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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第2章 エステルマギの埋蔵金

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お守りの行方

「私がザカリヤ・エステルマギの子孫であるということは、だいぶ前に母から聞いていました。でも、母からはお守りのことは聞いてないです。私自身も見たことはありません…」

みんなが固唾を呑んで見守る中なので、アリューシャの声は少し上擦っている。しかし、お守りを見たことがないとはな…。


「だけど…そういうお守りがあったという話は母から聞いています。そのお守りにはザカリヤ・エステルマギが隠した5兆リガのお金の隠し場所が秘められているとか…母の父、私から見ると祖父に当たる人がそんな眉唾物の話を信じて、狂ったように同じお守りを持つ3人の子孫を探し回ったそうです」

なるほどね…あの時のトゲの理由がよく分かるぜ。


「でも…結局、1人も見つけることはできませんでした。母は…カネ、カネ、と言い続けて一生を終えた祖父のことを憎み、軽蔑しているようでした。私も…愚かな生き方だったと思います」

3人の…いや、おそらくすべてのお守りの持ち主を把握しているあの女は、相当おかしなことをやっているな。


「だから、私はささやかでも静かな人生を送りたい…そう思っています」

それがいいと思う…いや、それが一番大事なんだ。


「そうなってくると…シャーラレイさんがお守りを処分したという可能性もあるな」

カレンが難しい顔をして言った。別に疑っている訳ではないのだが、アリューシャの話が本当だとすると、その可能性は高いと思う。だが、ウルマリスがその話を信じるかどうかは別問題だ。


「悪魔の証明、ということになりますね…」

ユリーシャの表情も曇りがちだ。お守りはもうないという証明が不可能とは言わないが、非常に難しいことは間違いない。


「話はちょっと変わるんだけど…アリューシャの向かいの家にはどんな人が住んでいるの?」

アマユキレーダーに引っ掛かった例のどす黒の家か…これも気になるところだ。


「向かいにはノイラートさんという方が住んでます。確か…4ヶ月…ううん、5ヶ月ほど前に越して来たんじゃないかな…。占いをお仕事にしてるって言ってましたね。母の病気を心配してくれて、薬を都合してくれたこともありました」

いい人そうに見えるが…どこがどす黒なんだ?


「その人ってさ、どんな人だった?」

それでもアマユキは食い下がる。ここは成り行きを見守ることにしよう。


「う~ん…白髪頭が目に付くお爺ちゃんって感じかな?」

これはもしや…。


「その人の似顔絵を描きたいんだけど…協力してくれる?」

「いいけど…」

アリューシャは少し不満げだが、応じてくれた。


アマユキは写実のペンを取り出し、アリューシャに色々と質問する。一見すると普通に似顔絵を描いているように見えるが、そうではない。アリューシャが思い浮かべているノイラートの像を写実のペンが読み取り、描いているのだ。


「こんな感じ?」

「そうです。凄いですね…」

まるで写真のような出来映えの似顔絵に、アリューシャも驚きを隠せない。


だが、俺達が注目したのは出来映えではない。描かれた似顔絵は、あの時ファゼルの元へ真っ先に駆け付けた老人だった。ファゼルからお守りをスッた可能性が高い男、ツザナ。まさかまさかだな…。


「ショウはどう思う?」

描いた写実画をアマユキから手渡され、意見を求められた。ここは迂闊なことは言えないぞ…。


「ファゼルの元へ誰よりも先に駆け付けた老人だな」

俺は間違いのない事実だけを返した。アマユキは何か言いたげだったが、何も言わなかった。


「アリューシャちゃんの…お部屋はどうしますか?」

どうでもいいような話ではあるが、ここはフェリシアさんがいい仕事をしてくれた。アリューシャの前では話し難いこともあるからね…。


「今夜は私が一緒に寝よう」

「えっ?ええっ!」

カレンは純粋にアリューシャを守るために言っているのだが、アリューシャはそうは受け取っていないようで…焦りまくっている。


「遠慮することはないよ。案内しよう」

ナチュラルたらしさんは一味違いますね。


「は、はい…」

顔を真っ赤にしたアリューシャが、カレンに連れていかれてしまった。みなさん微笑ましく見守っております。


「で、本当のところはどう思ってるの?」

二人がリビングから退出して、少し間を開けてからアマユキが切り出した。


「ノイラートはツザナで間違いないだろう」

ファゼルが肌身離さず持ち歩いていたお守りが、その後の検分で見当たらなかったこと。魔剣の機能でスリの瞬間らしきものが見えたこと。それらを考え合わせると、そういう結論になる。


「ヤツらは5ヶ月ほど前からシャーラレイを張っていたんだ。おそらく薬を融通するなどしてシャーラレイに接近し、お守りのことを聞き出そうとしたんだろう…」

使える手は何でも使う…狡猾なツザナらしい策だぜ。


「でも、聞き出せなかったんだろうね…」

そうだな…アマユキの言う通りだ。


「シャーラレイが強情だったのか、それともお守りをすでに処分していたのか…それは分からないが、この策は上手くいかなかった。それで実力行使に出たんじゃないかな…」

これで辻褄は合っているように思う。我ながら名推理だぜ。


「ティアリス的には90点でし!」

いやいや、残りの10点はなんだよ?


「あの家にはシャーラレイとアリューシャの二人しか住んでなかったのに、持ち物は随分と多かったでし。シャーラレイは物持ちがいい人だったに違いないでし!」

確かに物持ちは良さそうだったが…。


「それに…お守りというものはそう簡単に捨てられるものではありません。それがたとえ曰く付きのものであったとしても、長きに渡って受け継がれてきたものなのですから」

まあ、ユリーシャの言うことももっともだな。


「そうですよ。そもそもザカリヤさんからプレゼントされたものなんですよ?捨てる訳ないじゃないですか!」

てめぇは黙ってろ、変態!


「分かった、分かった…お守りはどこかにある。明日からそのつもりで捜すぞ」

どのみちお守りがあろうがなかろうが、アリューシャが安全に暮らすためにはこの事件を完全に片付けないといけないんだ。見つからなかったらその時はその時だ。別の手立てを考えればいいさ。

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