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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第2章 エステルマギの埋蔵金

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女たらし?

「ショウ、ここは任せたぞ…」

どうやらカレンの策にはまだ続きがあるようだ。何を考えているのかは分からんが、ここは引き受けるしかないだろう。万が一に備えて、カレンの上空にも不可視の錫杖を飛ばしておくか…。


「ひもの替えはある?」

再びアマユキの方に注目すると、アマユキがアリューシャに尋ねていた。


「いえ…ありません」

アリューシャは困ったように答えた。そりゃそうだよな…。


「それじゃあ…その荷物、私が持ってあげるよ」

「そんな…悪いですし」

アマユキの申し出に対して、アリューシャはさすがに申し訳なさそうだ。でも、コイツらが仕組んだことだから、悪くはないぞ?


「いいのよ。困った時はお互い様って言うでしょ?それに私、こう見えても体力あるから。だから、任せて!」

アマユキが力こぶを作ってみせた。それほど立派な力こぶではないが、今のアリューシャにとっては頼もしく見えるだろう。


「分かりました…それではお願いします」

ちょうどアリューシャは食堂の前にいたので、その軒先にある長椅子に背負っていた荷物を下ろした。


「こっちでいいの?」

代わりにそれを背負ったアマユキが、そう尋ねつつアリューシャが歩いていた方を指し示した。


「はい…一度、家に帰ろうと思ってます」

これから家に帰ってくれるというのは、俺達にとって朗報だ。上手くいけばお守りを借りられるかもしれないぞ。


靴ひもが切れているアリューシャと、慣れない荷物を背負っているアマユキでは、歩くペースはちっとも上がらない。その代わりにお喋りのペースはぐんぐん上がっていった。


「これ、結構重いね…何が入ってるの?」

知ってるくせに。


「公衆浴場で使う石鹸とかシャンプーとかオイルとか…そういった物が入ってます。今日は持ってきていませんが、マットとかタオルとかを売ることもありますよ」

浴場が必要とするものはなんでも揃えて売りに行くみたいだね。


「オイルってさー、私はオリーブオイルを使ってるんだけど…他にいいのってある?」

アマユキの髪はいつもうるツヤです。


「人気があるのはやっぱりオリーブオイルかな…馴染みがよくてベタつかないのがいいですね。全身のお手入れにも使えるんだよ」

アリューシャは美容関係の知識が豊富で、そっち系の話をするのも好きそうだ。


「それから、ちょっと高いんだけどアルガンオイルもお薦めだよ。美容や健康にいいスーパーオイルって言われてるの。でも、ちょっと前のレガルディア・タイムズでエレーナ様がユリーシャ様に薦めたって記事が出ちゃって。さらに高くなったのが残念なところなんだけど…」

だから、ユリーシャはいつも綺麗なのだ。


アマユキに上手く乗せられて、アリューシャはとても楽しそうだ。ついさっき出会ったばかりだというのに、まるで数年来の友達のようである。いやはや、恐れ入りました。


それでは、単独行動をしているカレンはこの二人にどう関わるつもりなんだろう?不可視の錫杖でカレンがどこにいるのかは分かっている…俺達がいる通りと並行する通りを、先回りして二人と接触するつもりのようだ。


アマユキは美容系の話でアリューシャと上手く関係を構築したが、カレンはどうするつもりなのか?ここはお手並み拝見ですな。


「アマユキ…か?こんな所で何をしてるんだ?それから…」

「あっ、カレンじゃん!久しぶりだね」

まるでしばらく会ってなかった旧知の仲と偶然会ったかのように装っているが、この二人はさっきまで一緒にいました。役者ですね。


「こちらのお嬢さんは?」

カレンがクールにアリューシャに尋ねた。何というか…イケメンだな。


「あ、アリューシャと言います。靴ひもが…切れちゃいまして」

アリューシャの顔が仄かに赤い。カレンとは目を合わせられないようだ。カレンには年下女子のファンが多く、去年の収穫祭のように本人も手を焼いているが、それは自分で蒔いた種なんじゃないのか?


「アリューシャは美容のこととかすごく詳しいんだよ!」

アマユキさん、褒め上手ですね。


「なるほど。どおりで可愛らしいお嬢さんな訳だ」

もはや口説いているようにしか見えないな…この女たらしめ!


「そんな…可愛いだなんて…」

照れまくるアリューシャは、もうじき口説き落とされてしまいそうだ…自分をしっかり持ってください!分かっていてやっているのかどうかは分からないが、カレンも罪な女だぜ…。

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