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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第2章 エステルマギの埋蔵金

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更なる高みを目指して

俺が正規の魔法戦士、四位武官になって3週間程が過ぎた。もうすぐ1月も終わりだ。この間に俺はチンピラを狩ったり、亀を食べたり、絵を買ったり…そういうことばかりしていた訳ではない。そもそも、チンピラの件は任務の一環である。仕事をしていることの証明のようなものだ。亀と絵はそのおまけね。


普段はどこからどう見ても軍の魔法戦士という出で立ちで外出している。当然、絡まれたりはしない。一方で悪事を企む者に警戒され、結果的に見逃してしまう…という事態も起こりうる。もっとよく見える目が必要だ。


そこでユリーシャに作ってもらったのが不可視の錫杖だ。これはドローンを参考にして作った空飛ぶ錫杖である。もちろんここは魔法の世界なので、プロペラなど使わず飛空の魔法で飛んでいる。その名の示す通り、肉眼ではまったく見えない。


この不可視の錫杖を上空に滞空させ、常に周囲をチェックする。何かトラブルが発生すると、魔剣を経由してその情報が俺に伝わる、という仕組みだ。おかげで俺の目を盗んで悪事を働こうとしたヤツらを、見逃さずにすんでいるよ。


ちなみに不可視の錫杖から見える光景は、見ようと思えばいつでも見ることができる。鳥のように自由自在に空を飛び回り、上空から街行く人々を見下ろす…なかなか新鮮で爽快だね。


それ以外の装備の更新も抜かりはない。例えば、最終試験でお世話になった籠手だ。これは普段から使えるように手首から先の装甲を前腕甲の中に収納できるようにしてもらった。秘匿性の確保は大事だからな。


一見すると何も着けていないように見えるが、いざというときには瞬時に展開して手の甲を守ってくれる…コイツは優れものだぜ。これは盾としても使えるからね。俺にとっては必要不可欠なものだ。


もちろん、俺自身のレベルアップも欠かせない。それには剣術だけでは駄目だ。


最終試験でティアリスと模擬戦をした時、俺は籠手を使った防御重視の戦い方で挑んだ。その防御の仕方は殴り技に対しての防御術を参考にしたものだ。だから、逆に殴り技は完全に使いこなすことができる。


だが、格闘術はそれだけではない。蹴り技に組み技、極め技、そして投げ技。場合によっては頭突きだってすることもある。効果的にダメージを与えるためには人体の急所の知識も重要だ。


さらに、建造物やそこら辺に転がっている物を使った戦い方も知っておく必要がある。それらを一通り使いこなせた上で、魔法を効果的に使っていく…これらすべてを習得するのはかなり難しいが、なるべくそこに近付けていく必要はあるだろう。


でも、それだけでは足りない。ティアリスやアマユキのように、他のヤツには真似のできない特技を身に付ける必要がある。


アイデアはある。強い打撃を放つには体重移動が重要になってくるのだが、要するにそれはタメを作った中で体重移動を行う…ってことだと思う。これをとことんまで突き詰める。


具体的には…まず、1つの関節を動かす筋肉が生み出す最大限の力を上手く繋いでいく。更にここに流水の動方・激流で重心をぶん投げ、その力も加える。最後に体当たりの要領で生じたすべての力をぶつける。そうやって生み出された最終的な撃力は、魔剣の計算によると普通に放った攻撃の何倍…いや何十倍にもなるそうだ。


これを完全に習得できれば、すべての攻撃を必殺技にすることだって不可能ではない。言うは易しで、その道の達人でもなければこんな芸当はできないだろう。魔剣を使っている俺でさえ、狙ってやらないと完全にはできない。それだと読まれちゃうから、防がれるんだよな…これはトレーニングあるのみだ。


それから…自分だけ上達すれば、それでいいってもんでもない。俺は色々な人から指導してもらい、強くなった。今度は俺が後に続く者を育てなくてはならない。


そんな訳で、四位武官になってからは一時期お世話になった道場で師範もしている。と言っても週に2、3日なんだが…。勝手知ったるなんとやらで、主にアラミレウをボッコボコにしている。本人からはブーブー文句を言われているが、これは期待の現れだ。


コイツには正規の魔法戦士になれる実力があると思っている。本人も今のままではダメだと思っているのか、俺との模擬戦を拒んだりはしない。頑張れよ、アラミレウ…お前は絶対になれるんだからさ!


このようにして1月は過ぎていった。

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