表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第4章 パルシファルの嫁と姑

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

227/359

収穫なし

カロリーナさんはサーニャを最悪の嫁と評していたが、誰がどう見たってカロリーナさんが最悪の姑だ。いい加減、子離れしろよ…事情を知っている人なら誰もがそう思うはずだ。


その事情を知る者の1人として、シェリルさんは見るに見かねて行動に移していた。それに合わせて俺もついていく。カレンはさり気なくユリーシャを誘導してカロリーナさんの死角に入り、他の3人はごくごく自然にカロリーナさんの前から姿を消した。


「ちょっとカロリーナさん…もういい加減におよしよ」

このババアのことだ。大人しく家に帰るつもりなんてないだろう。話を聞けるかどうかは分からないが…ここで接触するしかない。


一連のあれこれを顔見知りに見られていたことを知り、カロリーナさんはムッとしている。まるでこの場にいた俺達が悪いと言わんばかりである…くそババアめが。


「この前はぁ、随分とご機嫌でしたね!」

だが、俺達はこのババアから話を聞くためにここにいる。ここは自分の内心をおくびにも出さず、ご機嫌取りだ。


「誰だい?あんたは」

覚えてねえのかよ…。


「『ピーノリブロ』で会ったでしょう。旅の魔法戦士の…ショウってヤツで」

「あぁ…あん時の」

あの日のどんちゃん騒ぎは、カロリーナさんにとってはいい思い出なのだろう…その表情が少し和らいだように見える。


「あの~リセクさんが勤めているマルバイユ商会のことで、聞きたいことがあるんですって」

それを好機と見て、シェリルさんが本題を切り出した。我ながらナイスアシストだぜ。


「帰っておくれよ」

だが、カロリーナさんにはけんもほろろに拒絶されてしまった。


「今日はね、私もうくさくさするんだから…どっかの宴会でさ、パアッとひと遊びしないとねぇ、腹の虫が治まらないね」

こんなのが姑だったら、サーニャのような嫁さんと上手くいく訳がない。


「ちょっとだけでぇ、いいんですけどね!」

「半ちくな魔法戦士の相手なんて、してられないよ!」

無駄な足掻きと知りつつ粘ってみたが、予想通りの結果に終わってしまった。


カロリーナさんは八つ当たりでもするかのように、俺とシェリルさんの間を強引に通り抜けていった。どこで憂さ晴らしをするつもりなのかは知らないが、これ以上はついていっても無駄だろう。


「威勢のいいおばさんよねぇ…」

長い付き合いなのだろう…シェリルさんは呆れながらも好意的に見ているようだ。俺に言わせれば、子離れできないくそババアだが。


結局のところ、カロリーナさんからは何の情報も得られなかった。材木保管所でのリセクの見立てのような思いもよらない収穫もある訳だから、こういう結果になったとしても仕方がないのかもしれない。とは言え、無駄な時間を使ってしまったという思いは拭えない。


悪いことは重なるもので、今日はカティルがいない日だ。ちょっとした混乱の中にある『ピーノリブロ』で何とか夕食を済ませ、コテージに戻ると今日の反省会をすることにしよう。


「あんなのが母親だと、リセクも苦労するわね」

母親のヤバさには定評があるアマユキが言うと、説得力があるね。


「それで…明日以降はどうするのだ?」

自身が淹れた紅茶に満足げに頷きながら、カレンが聞いてきた。


「このままカロリーナさんに拘るのは得策ではないだろう…明日から狙いをリセクに変えるってのはどうだ?」

それにはみんなが頷いてくれた。


今のところ、リセクがマルバイユ商会の悪事に関与している可能性は低いように思える。だが、見る目はある。今日のような、俺達にとっては幸運な出来事が起こるかもしれない。


「ディサイド達がもうじきやって来ますよ」

ネコたんの位置は、ユリーシャにも分かっている。便利なもんだね。程なくして、ディサイド達が訪ねてきた。


「マルバイユ商会を調べていた会計庁ですが…どうやらダラカニのヒノキに関して不正が行われていたのではないかという疑いを持っているようです」

「そうか…」

これはリセクの気付きが間違いではなかったことを示している。


その情報が1日遅れになったのは、会計庁の側に手柄を横取りされたくはない…という思いがあったのかもしれない。だが、この件に関しては殺人まで起きている。それもあって、ジルニトラに圧力を掛けられたのかもしれない。


「それから、明日の夜にレンナーと接触することになりました」

「レンナーか…アイツはいったい何者なんだ?」

マルバイユの秘密にあれほど執着するのはなぜだ?それにはザヤスが答えてくれた。


「実は…レンナーは前に話した会計庁の女に惚れているんっすよ。女の方は特になんとも思っていないようなんですけどね。そういう事情もあって、会計庁の調査にも積極的に協力しているみたいっすね」

惚れた弱味ってヤツか…それなら納得はできるが、無茶をしすぎだぜ。言っても聞かないだろうが。


ディサイド達は今日も収穫ありだったようだが、俺達はあのババアに振り回されただけだった。俺はそのことを包み隠さず話した。


「シェリルさんとショウさんで挑んでそれだとぉ…厳しいですね」

セブラーがしみじみと呟き、ディサイドとザヤスはこくこくと頷いた。買いかぶり過ぎだと言いたいところだが、この流れを上手く利用して狙いをリセクに変えることを伝えた。もちろん、誰からも異を唱えられることはなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ