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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第1章 魔剣の使い手

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ユリーシャの告白

ユリーシャに連れられて4階に上がると、それを見逃さないミリッサもちゃんと付いて来ていた。さすがですね。なお、魔法戦士のお姉様方は誰も上がって来ない。いいのか?それで…。階下からは時折カレンの叫び声が聞こえてくるが…気にしないでおこう。


「今日は…ありがとうございました。私だけではカレンを説得できなかったと思います」

「ちょっと酷じゃないか?」

自分のことは棚に上げて、俺はユリーシャに小言を言ってやった。


「そうかもしれません…」

「なら、どうして?」

物憂げなユリーシャを見れば、彼女が自分のデートのためにカレンを犠牲にした訳ではないことは分かる。でも、その真意までは分からなかった。


「カレンは…私にとって姉のような人なのです。私は、これまで彼女には随分と甘えてきました。特にここで暮らすようになってからは、やり場のない思いを何度もぶつけてしまいました。そうせずにはいられなかったのです…それは他の人にはできないことでした」

その気持ちは…よく分かる。


「カレンはそのすべてを受け止めてくれました。彼女がいなければ、ここでの生活はもっと難しいものになっていたと思います。カレンには感謝してもしきれません」

カレンは…きっと当たり前のことをしたとしか思ってないさ。その当たり前が難しいのにな。


「今回の件は…もしかしたらお節介なのかもしれません。それでも…本当のカレンのことをラスティにも知ってもらいたいのです」

「ラスティ?」

誰のことだ?


「カレンがお付き合いをされている方です」

ああ…なるほど。


「表のカレンのことを、心の底から…愛しています。でも、それは…本当のカレンではありません」

裏カレンを知ったら…驚きのあまり卒倒するんじゃないか?


「なんでカレンは…あんな感じなんだ?」

それが悪いとは思わないが、そこは気になるところだ。


「グランシェールの家は代々優秀な魔法戦士を輩出してきました。男の子がいれば、カレンの立場も違っていたかもしれません…」

そりゃそうだろうな。女性の魔法戦士はそれほど珍しくはないが、男の子がいれば間違いなくその子が魔法戦士として育てられ、カレンの進む道は今とは違うものになっていたはずだ。


「ですが、カレンを出産した後、お母様は体調を崩されたようで。お父様のウラは国王警護隊の隊長を務めている方です。カレンの教育に少なからぬ影響を与えたのではないでしょうか…」

「大きいだろうな…」

これは誰もがそう思うはずだ。


国王警護隊はかつてティアリスが所属していた部隊だ。あれはおバカな女だが、3人の魔法戦士の中では群を抜いた実力を持っている。そんなのばかりがいる部隊の隊長か…間違いなくレガルディア最強の魔法戦士だな。


「それが間違っていたと断じるつもりはありません。ですが、カレンには女の子らしく振る舞いたいという一面もあるのです。それを認めてあげても良いのではないでしょうか?」

ユリーシャの言い分には一理ある。


「そうだな…洋服だってハンガーに掛けて飾っておく物じゃないからな」

「ふふっ、そうですね」

俺の軽口に、ユリーシャはいつものようにクスクスと笑った。


ユリーシャの本心が分かったことで、俺のわだかまりも消えた。この収穫祭は、ただ単に楽しむだけの収穫祭ではない。カレンの一面を、親しい人すら知らないカレンの本当の姿を、世に知らしめる収穫祭にするんだ。


もちろん、ユリーシャにとっての初デートも上手くやってやる。俺にとっても初めての収穫祭、楽しい収穫祭にしてやるさ!俺は気負うことなく、気持ちを新たにした。

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