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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第1章 魔剣の使い手

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その技術は世界を制した

「ロレイマーニの作戦にアルカザーマ連合は大混乱に陥りますが、これを事前に察知していたレガルディア軍が迎え撃ちました。激戦の末にロレイマーニ軍は退却していきました」

連合さんが無能すぎて辛い…。


「それだけ激戦だとレガルディア軍の被害もかなり大きかったんじゃないのか?」

もっともな疑問だが、ユリーシャは首を横に振った。


「この戦いではゴーレム兵団が主力として用いられました。ゴーレムを戦争で用いるのはこれが初めてだったので、その運用はお世辞にもあまり上手くいったとは言えないのですが、人的被害はそれほど多くはありませんでした」

ここはレガルディア軍の作戦勝ちといったところだろう。それにしても、だ。


「どうしてこのタイミングでゴーレムなんか使ったんだ?」

これまでは主に土木作業に従事していたはずだ。


「ロレイマーニ軍は数でレガルディア軍を圧倒していたので、その不足を補うためにゴーレム兵団が組織されたそうですよ」

戦いは数だよってヤツですね。


「一連の戦乱が終わると、レガルディアとアルカザーマの同盟関係に変化が生じます。これまで両者は対等な関係だったのですが、ロレイマーニの侵攻に対して無力だったアルカザーマ連合は、レガルディアの従属組織へと変貌していきました」

そりゃそうだろうな。


「その象徴ともいえるのがミルリーフのアルカザーマ連合への加入です。レガルディア側からの提案に対して拒否する声はほとんどなく、すんなりと加入が認められました」

ミルリーフという名の楔は、大きな影響力を持つようになった訳だ。


「これからはイレブン・スターズだな」

「そうですね。この後、ミルリーフはレガルディアの支援を受けながらさらに拡張していきます。最終的にミルリーフはライラリッジのような魔法都市へと進化するのですよ」

ここでユリーシャがミルリーフの写実画を見せてくれた。


確かに全体的な造りはライラリッジとよく似ている。とは言え、華やかで優美なライラリッジに対して、ミルリーフは質素で素朴である。そして、ミルリーフはライラリッジと比べると雑然とした印象を受ける。


「ミルリーフの拡充や貴族との婚姻、積極的な移住によってレガルディアはアルカザーマの実権を完全に握ります。同盟締結から50年が過ぎていました。大陸での足場を築いたレガルディアは、ここからさらに西を目指します」

防戦から攻戦へ。これまでの経緯を考えると、自然な流れではあるが…。


「レトの谷を抜けて中央平原への侵攻か?」

「そうですね…中央平原への進出です」

わざわざ言い換えたのは、レガルディアはロレイマーニとは違うと言いたいのだろう。


「当時の中央平原では、すでにロレイマーニによる統一の時代は終わりを告げていました。王位継承を巡る混乱があり、ロレイマーニから派生したいくつもの国家が乱立していたのです」

こちらも色々あったみたいだな。


「とは言え、中央平原で最も強大な勢力を誇っていたのはロレイマーニでした。この時代、中央平原はロレイマーニを中心とした緩やかな連合体が形成されていました」

このやり方…まるでどこぞの都市国家群のようだ。


「中央平原がアルカザーマみたいになったのか?」

「あそこまで酷くはないですけど…似ている部分はありますね」

何気にアルカザーマへの評価が酷いね。


「レガルディアの進出に伴う争乱は5年ほど続き、中央平原はレガルディアの支配下に置かれました」

回りくどい言い方だが、レガルディアが戦争を吹っ掛けて勝ったってことだ。


「中央平原の人々は弓と馬の扱いに長けています。かつてレガルディアの魔法使い達は、やはり弓の名手が数多くいたフォンラディアの部族に苦戦を強いられましたが、あの時と比べると魔法の技術ははるかに進歩していますから…それほど苦労することはなかったようですよ」

ふむ…これはユリーシャの説明不足だな。このフォンラディア云々の話は、間違いなくレガルディアが統一される前の話だ。


おそらくレガルディアの魔法使い達はフォンラディアの部族を屈服させることはできなかったのだろう。しかし、彼らが住んでいるのはフォンラディア諸島だ。部族の存在は、そこまでの脅威にはならないと考えたのではないか…。


この考えが正しければ、彼らの伝統が今も受け継がれていることにも納得できる。同化政策などできるはずがない。とは言え、お互いのためにも同盟が結ばれ、婚姻を初めとした人的な交流はあるのだろう…ふと、視線を感じそちらに目をやると、ユリーシャが小首を傾げていた。


「どうした?」

「い、いえ…何でもないです」

ユリーシャは顔を赤らめながら首を横に振った。何でもなくはないようだが…まあいっか。


「え、えっと…そうですね。こ、この勝利の後にレガルディアを宗主国とし、その下にアルカザーマ連合と中央平原諸国がつく大レガルディア連邦が誕生しました。大レガルディアの勢力圏はその後も広がって行き、500年ほど前にはディアステナ大陸南部の天空の大地以外のすべての地域が、大レガルディアの領域となりました」

紆余曲折があったとは言え、これまでとは比べ物にならないスピード感には驚きしかないね。

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