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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第4章 パルシファルの嫁と姑

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絶体絶命

魔剣が必死で治療をしているが、そう簡単に完治する訳ではなさそうだ。最悪な状況だぜ…。


これにはさすがのティアリスも焦りの色を隠せない。左の魔法剣をしまい、光の矢を放ってハーピーを牽制する。まだ痛むのか…ハーピーは腹を抑えているが、そんな攻撃が当たる訳がない。


ハーピーを傷つけられたこと、そのハーピーが回復途上であるにも拘らず攻撃されたこと…それがよほど腹に据えかねたのか、ヴァルキュリアが鬼のような形相でティアリスに迫る!


ハーピーを視界に捉えながら、ヴァルキュリアの槍捌きにも対応する…そんな真似はティアリスにしかできないことだろう。


「クッ…」

だが、ヴァルキュリアの猛攻はティアリスの想定を超えるものだった。防戦一方…どころじゃない。これまでは当たらなかった攻撃が次々に当たりだす!


まずいぞ…今はまだギリギリで避けているが、致命傷を食らうのは時間の問題のように思える。ここまで追い込まれると、ハーピーへの牽制もままならない。


そして、この状況を待っていたかのように、これまでは近付いてこなかったハーピーが急降下してくる。引き裂くような鉤爪の一撃!


ガツッ!


今の俺には、その攻撃を避けることなどできはしない。籠手に発動させた魔法盾で防いだが、反撃は無理だ。全力で治療をしているのだ…余力なんてほとんどない。


このままだとなぶり殺されちまうぞ!だが、この窮地を打開する手がまったく見つからない。くそっ…どうすりゃいいんだ?再びハーピーの急降下攻撃!


ガツンッ!


あの野郎、さっきよりも踏み込んできていやがる。これも魔法盾で何とか防いだが、衝撃を完全には殺しきれずに、俺は草原に倒れ込んでしまった。


援護は…できないのか?一縷の望みを託してユリーシャ達の方を見やると、そこには濃青色の光でできたカーテンのようなものがあった。俺達を分断しているのだ…これは間違いなくウォーダンの魔法。ユリーシャの放ったダンシングワンズが、カーテンを突き破ろうとするが、押し返されている。


駄目だ…まさしく絶体絶命ってヤツだ。いや、諦めんな!こんな所で…こんな所で終わってたまるかよ!まだ手はあるはずだ…考えろ、考えろ、考えろ!


最後の最後で、頼みの綱の魔剣が期待に違わず一つの策を提示してくれた。上手くいくかどうかはまったく分からんし、勝算なんてものはほとんどない、とんでもない策だ。でも、おもしれえじゃねえか…やってやるさ!


俺は何とか体を起こし、ハーピーに牽制の光の矢を放つ。もちろん、当たりはしない。でも、これでいい…ヤツの急降下攻撃を防ぎつつ、稼いだ僅かな時間で片膝立ちになると、思いっきり肺に空気を吸い込みティアリスに向かって叫んだ。


「俺に…構うなあああぁぁぁ!!!」

その咆哮にティアリスはちらりと俺の方を見やり…それから一つ頷いた。俺の策が分かっている訳ではない。俺を信じてくれたのだ。よしよし、上手くいっているぞ…。


俺は魔剣を引き抜くと、迷うことなく地面に突き立てた。そして、ダンシングワンズを展開し、一斉射撃の態勢を取る。それと同時に左手で拳銃のような形を作り、震える左腕を右手で支えてやった。


狙いは…ヴァルキュリア。


今の俺にできることは限られている。接近戦でこられたら終わりだ。だから…ダンシングワンズの一斉射撃で片を付けてやる!


「ハルピュイア!」

それに対してヴァルキュリアはハーピーに叫び、何やら手招きをした。どうやらそれだけで、意思の疎通ができたようだ。


「キョッ、キョッ、キョッ」

表情を見る限り、笑っているようには見えないが…何て言ったんだろう?ハーピー語は難しいな。


「キエエエェェーー!」

向こうの出方を窺っていると、ハーピーは十分な高度を保ちながらティアリスに竜巻を放った。もちろん、ティアリスはそれを軽く躱す。そして、ヴァルキュリアは俺をギラリと睨みつけた。


どうやらチェンジするようだな。いいぞ…何もかもが上手くいっている。不敵な笑みを浮かべる俺に、ヴァルキュリアは何を感じているのか?


警戒していない訳ではないだろう…だが、それよりも大きなものは自身の勝利の確信だ。ヴァルキュリアは目を細め、鋭く引き締まった表情を浮かべた。そして、何やら祈りの言葉のようなものを小さく呟く。


槍を右肩に担ぎ、その真ん中を右手で持つヴァルキュリアの右腕に、神がかった膂力が加わる。その槍も何やら青白い光を放っている。


少しぐらいは油断してくれると思ったんだけどな…甘かったようだ。まあ、いいさ。もともとゼロに近かった勝率だ。もっと低くなったところでゼロに近いことに変わりはない。


考え方を変えれば、ヴァルキュリアがどれほど万全を期しても、俺には一定の勝率があるってことだ。希望が湧いてくるね。さあ、来い!決着をつけてやる。

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