割あたりの文章量はとても少なくなっていますが、ご了承くださいませ。
■もくじ
・01月配信_零章_著者前書き
・02月配信_序章_セレンディピティ
・03月配信_一章_集められた4人
├ 一章_集められた4人_01_調査状況
├ 一章_集められた4人_02_適合者1号 ← ◆今ココ
├ 一章_集められた4人_03_適合者2号
├ 一章_集められた4人_04_適合者3号
├ 一章_集められた4人_05_適合者4号
└ 一章_集められた4人_06_実験結果
・04月配信_二章_活動開始
・05月配信_三章_デバッグ日誌
・06月配信_四章_やかましいデバッガー達
・07月配信_五章_静かなリターナー達
・08月配信_六章_符合
・09月配信_七章_裏側へ、そしてリーダー交代
・10月配信_八章_ベストカップル・オブ・ザ・ワールド
・11月配信_九章_天国サイドと地獄サイド
・12月配信_終章_俺たちの戦いは始まったばかりだ!
■これまでのあらすじ
・大阪とサンパウロに謎の巨大UFOが出現。何も起こらず20年経過。
・ゲート通過型VRゲームを開発中の大阪のゲームプログラマ。
・バグ?でUFO内部への侵入ルートを発見。
・単独で侵入し船内に閉じ込められている地球人が多数いることを知る。
・警察に連絡し調査が開始されるが、大きな問題が…。
・警察官や自衛官はことごとく弱体化し、まともな潜入捜査ができない。
・発見者のゲームプログラマはヒーローのような変身を遂げるのだが…
・彼女は特異体質なのか?それとも、宇宙人なのか?
・プログラマを人体解剖した結果(合掌…)、あるDNAとの関連が見つかる。
■この章のあらすじ
・全国の自衛官や警官に適合者は一人もいなかった。
・全大阪市民に対して検査を行なった結果、適合人材が見つかった。
・ゲーム会社のプロデューサー、ツクモはUFO対策本部のメンバー。
・開発中ゲームのテストと称し適合者4人を集めゲート通過実験を行なう。
・結果4人はUFO内部でゲーム的なヒーローキャラへ変身を遂げる。
・実験は成功だ!
ある日曜日。大阪市内のゲーム会社に適合者が呼ばれた。
仮に適合者1号としよう。彼は天王寺の高校に通う16歳の男子高校生だ。ゲーム好きだそうでゲーム会社に来られたことにウキウキしている様子だ。会議室の壁にずらっと貼られた有名ゲームのポスターを見てテンションが上がっている。
「わー、ええなー。オレ、将来はゲームクリエイターか漫才師になりたいと思ってるんですよ」
適合者の応対はツクモの役目だ。研究者や政府関係者は別の会議室でモニターしている。大手ゲーム会社には一般ユーザーが開発中ゲームをプレイする様子やプレイ後のインタビューの様子を観察できるマジックミラーを備えた部屋があるものだが、この会社にはないため隣の小会議室に押し込められている。ここは開発会社なので普段ユーザーが訪れることはない。
不慣れな一般ユーザーへの対応を、ツクモはできるだけ自然体でこなそうとした。
「このポスターの中で遊んだことあるゲームってある?」
「あります、だいぶあります。アクションゲームが多いんですね。この会社が作っているのって」
「そうだね。そこにノウハウを持っているから自然とそういうタイトル開発でお声がかかる」
「おー標準語やー。関西の方とちゃうんですか?確かこの会社って東京に本社があるんでしたっけ?」
「よく知ってるね。ウチは開発会社だからそんなに有名じゃないのに」
「今日のことが楽しみ過ぎて昨日夜、ここのWebページとか色々見まくってたんですよ」
「なるほどね。私は元々は東京の別の会社に勤めてて転職してきたんだよ」
「やっぱ、ゲームって作るの楽しいですか?」
「もちろん。君はゲームクリエイターか漫才師だって?将来の夢。漫才師って珍しいね。VRTuberじゃないの?今どき」
「友達でね。ネタ考える天才がいるんですよ。そいつが言うには劇場でやりたい。ネットやTVやとせっかくおもろいネタでもすぐ消費されてしまうって言うんです。意味分かります?オレはあんまり分からへん」
「へー、しっかりした考えを持つ友達がいるんだね」
「はいそうなんです。天才ですよそいつのネタめちゃおもろい。でも地味なんですよねー。オレはネタとか考えられへんけど、華があるって人からよく言われます」
「じゃ、ネタ担当が友人、君が盛り上げ役で…どっちがボケ担当?友人の方?」
「そうです。よく分かりましたね!今度M1出よ思って練習してるんですよ、その友達と。けど、悩むなー。ゲームクリエイターも魅力的やなー」
「私からアドバイスするとしたら、まずは漫才がんばったら良いと思うよ。将来ゲーム会社を受けるとしても、履歴書にM1何回戦突破!とか書かれてたら面接したくなるからね」
「そうか!確かに!ええこと聞いた。今日はよろしくお願いしますー」
素直でいい子だ。ツクモは適合者1号を支度部屋として準備されている別の会議室まで案内した。
(03月配信_一章_集められた4人_03_適合者2号につづく)
■Kちゅけのゲーム業界用語講座
「序章_セレンディピティ」に登場したゲーム用語が難しかったという声にお応えして、3月の後書きのこの枠でゲーム業界用語講座をします。
01【プログラマ(エンジニア)】
02【AAAタイトル】 ← ◆今ココ
03【COOPアクション】
04【α段階】
05【発注元】
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【AAAタイトル】
読み方:トリプルエータイトル。
ゲームの制作規模を表す言葉で超大作のゲームタイトルを指す。
多くの人に購入されることを想定して莫大な開発費を投入して制作される。
規模は数十億円~数百億円ぐらい。
AAAの下は何なのかと言うと…定かではない。
社内で「AAAはないけどAA規模ぐらいはある」みたいな言い回しを聞いたことがある。
おみくじの吉、中吉、小吉の順がよく分からないように制作規模を表す順も分からない。
以下は私が今考えた順番。
・AAA …規模は数十億円~数百億円ぐらい
・AA …規模は~十数億円ぐらい
・A …規模は~数億円ぐらい
・B …規模は~一億円ぐらい
・C …規模は~数千万円ぐらい
・これ以下はインディゲーム(独立系個人制作者が作ったゲーム)規模
いかがでしょうか?
決してAAAタイトルが面白くてCタイトルが面白くないという訳ではありません。
AAAは制作費も宣伝費も潤沢にかけた大衆層向け作品。
Cは製作費も宣伝費もあまりかけずに売れる本数が多くなくてもリクープ(製作費を回収すること)できる、それでいて一定数量が確実に売れることが見込めるニッチ層向けのタイトルということですね。
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ゲーム会社新人カリキュラム課題「なろう」小説連載で人気得るべし…を遂行中。
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上下 Kちゅけ(ゲームデザイナー)