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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第1章 魔剣の使い手

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ライラリッジを駆け抜けて

ダンッ!


屋根を蹴り、俺はあの模擬戦の時に見たような大ジャンプを決めてみせる。


ザッ!シャッ!


基本に忠実に着地をし、すぐさま走り出す。ここはレガルディアの首都ライラリッジ…ではなく、ユリーシャが白の部屋に造ってくれたライラリッジである。それは本物のライラリッジや軍の施設で見たライラリッジと比べても、遜色のない出来映えだ。


トレーニングし放題の環境の中、俺はあの時あの2人から見た動きを自分のものにしつつある。


要するにそれは、不可視の盾や落下スピード制御の魔法を空中での姿勢制御に利用しているだけだ。後でカレンが教えてくれたが、状況によっては飛空の魔法も使うようだ。もちろん、からくりが分かったからといって、同じようにできる訳ではない。


使用時間が難しい。例えば落下スピード制御。使いすぎれば、ふわふわ漂うだけのいい的だ…。


ダンッ!バッ!ザシャ!


2回連続で側宙を切り、下方を確認。その勢いのままに塀の上に着地し、そこから道路へ…。だが、思い描いているようにはいかないものだ。塀の上に着地するつもりだったのに踏み外してしまう!


チッ!


俺は舌打ちをしつつ落下スピード制御を使って適度に減速し、その間に態勢を立て直すと無事に道路に着地した。


ふぅ…。


それは安堵の吐息なのか失望のため息なのか…漏らした俺にも分からない。確かなことは、目指している高みには遠く及んでいないってことだ。いや、始めて間もないから当たり前か。


今日も朝から晩までトレーニング三昧だ。筋トレをメインにしていた頃と比べると、その内容は大きく変わっているが、適度に休息をとりながらトレーニングをするという本質は変わらない。


今日はこれくらいにしておくか…そんな俺の心の内を読んだ訳ではないだろうが、陰ながら俺の様子を窺っていたユリーシャが、街の角から現れた。


「お疲れ様です。今日はもう終わりにしますか?」

「あぁ…そうだな。今日はここまでだ」

いつものように、ユリーシャが整理運動を兼ねたストレッチを手伝ってくれる。


「ぇと…その……私が造ったライラリッジはどうですか?」

「上出来だよ。わざわざあっちに行かなくてもいいからな」

お世辞ではなく、ホントにそう思う。


「そうですか…それは良かったです。で、でもまだ完成してないので…あと数日のうちに完成させますね」

「ん…よろしく頼む」

今のままでも構わないんだけどね…そこは好きにすればいいさ。


ユリーシャが言っていた通り、このライラリッジはまだ完成品ではないので、工事中の所があちこちにある。それから、ここには一般人ならぬ一般ゴーレムもいない。ユリーシャはそこに満足していないようだが、俺はそんなにこだわってはいなかった。デキは劣るが、ここではトレーニングし放題だからな。


改めて先程の自分の動きを思い出してみた。それをお手本になったあの2人の動きと比べてみる…何かが違うような気がする。倣っているにも拘わらず、根本的な部分が違うような…そんな気がするのだ。


魔法戦士の動きはある程度パターン化されている。その動きをベースに自分なりにアレンジを加えていくので、違いがあって当たり前なのだが…何というか、見えない部分が違うような…そんな気がするのだ。そして、それが何なのかが分からない。


「急いては事を仕損じますよ?」

それを具に見ているユリーシャが、控えめに助言をしてくれる。


「分かってるさ…」

別に焦っているつもりはない。ただ、一つのことに集中して取り組むと、他のことが手につかなくなるだけだ。それだけ夢中になれることに感謝しているが、周りからはそうは見られていないようで…なんだか複雑な気分だな。

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