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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第2章 エステルマギの埋蔵金

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歩こう!

この事件が長引くのかどうかは分からないが、今のところ突破口になりそうなものは何も見つかっていない。冷静に考えると、迷宮入りの可能性も十分にあると思う。仮にそうなった場合、少しでも多くの手がかりを残し、次に繋げる必要がある。


そして、それを繋げるのは俺達じゃあない。アインラスクの魔法戦士、もっと言えばゲオルクだ。どのような結末を迎えるにせよ、最後の最後までつき合ってもらうぜ…ゲオルクを送り出し、リビングへ戻りながらそんなことを考えていた時だった。


コン、コン、コ~ン♪


実に楽しそうに真鍮のドアノッカーを鳴らす音が、家中に響き渡った。真面目に考え事をしているのが馬鹿らしく思えるような音だ。やはりこの民家のドアノッカーには、訪れた人に合わせて音が変わる機能があるに違いない…と本気で考えてしまうが、もちろんそんな機能はない。思った通り、やって来たのはティアリスだった。


「たっだいまー!」

ここはお前の家ではない…そう言ってやりたいところだが、彼女はティアリスなのだ。この程度のことで動じてはならない。


「おかえりなさいませ。今日は早かったですね~」

フェリシアさんがにこやかにティアリスを迎え入れる。早いとか遅いとか…それはどこで判断しているんだ?


「ショウちゃんの尻拭いに来たでし!」

俺がミスした訳じゃねえし…。


「そんなことより…今回の件、本当のところはどう考えているんだ?」

ティアリスが巻き起こしたカオスを、カレンはそんなことで片付けてしまった。実に手慣れているね。


「今回の件ってなんでしか?」

そんなことではめげないティアリスが、強烈な割り込みを食らわす。少し大人しくしてくれませんかね?


「今日の午前中にペスカード市場で殺人事件があり、私達がそれを調べることになったのだ」

嫌な顔一つせず、カレンはこの一件を極めて簡潔に説明してやった。もはやさすがを通り越しているよな…人間性、高すぎだろ。


「それで…ショウはどのようになると思いますか?」

カレンの分かりやすい説明の後、再びユリーシャに尋ねられた。どうあっても答えを聞きたいようだ。この一件はユリーシャの鶴の一声で始まっているからな…それも仕方がないだろう。


「どうもこうも…可能性を一つずつ当たっていくしかないさ。まずは明日のルアンザラーン商連合だな」

そして、その後はファゼルの奥さんだ。それしかないだろう。


それにしても、ルアンザラーン商連合とはね…奇しくもそこは今日のアインラスク観光で近くまで行っている。あの空を突くような高い尖塔を持っている館だ。不思議な縁を感じざるを得ない。何か…事件解決の取っ掛かりになるような話が聞ければいいんだけどな。


翌朝はゲオルクとその部下も、そして俺達もアインラスクの巡回を精力的にこなしていった。誰が、何のために毒グモを使ってソルタスとファゼルの命を奪ったのかが分からない現状では、次に誰が狙われるのかもまったく分からない。


だが、魔法戦士がウロチョロしている状況では、次を狙うにしても動きにくくなるはずだ。だから、今はとにかく歩くしかない。歩いて、歩いて…歩き回るんだ。昼前まで巡回して、得られた成果はまったくなかった。これは仕方がないだろう…そもそも俺達は誰を追っているのかさえ分かっていないのだ。


とりあえず休憩だな。昨日のことがあるので、ゲオルクにはしっかりと休憩をとるように念を押しておいた。


この後はルアンザラーン商連合を訪ねることになっているので、俺達はセルゲイザル通りにほど近い『古道具屋ロカ』で昼食をとることにした。ここは長い時を経て、味わいを増した古道具や古家具が魅力的だが、実はパニーノが売りの食堂でもある。


ベーコンとチーズを巻いたオムレツを挟んだパニーノは、外側のパンはカリッとしているのに中のオムレツはモチッとした歯ごたえ…その後にジュワとした美味しさが口いっぱいに広がる逸品だ。


食後はリンゴとみかんのフレッシュジュースでお口直し。リンゴの風味とみかんの酸味、それからハチミツの甘味がとてもよく合っている。まろやかなコクも感じるね。昼食を食べて、疲れた体に活を入れたらいよいよ本題だ。ルアンザラーン商連合を訪問することにしよう。

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