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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第2章 エステルマギの埋蔵金

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発見

翌朝、俺達は朝一番で市役所へと向かった。ゲオルクがスクレイアさんに話を付けてくれていたのだろう…アリューシャの住所はすぐに分かった。随分と内陸に、母親と一緒に住んでいるようだ。アインラスクは内陸の方が地価は安い。苦労しているのかもしれないな…。


「きょ、今日も…しっかりと巡回してきます!」

ゲオルクの表情は明るい。成果を挙げられなかった…いや、そもそも成果など期待していなかった巡回で、成果を挙げたのだ。その気持ちはよく分かるぜ。


「私達はアリューシャさんを捜しましょう!」

ユリーシャが証書の写しを手に、力強く宣言した。証書には訪問してもよい浴場が記されている。アリューシャを見つけることは、そう難しいことではないはずだ。


思っていた通り、俺達はアリューシャをすんなりと見つけることができた。黒柿のような深く渋い茶色の髪を、ポニーテールにまとめた可愛らしい女の子だ。今は持ってきた荷物を広げ、浴場の女将さんが品物を選んでいるところだった。


「オリーブオイルが5つと…そうねぇ、それから櫛も5つ貰っとこうかしら」

「はいっ、ありがとうございます!」

快活そうな女の子だね。売り子のような仕事はピッタリだろう。


「女将さん、軽石はもう3つほど貰っときましょうよ」

若い衆がさらに注文している。愛嬌のあるアリューシャは、誰からも好かれているようだ。


「ところで…お母さんの体の具合はどう?」

女将さんが心配そうにアリューシャに尋ねた。アリューシャのお母さん、病気なのか…。


「だいぶ…よくなりました。女将さんに都合していただいた薬のおかげです」

アリューシャの表情も少しばかり曇ってしまったが、容態はそこまで悪くないようだ。


「それは良かったわ。きっとアリューシャの願いが天に通じたのね。元気になったらまた二人で遊びに来てね」

「はいっ」

いい女将さんだな…ちょっとしんみりしちまったぜ。だが、感傷に浸っている暇はない。


「さて…どうする?」

もちろん話を聞くのが目的なんだが、アリューシャになるべく怪しまれずに接触する必要がある。ちなみに俺はノープランだ。


「まずは外で待機だ」

カレンが自信を持って答えた。何やら策があるようだな…そして、それは一つ頷いたアマユキとティアリスにも以心伝心しているようだ。


一方でフェリシアさんは、今日もはぁはぁと息遣いが荒い。アリューシャを見る目が犯罪者のようだ。コイツを捕まえたほうがいいような気がするぜ…。


俺と…それからユリーシャもよく分かってはいないが、ここは周りに合わせて外に出るべきだろう。外に出るとカレンとティアリス、それからカレンに促されてユリーシャが浴場の左隣の建物の前へ陣取った。


「私達はこっちよ」

アマユキに促され、俺とフェリシアさんは右隣へ移った。両隣の建物はどちらも普通の民家のようだ。頃合いを見計らって、カレンとアマユキが幻影と不可視の盾の魔法をかけた。


これは忍法隠れ蓑の術みたいなもんだな。俺達はユリーシャも含めて壁に張り付くように立っているので、道行く人は誰も違和感を感じないはずだ。待つこと数分、アリューシャが浴場から出てきた。もちろん、俺達がいることには気が付かなかった。隠れ蓑の術、なかなか使えるね。


でも、どうやってここから出るんだ?などと考えているとアマユキは実に普通に外に出てしまった。俺の前にはまだ不可視の盾が張られているので、カニのように横歩きをして盾が途切れている所から外に出た。


外に出て気が付いたのだが、外から見ると俺達は普通に玄関から出てきたように見える。この辺の芸は実に細かい。これだと誰にも怪しまれないだろう。


「ショウはカレン達と合流して…」

すでに気配を消し、見える透明人間のようになったアマユキがそう言い残して、アリューシャの後を追う。念のために俺も不可視の錫杖をアリューシャの上空に飛ばした。アマユキは10m程の距離を開け、アリューシャについて行く。俺達はさらに距離をとった。


「少し…離れすぎじゃないか?」

「何のために魔法樹を抜けるトレーニングをしたんだ?」

心配になってカレンに聞いてみたが、何も問題はないと言わんばかりに切り返されてしまった。


言われてみるとそうだな…この程度の距離と障害など、たいしたことではない。このままで尾行だ。

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