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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第4章 パルシファルの嫁と姑

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勇気のいる賭け

「これから…どうするの?」

ようやく泣き止んだタリアが、カロリーナさんに問い質した。


仕方がなかったこととは言え、タリアはベンカジを売り渡すような形になってしまった。今後の展開次第では、タリアに身の危険が及ぶ可能性がある。そこは気になるところだろう。


「心配しなくても、あんたの証言なんか当てにはしてないよ」

カロリーナさんは穏やかに答えた。


タリアがベンカジの悪事に加担したのは間違いないが、サーニャとカロリーナさんがタリアに暴力を振るったのも間違いないことだ。ここは痛み分けだ。タリアも納得したように頷いた。最後の最後で、策士と娼婦に相応しい戦いになったな。


カロリーナさんは席を立つと、タリアを連れてきた男と一緒に戻ってきた。タリアの目が腫れていることに気が付いた男は、少し戸惑っているように見えるね。


「あとは2人で楽しんでね」

意味深なことを呟きながら、カロリーナさんは分厚い封筒を男に手渡した。


タリアには予約してここに来てもらっているのだ。訳ありとは言え、そのタリアが暴力を振るわれたことがバレると、男に迷惑が掛かるからな…事後処理に抜かりがないのは、さすが策士カロリーナである。


「これからどうするの?」

ホテルを出た所で、サーニャがカロリーナさんに尋ねた。


「リセクに真相を確認して…それからだね」

これにはサーニャも頷いた。


思っていた以上にカロリーナさんは冷静だ。リセクを罠に嵌めたベンカジに、腸が煮えくり返っているだろうに…サーニャの暴走がそうさせているのかもしれんね。


ちょうどお昼時だ。カロリーナさんとサーニャは、膝を突き合わせて食堂でご飯を食べている。いつもは犬猿の仲だが、今は休戦中。リセクがこれを見たら、腰を抜かすかもしれないね。


そのリセクだが…今日は明らかに様子がおかしい。まったく仕事が手についていないのだ。自分一人しかいない部屋なのに、目がキョロキョロと泳いでいる。おもむろに立ち上がると壁に耳を当て、外の様子を探るような真似もしている。誰がどう見ても不審だ。まるで悪事を働こうとしているようだぜ…。


見るからに不審な行為を続けた不審者リセクは、やがて意を決したように立ち上がった。その手には例の裏帳簿が握られている。やりやがったぜ…アイツ。思い悩んだ末に、ついに決断したのだ。


リセクの呼吸が荒い…その気持ちはよく分かる。これは一か八かの賭けのようなものだ。だが、裏口から外に出て来さえすれば、俺達がアイツを保護してやることができる。そこまではあと少しだ。


幸いなことに廊下には誰もいない。努めて平静を装いながら、それでも明らかな早足で邸宅から出たリセクは、急いで裏口へと向かった。俺達もそれに呼応して動く。


ここでリセクを保護するんだ!それでチェックメイトだ…ざまあみろ、ベンカジ!だが、内心で喝采を上げていた俺の足は、すぐに止まってしまった。


「ショウ、マズいわよ…」

アマユキも気が付いている。フェリシアさんも察したようだ。いつもは誰もいない裏口。そこに1人の女が立っていた…ヴァルキュリアだ。


何で今日に限って…そもそもコイツはどっから出てきやがった?いや、そんなことよりもこの状況は最悪だ。最悪すぎるぜ…。


「どこへ?」

何の感情もなく、ヴァルキュリアはリセクに尋ねた。


「な、何でもない。息抜きをしたいんだ…そこをどいてくれないか?」

どう見ても何でもなくはないが、それでもリセクは誤魔化そうとする。


「それは何?」

もちろん、ヴァルキュリアはどかない。今度はリセクが手にしている裏帳簿のことを聞いてきた。


「これは、その…」

リセクは答えに窮してしまった。見るものが見れば、それが裏帳簿であることは明らかだからな…。


「どこへ、行こうと、しているのかしら?」

小馬鹿にするようにヴァルキュリアが尋ねるが、リセクは唇をグッと噛み、何も答えない…答えられる訳がない。


リセクは気が付いていないようだが、後ろにはウォーダンもいる。この状況では、どんな手練れであっても逃げ切ることは不可能だ。終わりだな…リセクは、そして俺達は、一か八かの勝負に敗れたのだ。


ここでリセクを救出するために、ヤツらを急襲するという手は…取れない。ウォーダンがいるからだ。サクリファスでは、ユリーシャがウォーダンを抑えてくれていた。そのユリーシャはここにはいない。


もちろん、コテージにいるユリーシャ達もこの状況に気が付いている。合流して急襲という手もあるが、首尾よくリセクを奪還できるかと言われると…難しいだろう。


「ショウ、ここは撤収よ」

アマユキの判断は、理に適ったものだ。リセクをそそのかした俺としては、受け入れ難い思いもある。だが、判断を誤れば取り返しがつかないことになってしまう。ここは撤収だ。


だがな…これで終わりじゃねえぞ!この局面ではお前らの勝ちかもしれないがな、まだ終局じゃないんだ。今に見てろよ!俺はマルバイユの邸宅をきつく睨みつけ、リセクの救出を心に誓うのであった。

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