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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第1章 魔剣の使い手

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正規の魔法戦士

あの最終試験から2日後、城から使者が遣わされ、正式に伝達式が行われた。と言っても使者はアマユキとフェリシアさんで、2人が通されたのはユリーシャの部屋のリビングルームだ。知らない仲ではないとは言え、アマユキとフェリシアさんがユリーシャの部屋にいるのは、奇妙な感じがするね。


それはともかく、伝達式自体はそこまで厳かなものではない。ユリーシャに言われた通りに伝達を受けたら、それで俺の出番は終わりだ。何だか拍子抜けだな…場所がいつものユリーシャの部屋だから、尚更なんだろう。


「今日から正規の魔法戦士ですね。改めて…よろしくお願いします」

俺の方に向き直ったユリーシャが、折り目正しく一礼した。俺もなるべく丁寧に礼を返した。その礼にはかつてのような拙さはなく、堂に入ったものだ。


同じく俺の方に向き直り、立ち位置の関係でユリーシャの後ろに立つカレンが、感心したように頷いている。俺もユリーシャの下で半年は見習いをやっているからな…これくらいはできるようになるさ。


とは言え、見習いだったのは昨日まで。ユリーシャに言われた通り、今日から俺は正規の魔法戦士だ。それは神隠しという理不尽な現象でこの世界へやって来てから、ずっと目指していたものだった。


こんなにも早く目標が達せられるとは思わなかったぜ。明日から何を目指すのか…次の目標を定める必要がある。さしあたっては…ティアリスに言われた通りまだまだ未熟なんだから、トレーニングをして腕を上げるか…。


強くなってどうするのか?そんなことは特に考えていない。ただ、一つ一つの目標を達成した先に、最後に実現したい大きな目標が…目的があると信じている。それはもちろん、元の世界に戻るってことなんだけどさ。


それがユリーシャ専属の魔法戦士として実現できることなのか…それは分からない。できなければ、その時はその時だ。


まあ、それは置いといてだな…今日から俺は正規の魔法戦士、正確には四位武官である。ちなみにティアリスは一位武官で、カレンとリアルナさんは二位武官だ。


ティアリスとカレンはその実力が評価された結果で間違いない。リアルナさんは実力以外の色々な貢献が評価されたんだろう…。実力だけなら俺も二位ぐらいには上がれそうだ。まずは二位武官に昇進することを目標にするのもアリだな。


そうこうしているうちに、伝達式のあれやこれやが一通り終わり、場の空気はさらに緩んだ。ちょうどお昼時だ。メイドトリオがお弁当を持ってきてくれた。最初から伝達式の後にみんなでお昼、というのは決まっていたみたいだね。


このお祝い弁当はもちろん『ラナンエルシェル』が作っている。ユリーシャ基準ではやや控え目にしたらしいが、それでも俺の基準では豪勢だ。ちなみにこのお弁当を作ったのはフィオナ・バルザロサさん。茜色のセミロングがよく似合う綺麗な女性だ。姓がティアリスと一緒なので親戚なのかな?


「お姉ちゃん、こんにちはでし!」

いつものティアリスな挨拶に、フィオナさんは礼儀正しくお辞儀する。


どうやら姉妹のようだ。ティアリスは天真爛漫に育てられたようだが、お姉さんは温文爾雅を地で行くような人である。それでいて物腰も柔らか。もちろん、話し方も普通だ。誰かさんみたいに「でし!でし!」言ったりはしない。


気になるお弁当の中身だが…メインのおかずは鶏もも肉の香草焼きだ。ジューシーな鶏もも肉と、食欲をそそる香りのいいハーブとの相性は抜群だ。シンプルな味わいの一品だが、メインのおかずに相応しいね。ご飯が進むぜ。


この香草焼き以外にも付け合わせのおかずが8種類。副菜ポジションなのに、どれもメインに勝るとも劣らぬ出来映えだ。


なかでも驚かされたのがヌマエビのだし巻き卵だ。中に入っているエビは桜エビだとばかり思っていたら、まさかのヌマエビである。さっと茹でて出汁に漬け込み臭みを抑えたヌマエビは、桜エビのように香ばしい。だし巻き卵にもよく合う…実に美味しいですね。


もちろん、これ以外のおかずも美味しいものばかりだった。さすが『ラナンエルシェル』で作っているだけのことはある。作ったのはフィオナさんなのだが、なぜかティアリスが鼻高々だった…。それでこそティアリスである。


豪華なお弁当を堪能した後は、メイドトリオが紅茶を淹れてくれた。ここからは食後のティータイム、当然のように会話が盛り上がる。今日の主役は俺、ということで俺関連の話が自然に増えているようだ。

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