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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第1章 魔剣の使い手

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収穫祭初日

そして迎えた収穫祭の初日。いよいよユリーシャとデートだ。公式発表ではユリーシャは休養ということになっている。なので、今日だけシルフィアがユリーシャに変装して、影武者をすることになった。


と言っても、何もする必要はない。あの部屋にユリーシャらしき人物がいる、ということが大事なのだ。ネタを狙っている新聞社対策だな。


普段とは違い、俺達は2階の一室から廊下に出た。何せ今日は一般人だからね。最近になって知ったのだが…いつも繁盛しているこの2階のホテル、実はホテルではない。


よくよく考えてみれば、ユリーシャが住む邸宅に一般人が泊まるってのはさすがにないよな。ここは軍の施設の一つで、変装のノウハウを教えている施設のようだ。どおりで繁盛しているはずだぜ。


「緊張しますね…」

「安心しろ。俺がいる…何かあっても俺がお前を守ってやる」

俺も随分と腕を上げたからな。大船に乗ったつもりでいてくれて構わないぜ。


「頼もしいですねっ」

「まあな」

なに食わぬ顔をして1階へ下りると、俺達の動きに呼応するように動き始めた人達がいる。たぶん、あれが変装をしている魔法戦士なんだろう。


邸宅を出て中央公園に向かうと、今は昼下がりなのでかなり賑わっているようだ。屋台がいっぱいあるぞ!どんなものが売ってあるのか…ちょっと覗いてみよう。


最初に目についたのは数十種類のフレッシュジュースを売る屋台。それからソーセージに焼き鳥、から揚げを売っている屋台もある。さらには牛串と豚串、焼きそばや焼きとうもろこしを売り捌く屋台があって、あっちにはチョコバナナとクレープ…まさに盛りだくさんだな!


あれもこれもと食べてしまったが、なかでも旨かったのが焼きそばだ。味付けはソースでもなければ塩でもなく、味噌である。


味噌だれならではのピリッと辛めで後からほんのり甘さが広がる印象的な味わい、具材に使われているかしわ肉とキャベツも、たれとの相性が抜群だ。隠し味に赤ワインを使っているお陰で、複雑な味わいと深いコクがある…こいつは必食だぜ!


ちなみに料金はすべてユリーシャ持ちである。なので、あれこれ食べまくってしまった!ごちそうさまでした。


「本当によく食べますねぇ…」

さすがにユリーシャは呆れている。育ちの良い彼女は、俺と比べると食べる量は控えめだ。


「遠慮するなよ、ユリーシャ。俺の奢りだ!」

「私の、です…」

ばれたか。でも、やっぱり祭は楽しいよな!


「そんなことより左のテーブル席を見てください」

いたずらっぽい笑みを浮かべたユリーシャに促され、俺はなるべく自然な感じを装いながら左を見た。


そこには茜色のロングヘアに可愛らしいネコ耳帽子をかぶった女の子と、やはり茜色で胸にかかるくらいのセミロングが似合う大人の女性が座っていた。どうやら親子みたいだね。気のせいか…どこかで見たことがあるような気がするが?


女の子は足をぷらぷらさせ、周りをキョロキョロと見回している。落ち着きがない子だな。見た感じは10代前半といったところか…そろそろ落ち着いてもいい頃だ。そんな女の子を母親が叱った。


「アリス、そんなことしないで」

「はーい」

い、今の声は!


思いっきり左のテーブル席に座る人物を見たい衝動をなんとか抑え、少しずつ顔をそちら側に向けると…リ、リアルナさんだ!チラッと見ただけでは分からなかったが、それは間違いなくリアルナさんである。


しかし、そんなことよりもはるかに衝撃的だったのは…あの女の子がティアリスだということだ!その変装、似合いすぎだろ。実年齢は22歳なのに、小学生に見えるぞ。


でも、この変装は実に理に適っている。子供ならキョロキョロして落ち着きがなくても、しょうがない子だね…としか思われないだろう。そう思わせておいて、周囲を警戒しているのだ。いやはや…。


リアルナさんとティアリスのサプライズ変装には驚かされてしまったが、ユリーシャは2人が席に着いた時から気付いていたそうだ。


「ショウはあれこれ食べることばかり考えすぎですよ!」

これは理不尽な小言だと思うが、ここはちゃんとフォローしておこう。


「そんなことはない。俺はユリーのこともちゃんと見ていた」

この一言で、ユリーシャは顔を赤らめモジモジしてしまった。


すまんな、ユリーシャ。目の前にいるから見ているのは当たり前なんだ。ちなみにユリーってのは今日だけの偽名ね。もちろん、アリスもだ。


今日だけ親子な2人のことはなるべく気にせずに、デート続行だ。一通り中央公園を見て回ると、その後はアンベルク通りへ行くことにしよう。

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