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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第2章 エステルマギの埋蔵金

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半年前の事件

「それで…どうしますか?」

何の脈絡もなく、ユリーシャが俺に話を振ってきた。ビビらすなや…。


「どうするんだ?」

なぜかカレンに手厳しく追及されてしまう。なんなんだ?


「どうすんの?」

アマユキは微妙にジト目だ。俺は何もしてないぞ?


「どうしますかぁ?」

にこやかな表情のフェリシアさんも、怒っているように見える…カルシウムをしっかり取ろうぜ!


「まずは洗い直しだな。過去に同じような事件があれば何か共通点があるかもしれないし、そこから突破口が開けるかもしれない」

至極まっとうなことを言ってやると、俺を詰めてきたヤツらが感心したように頷いた。


「てっきり…何も考えていないのかと」

そんな訳あるかい!


「目を開けたまま寝ているのかと思ったぞ」

お前と一緒にすんなや!ユリーシャもカレンも、失礼すぎやしないか?


「生きてたんだね!」

当たり前だろう…。


「えらいですよ…ちょっと感動しました~」

どうもありがとう…。アマユキとフェリシアさんも、こういう時にきっちりと息を合わせるんじゃねえよ!


失礼極まる反応に、心の中で突っ込んでやると、この場の空気はさらに和んだ。案外、これを狙って俺弄りをしたのかもしれないな。


「それはともかくだな…早速、洗い直しをするぞ。資料のある部屋に案内してくれ」

和むのは結構なことだが、やるべきことはやっていかないと話が進まないぜ。


「あ、あの…」

うん?どうした、ゲオルク。


「お、同じような事件は半年前にも起きています。ル、ルアンザラーン商連合の前当主が亡くなった事件です」

これには一同ビックリだ!


「確かなのか?」

思いがけないゲオルクのお手柄に、クランドールは思わず責めるように問い詰めてしまう。


「す、すぐに資料を持ってきます!」

そう言い残すなり、ゲオルクは部屋を飛び出して行った。何やら既視感がありますね…。


脱兎の如きゲオルクが去った後は、スクレイアさんがゲオルクの昔話などをしてくれた。昔から少しどもるところはあったものの、目の付け所は意外に良かったらしい。頼りなさそうに見える男ではあるが、思いのほかデキるようだ。そうでなくては正規の魔法戦士、四位武官になれる訳ないか…。


しばらくして、ゲオルクが戻ってきた。入れ替わるようにクランドールとスクレイアさんが部屋を後にする。さてさて、それでは見せてもらいましょうかね…ルアンザラーン商連合の前当主が亡くなった事件というヤツを。


その事件が起こったのは半年前の8月8日の朝のことだ。前日まではピンピンしていたルアンザラーン商連合の前当主ソルタスが遺体で発見されたのだ。寝室にあった5万リガ相当のネックレスが紛失していたことから、強盗殺人事件として捜査された。犯人は未だに捕まっていない、か…。


この事件には幾つかの謎がある。まずは盗まれたのがネックレスだけだったということだ。寝室には他にも金目の物はあったのに、盗られた物はそれだけ。しかも、もっと高価な貴金属があったにも関わらず、だ。


それから、殺害されたのが前当主のソルタスさんだけというのも妙だ。この部屋には奥さんのナターリアさんも寝ていたのだからな…。


そうなってくるとナターリアさんに疑いの目が向けられることになるが、夫婦仲は円満で誰もがナターリアさんはやっていないと証言した。今のところナターリアさんの線は低いと見ていいだろう。


そして、最も大きな謎は殺害方法だ。首筋に何らかの生物に噛まれたような傷跡が見つかったことから、毒を持つ生物による刺咬症であると断定された。だが、なぜそんな方法で殺す必要があったのか?そこはまったく分からない。


被害額がごく僅かであったことと、妙な噂を立てられたくないというルアンザラーン側の意向で、ソルタスは急な発作によって亡くなったと発表された。捜査を尽くしたとは言えないかもしれないが、どのみち迷宮入りが関の山だろうな。


「無駄足になるかもしれませんが…もう一度話を聞きに行くというのはどうでしょう?」

資料に一通り目を通した後、ユリーシャが提案した。


「そうだな…それ以外にはなさそうだな」

確かに同じような事件ではあるが、共通点は殺害方法ぐらいしかない。


「そ、それでは面会の約束を取り付けてきます」

再びゲオルクは部屋を飛び出して行ってしまった。仕事はできるのかもしれないが、もう少し落ち着きがあってもいいと思うぞ。

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