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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第5章 カルルタリチェの悪魔

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お爺ちゃんと孫

明日は朝からネコたんをカラリスにつけ、動きを注視した方がいいだろう。なので、クドゥスからカラリスの住所を聞いておいた。一方で、クドゥスからは変装をしたザジニをカラリスにつけることを告げられた。


クドゥスは俺達が何をするつもりなのか…そんなことは聞かない。俺達もザジニがどんな変装をするのか…確認したりはしない。お互いのことを深く知っている訳ではないが、信用しているからだ。


次の日の朝、早速ネコたんをカラリスの家へ向かわせた。中からはカラリスとリエルの楽しそうな笑い声が聞こえてくる。いくら納得していると言っても、リエルに不安がない訳ではないだろうに…それを微塵も感じさせない辺りは、肝が据わっているね。


カラリスが動き出したのは、朝の喧騒が過ぎ去った頃だった。さてさて、スッポンのカラリスはどうするつもりなのか?要注目だ。ネコたんにつけられていることも知らずに、カラリスが向かった先はエルニド商会だった。ここは昨日、チャラ男コンビが調べているが…どうするつもりなんだろう?


カラリスはチャラ男コンビとは違い、前日の内に約束を取り付けていたようだ。だから、エルニドの会長とアルルが出迎えてくれた。


「それでは…よろしくお願いします」

エルニドの会長がカラリスに頭を下げ、右に倣ってアルルも頭を下げる。どうやらカラリスはアルルを連れ出す約束を取り付けていたようだ。


「すまねえな」

そう言いながらカラリスはエルニドの会長に謝礼を渡した。再び頭を下げた会長に見送られ、カラリスとアルルはエルニド商会を後にした。


「アルル、どっか行きたい所はあるか?今日はおじさんの奢りだからな…遠慮することはないぞ」

好々爺然としたカラリスが、アルルを可愛がる。まるでお爺ちゃんと孫のようだね。


「それなら、ゲーム屋さんに行きたいです!」

アルルが目をキラキラさせながら言った。しっかり者だが、こういう時は年相応の少年だね。


この世界のゲーム屋で売っているのは、主にボードゲームやカードゲームだ。ここでは単に売買するだけではなく、料金を支払えば実際に遊ぶこともできるようで、多くの人で賑わっている。もちろん、アルル君も遊びます。明らかに年上のお兄さんやお姉さんに交じって遊ぶのは、開拓者達というボードゲームだ。


「プレイヤーは架空の無人島にやって来た入植者という設定でし。この島を開拓していくのでしよ」

カードゲームをこよなく愛するティアリスは、ボードゲームも大好きだ。アルルに負けず劣らず目をキラキラさせているね。


「最も繁栄したプレイヤーの勝ちなのでし!」

ティアリスは仲間に入りたくてうずうずしている。その気持ちはよく分かる。


この開拓者達というボードゲーム、戦略や運だけでなく交渉力も必要とされるようだ。あらゆる要素が試されるボードゲームと言っても過言ではないだろう。ティアリスの解説付きで見ると面白そうだな…今度、みんなでやってみよう。


開拓者達を存分に楽しむと、もうお昼近くになっていた。ゲーム屋を出たカラリスとアルルは、近くの『ロフォス』という食堂に入っていった。揚げたてのコロッケを持った陽気なおじさんの看板が目を引く食堂だ。


アルルはミックスフライ定食を、カラリスは彩野菜の豚しゃぶ定食を注文した。たいして待つまでもなく、2人が頼んだ定食は運ばれてきた。


ミックスフライ定食は、でっかいトンカツが主役のボリューミーな定食だ。トンカツだけでなく、牛肉コロッケと白身魚のフライまで盛りつけられている。何と言うか…凄いね。


「よく食べますね~」

ほんわかさんに言われると、たいしたことがないように思えるが、間違いなくボリューミーだ。


「育ちざかりだからな…」

若いうちは食べたものが身になるものだ。


アルルはボリュームたっぷりなミックスフライ定食に、目をキラキラさせている。やはり育ちざかりは違うね。


一方の彩野菜の豚しゃぶ定食、こちらはサラダ系のさっぱりした定食だ。豚しゃぶ以外には数種類の葉物野菜にトマト、きゅうり、揚げなすが入っている。何と言うか…カラフルだね。


「彩り豊かで美味しそうですね」

彩りに注目するところがユリーシャらしいよな。


「カラリスには丁度いいだろうな」

年を取ると、脂っこいものが食べられなくなるものだ。


豚しゃぶの量が少なめなことに少し不満顔ではあるが、そもそもこの定食を頼んだのはカラリスである。文句を言うのはお門違いというものだ。満足げに頷いているところを見るに、間違いのない味だったようだ。


それぞれが頼んだ定食を堪能した後、アルルはレモンスカッシュを頼んだ。よく食べるしよく飲む…さすがは育ちざかりだね。とは言え、レスカだけで席にいるのはどうかと思ったのだろう…カラリスは会計を済ませて、アルルをオープンテラスへ連れ出した。


適度に冷房が効いた店内と比べると、外は暑そうだ。庇が影を落とすテラス席は、心地よい風が吹いていて気持ちがいい。でも、そんなに賑わってはいない。


カラリスは気にも留めていないようだが、隣のテーブル席に2人へ背を向けて座ったおじさんがいる。ザジニである。優雅にレスカを飲んでいるザジニには、普段の面影はまったくない。さすが変装名人。


誰もがカラリスとアルルをお爺ちゃんと孫として見ているだろう…でも、この2人は赤の他人だ。そして、カラリスには知りたいことがある。そのためにアルルを孫のように可愛がっているのだ。もう十分だろう…誰もがそう思う中、カラリスが口を開いた。

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