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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第4章 パルシファルの嫁と姑

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ヴァルキュリアの影

詰所にはすでに話が伝わっていたようで、俺達もすんなりと中に入れてもらえた。その一方で、ロアジスとパイロは中に入らない。聞き込み役を買って出てくれたのだ。先輩面をするところは玉に瑕だが、いいところもあるよな。


まずはゼレケの死因を確認させてもらおう。そして、それはすぐに分かった。


「心臓を一突きにされていますね…これが死因と見て間違いないかと」

セブラーの見立ては正解だろうな。


「これは…相当の腕のなせる業ですね…」

ディサイドは見習いだが、剣の腕は立つ。だからこそ分かるのだ。


「そうだな…」

そして俺は…いや、俺達はその傷を見てある人物を思い浮かべてしまう。ヴァルキュリアだ。


手を下したのはヤツなのだろうか?それは分からないが、その可能性は十分にある。この見立てが正しければ、この事件にはあの女が関わっているということだ。そうなると引くことはできねえな…。


だが、これだけで断定することはできない。だから、誰もそのことを口にすることはなかった。


「うん?何か入ってますね…」

ローブの内ポケットを調べていたセブラーが、何かを見つけたようだ。取り出したものは小さな紙切れ。


「何でしょうね?」

近くにいたのがディサイドではなく俺だったから、セブラーは俺に紙切れを手渡した。折り畳まれている紙切れを慎重に開くと…何か書かれているね。


「エスタンシア、ヒナステラ、ファルネーゼ、サンガロ、マルバイユ、ベンカジ…何だこれ」

何の名前なんだ?


「マルバイユって…昨日のアレじゃない?」

知っている名があったにも拘わらず、アマユキに指摘されるまで気付かなかった…こいつはうっかりだぜ。


「確か…酒豪のカロリーナさんの息子が勤めている商会だったな」

「ええ、材木を扱っている商会です。この数年で飛ぶ鳥を落とす勢いでのし上がってきました。ベンカジはその会長です」

なるほど。詳しいね、ディサイドは。


「それではエスタンシアとヒナステラというのは?」

俺の横からメモを盗み見たカレンが問い質した。


「エスタンシアは主に家具の製造や販売をしている商会です。今はヒナステラが率いています。ファルネーゼはキノコの栽培や卸売りをしている商会で、サンガロは今の当主です」

俺達の抱いていた疑問に、ディサイドはすべて答えてくれた。さすがですね。


「メモの内容は分かったが…これがいったい何を意味するのか?だな…」

3つの商会の3人のトップとゼレケ。そこにあった何らかの関係に、この事件を解くカギがある。


「死人に口なしでしけど生きてる人には口があるでし!」

まったくその通り。そして、ティアリスは既に気付いているようだ。それを口にしなかったのは、予断を持って判断したくはないということだろう。


「この3人との面会の約束を取り付けておいてもらえますか?」

「は…はいっ!」

他ならぬユリーシャの頼みごとである。思わずディサイドの声が裏返ってしまった。バツの悪い顔をしながら、ディサイドは詰所を出ていった。


ディサイドは見習い魔法戦士ではあるが、東部方面副団長の地位にあるジルニトラの甥に当たる。おそらくジルニトラを頼り、事に当たるはずだ。面会の約束はすんなり取れるだろう。もちろん、それは明日になるだろうが。


さてと…それでは残された俺達はどうするか?ここに残っていても特にやれることはないだろう。ならば…いったん戻るか?


「後のことは私がやっておきますから…ショウさん達は『ピーノリブロ』に戻っておいてください」

なんやかやと考えていると、セブラーの方が気を利かせてくれた。


「そうか…それなら後のことは任せたぞ」

事後処理は俺達よりもセブラーの方が慣れているだろうしな。


詰所を出ると、外には数人の魔法戦士が手持ち無沙汰な様子で突っ立っていた。どうやら俺達に遠慮していたようだ。パルシファルの魔法戦士なんだから気にすることなんてないのに。それでも待たせていたことに変わりはないからな…軽く会釈して、俺達はその場を後にした。

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