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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第2章 エステルマギの埋蔵金

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怪しげな魔法戦士

一通り部屋の検分を終え、待ち人が来るのを待っていると、やって来たのは毎度おなじみのゲオルクとその部下達だった。話が分かる人間が来てくれたのはありがたいね。ここは俺とティアリス、それからアマユキで応対することにしよう。


「お、お待たせしました…」

「ゲオルクか…早かったな」

おそらくゲオルク達も港の方に行っていたはずだ。ここは真逆に位置する。それを考えると、早いってもんじゃないぞ。


「み、港の件は…同僚に任せました。ク、クランドールさんから…そう言われたので」

そういうことか…それで大雑把に理解できた。


港で何があったのかは分からないが、そこにはクランドールも出張っていたのだ。そこで正反対の位置からの呼び笛を聞き、そこにいるのが俺達ではないかと疑った。それなら他の者を行かせるよりは、事情を知っているゲオルク達を行かせる方が良いと判断したのだろう…切れ者ですな。


「港では何があったんだ?」

あれだけ呼び笛が吹かれまくっていたのだから、さぞかしとんでもないことが起こっていたに違いない。何が起こっていたのか?それは誰だって気になることだ。


「け、喧嘩です…」

「はいぃ?」

まさか喧嘩とは思わなかったので、俺はどこぞの探偵のような刑事がよく言う返しをしてしまった。あれだけ頭脳明晰なら、こんな事件はちょちょいのちょいで解決してしまうのだろうが…それはともかく。


「何で喧嘩なんかであんなに人を呼ぶ必要があるんだ?」

大事なのはそこだ。


「と、とにかく人数が多かったのです。何人いたのかは、分からないくらいです…」

なるほどね…そういうことか。


1対1の喧嘩ならどうとてもできるだろう。だが、10対10…いや、もっと多くなれば?とてもじゃないが制御できなくなる。そうなればちょっとした騒乱だ。その雰囲気に流され、調子に乗ったことをするヤツだって出てくるはずだ。


当然、それを鎮めるためには応援が必要になる。その結果、港の方に魔法戦士が集まり内陸は手薄になる。その隙に家で療養していたシャーラレイを襲撃し、殺害したんだ。


シャーラレイは心臓を一突きで殺されていた。相当な使い手のなせるワザだ。となれば、実行犯はウルマリスの可能性が高い。策を講じたのはツザナだろうが…。


何にせよ、ヤツらはここにやって来たのだ。ならば姿を見ている人がいるかもしれない。ゲオルク達が来てくれたことだし、俺と誰かもう1人くらいはここを離れて聞き込みに行っても問題ないだろう。では、誰と一緒に行くか…。


「アマユキ、ちょっといいか?」

これが最善の選択だ。


「いいわよ」

ティアリスがにやにやしているが、これにはれっきとした訳がある。


ユリーシャを連れていくのは無理。アリューシャにはカレンが必要でティアリスは論外。残るはアマユキとフェリシアさんだが…どちらかを選ぶのであれば、人間レーダーを備えているアマユキだろう。


「ゲオルク達はティアリスの指示に従ってくれ」

ティアリスは一位武官だからな…これは当たり前の手立てである。間違ってもにやにやティアリスに対する嫌がらせではない。


「了解でし!」

元気いっぱいに答えるティアリスに後を任せ、俺とアマユキはご近所さんに聞き込みだ。念のために不可視の錫杖を上空に飛ばしておけば、何かあってもすぐに戻れるだろう。


さてさて、肝心の聞き込みの方だが…カレンが評したように、ここは閑静な通りで今は昼下がりなので、人がさらにいないようだ。そもそも人がいなければ話を聞くこともできない。聞き込みは難航した。


「そんなに上手くはいかないもんだな…」

10軒ほど空振りが続くと、さすがに焦りが募ってくる。


「聞き込みなんてこんなものよ」

アマユキは特に気にしていない。そういうものなのか…ならば気長にやっていくしかないな。その後も地道に聞き込みを続けていくと、ようやく有力な情報を拾えた。


「怪しげな人は見かけてないけど、怪しげな魔法戦士なら見かけたわよ」

やたらと声の大きいおばさん…いや、お姉さんが少し気になることを話してくれた。怪しげな魔法戦士というパワーワードに、俺とアマユキは思わず顔を見合わせてしまった。


「どのような…魔法戦士でしたか?」

さすがのアマユキも少し戸惑っているね。


「目もとしか見えないマスクをつけてたのよ、しかも4人も。怪しいでしょ?アハハハ!」

お姉さんは豪快に笑っております。


「それはこんな感じの魔法戦士ですか?」

「そうそう、100パーセントこんな感じ!」

アマユキが俺の格好を例に挙げて尋ねると、お姉さんは朗らかに答えてくれた。間違いなく軍の魔法戦士だな。


「その…怪しげな魔法戦士を見かけたのはいつ頃ですか?」

「正午ぐらいだったかしらね~、アハハハ!」

このお姉さん、笑い声が文字になって空中に浮かび上がりそうだね。とにかく豪快に笑っております。


この怪しげな魔法戦士の情報は、豪快に笑うお姉さん以外にも見た人がいた。時刻はいずれも正午前後。確度が高い情報と見ていいだろう。


目もとしか見えないマスクと言えば、俺達もカレンが見つけた掘り出し物のフェイスマスク付防寒キャップを持っている。もし正式採用されたら、怪しげな魔法戦士が量産されてしまうかもね。


それなりの収穫を手にしてみんなが待つ家に戻ったところで、アマユキがふと足を止めた。その目が何かを探るように向かいの家に注がれている。人間レーダーの本領発揮だな。


「何か…あるのか?その家に…」

俺はなるべく邪魔をしないように、タイミングを見計らってアマユキに声を掛けた。


「んー…嫌な感じがするのよね」

そうきましたか…気になるね。


「色で言うと何色だ?」

「どす黒」

「そいつはヤバいな…」

調査の要ありだ。ゲオルクに調べておいてもらおう。確かな収穫と不確かな収穫を手に、今度こそ俺達はアリューシャの家に戻った。

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