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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第2章 エステルマギの埋蔵金

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教育の一環

声の主の方を見やると、そこにはティアリスが立っていた。このティアリスは前にも見たことがある…確か最終試験の時だ。あの時のように殺気を放ってはいないが、人を小馬鹿にするような笑みを浮かべていやがる。ムカつくヤツだぜ…。


「犯人を見つけることはできなかった」

努めて冷静に事実だけを話し、俺は下へ降りようとした。


「お前は間違っちゃあいねえよ」

それに対して、ティアリスはへらへらと笑いながら言いやがった。てめぇはホントにいらつくヤツだな…。


「俺達が別行動をしていれば、防げていたかもしれないだろ!」

よせばいいのに、相変わらずのせせら笑いを浮かべるティアリスに、俺は思わず食って掛かってしまう。


「別行動?笑わすな!却下だ」

「なんでだよ…」

このティアリスをぶん殴ってやりたい衝動に駆られるが、俺は歯を食いしばってそれを必死に抑えた。落ち着け…落ち着け…何かの呪文のように自分に言い聞かせる。


「どこの馬の骨かも分からない女の命と、ユリーシャ様の安全なら比べるまでもないだろう?」

その瞬間、全身の血が沸騰するように熱くなり、頭の中が真っ白になった。このロリババア、ぶった切ってやる!


だが、俺は何もしなかった。見えたのだ…俺が魔剣を抜くよりも速くティアリスの手が魔剣の柄を押さえ、同時に抜かれた魔法剣が俺の首を切り裂く光景が。


シックスセンスが指し示す不吉な未来。そんな未来は選択できない。悔しいが、俺とティアリスの間には圧倒的な力の差があるのだ…。


「大人になれ、ショウ。どんなに強くなっても、無辜の人すべてを救うことなどできはしない」

ティアリスは聞き分けのない子供に諭すように、俺に言い聞かせた。わだかまりはあるが、いつもとはまるで違うティアリスの言うことは、聞かねばなるまい。


言いたいことは…分かっているつもりだ。俺達はユリーシャ専属の魔法戦士。ならば、ユリーシャの安全を第一に考えるべきだ。俺は別行動という選択に思い至らなかったが、先輩方ははなっからそんな選択肢を持っていなかったのだ。役割分担ってことか…アインラスクの治安はあくまでもアインラスクの魔法戦士が担うものなのだ。


おそらくリアルナさんがティアリスをここへ差し向けた理由も、魔法戦士としての俺の考え方、行動に全幅の信頼が置けなかったからだろう。ユリーシャがこの事件に首を突っ込むことを認めはしたものの、原則を曲げるつもりはないってことか…。


俺達がこの事件に深入りしようとした時に、クランドールがユリーシャに弱冠の不快感を示したのも、俺達のような専属の魔法戦士の本気度を疑ったからなのかもしれない。だとしたら、それは大正解だぜ…自嘲気味に笑いながらそう思う。


「レガルディアの魔法戦士ってなんなんだよ…」

うんざりするな…。


「それが受け入れられないのなら…ショウ、強くなれ。どんな困難をも乗り越え、切り裂き、誰にも到達できない強さを身につけろ。それだけが…大事な何かに向かって進んでいくたった一つの方法なんだ…」

さっきまでと言ってることが違うぜ…お前、無茶苦茶だな!嫌味の一つでも言ってやろうと思ったが、ティアリスのどこまでも真剣な眼差しを見ると、何も言えなかった。


ああ、そうか…ティアリスも俺と一緒なんだ。アイツも思い知らされてきたんだ…どれだけ力を尽くしても、どうにもならないことがある。何度もそれを思い知らされた。何度もそれを学ばされた。それでも…そこからさらにあらん限りの努力をして、本当の力を身につけたんだ。


だけど…まだ足りない。だったらどうする?諦めるか?冗談じゃない!人間誰しも理想を求めては失敗し、悔やみながら…それでも少しずつ前に進んでいくんだ。


それは同じ所をぐるぐる回っているように見えるかもしれない。無様な堂々巡りと言われれば反論しようもない。でも、そういうものが最後に大きな風穴を空けるんだ。


「教育の一環ってヤツか?」

今の俺はレガルディアの魔法戦士。だが、大陸から来たスパイだと疑われている身でもある。だからこそ、何をすべきなのか?それを考えて行動しなければならないのだ。


「そうでし!本音と建前は上手に使い分けないとダメなのでし」

ここからは裏ティアリスをやめて、いつものティアリスでいくようだ。


「普通に伝えてくれよ…」

俺はげんなりしながら小言を言った。


「ショウちゃんは頭が悪いから、ちゃんと覚えられる方法で教えたのでし!」

うぐっ、そう言われると反論しようがないぜ…確かにこれは忘れられそうにない。


「分かったから…もう降りようぜ」

なんだかどっと疲れたよ…。


「了解でし!」

そんな俺をよそに、ティアリスは元気一杯に答えるのであった。

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