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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第4章 パルシファルの嫁と姑

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見立て

「ひとまず『アドーニス』とアルクニクス商会には確認を取っておきます」

ファルネーゼ商会を出たところで、ディサイドがアリバイの確認を買って出てくれた。


「そうだな…よろしく頼む」

一つ頷くとディサイドはセブラーを引き連れ、足早に去っていった。それなら俺達はいったんコテージに戻ることにしよう。


「どうだった?」

道中で俺はアマユキに尋ねた。


俺達はただ単に面会をしていた訳ではない。ヴァルキュリアとウォーダン。あの2人がいないか?それを探っていたのだ。今日の面会で、アマユキの存在感が空気だった理由がそれである。


俺も不可視の錫杖で探っていたが、それは完全ではない。錫杖が入れない所は見れないのだ。そこでアマユキである。人間レーダーの持ち主であるアマユキなら、ヤツらが隠れていたとしてもそれを見抜くことができるはずだ。もちろん、一筋縄では行かない相手なのだが…。


「いないわね」

どうやら確信しているようだ。


「ふむ?」

疑っている訳ではないのだが、ついそんな声が出てしまった。


「サクリファスでは出し抜かれたけど…あの時とは違うわよ」

やや強い口調でアマユキは言い切った。


「そうか…」

そこまで言うのであれば間違いないだろう。


そもそもヒナステラもサンガロも白である可能性が高い。となると、そこにあの2人はいないと考えていいはずだ。そんな風に事件の見立てをしながらコテージに戻ると、ユリーシャが俺達を出迎えてくれた。


「ご苦労様でした。今、カレンが紅茶を淹れてくれています。一息ついたら、これからのことを話し合いましょう」

「そうだな…そうしよう」

ディサイドとセブラーが戻ってくるまでの間に、やれることはやっておくべきだ。


俺達を労ってくれたユリーシャと一緒にリビングに入ると、そこではティアリスがフェリシアさんの太腿を膝枕にして思いっきり寛いでいた。あんなことがあったばかりなのに、普段とちっとも変わらない。


いや、あんなことがあったからこそか…あの殺しの手口を見れば、誰もがヴァルキュリアのことを思い浮かべるはずだ。ティアリスはユリーシャに心労をかけないために馬鹿をやっているんだ。もちろん、今から気を張る訳にはいかない…という思いもあるのだろう。


カレンが淹れてくれた紅茶で一息ついたら本題だ。面会の一部始終はコテージ組もユリーシャの杖でしっかりと見ている。いちいち説明しなくてもいいのは楽でいいね。


「不愉快な話ね…」

面会時は空気だったアマユキの一言が、すべてを表している。


「双方から月に5万リガ。たいした金額ではない要求に抑えることで、ずっとしゃぶるつもりだったのだろう」

カレンがゼレケの狙いを詳しく説明してくれた。


「許せないヤツでし!」

まったくだ。未だにフェリシアさんの膝枕を堪能していやがるんだからな…許せねえ!


「ゼレケのようなヤツは殺されて当然。そんな野郎のために駆けずり回るのかと考えると…嫌にもなるな」

俺は苦笑しながらみんなの気持ちを代弁してやった。


「ですが…人を殺めることが許される訳ではありません」

ユリーシャの正論はもっともだ。


「それで…これからどうしますか~?」

フェリシアさんは、ウンウンと頷きながら俺に尋ねた。


「エスタンシアのヒナステラはゆすられていた。ファルネーゼのサンガロもだ。そうなるとマルバイユのベンカジも脅されているはずだ。だが、ヤツはそれを認めないだろうな…」

俺の見立てはおそらく正しいはずだ。


「どうしてですか?」

ユリーシャが興味津々で聞いてくる。まだベンカジには会ってすらいないからね。


「消去法だよ。ヒナステラもサンガロも白の可能性が高い。ならばゼレケを殺したのはベンカジの指示を受けたヤツだろう。だが、ベンカジが脅されてなどいない…そもそもゼレケなど知らないと主張すれば、ベンカジがゼレケを殺す動機はなくなる」

ユリーシャはこくこくと頷いた。どうやら納得してくれたようだ。


「その見立てが正しいかどうかはディサイド次第ってことになるわね…」

これはアマユキの言う通りだ。


「そうだな。アリバイに疑いがあるってことになると…ヒナステラにもサンガロにも動機がないって訳じゃあないからな」

痛いところを突かれたことは認めざるを得ない。


おそらく大丈夫だと思うが、その場合は今後の詰め方を考え直さなければならなくなる。さてどうなるか?ディサイドとセブラーがコテージを訪ねてきたのは、それから間もないことだった。

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