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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第1章 魔剣の使い手

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大陸への第一歩

「少し休憩にしましょうか?」

机の上に置かれた時計を見ながらユリーシャが言った。文字盤を指す時計の針は、もう21時を過ぎている。正直に言うと、少し眠い。


「そうだな…」

俺は少しばかり体を動かし、眠気を振り払った。この間にシルフィアが新しい紅茶を持ってきてくれる。ありがとうございます。


「まず、魔法使い達が目指したのはアルカザーマ地方です。この辺りですね…」

ユリーシャが用意した地図には、真ん中に大きな大陸が描かれている。それがエルベシア大陸だ。この地図ではレガルディアは右端に小さく描かれ、マウレア海を挟んだ対岸がアルカザーマ地方である。


「大陸への第一歩としては理想的だな」

「そうですね。アルカザーマ地方は当時から複数の都市国家が発展していました。これらの都市国家は様々な協定を結び、対外的にはアルカザーマ連合と称していました。この頃は10の都市が連合に参加していたので、テン・スターズとも呼ばれていたのですよ」

それぞれの都市国家を星に見立て、テン・スターズとしたようだ。いい名前だね。


「当時のアルカザーマ連合は窮地に立たされていました。アルカザーマ地方の西にあるダラカニ山脈を越えると…ここに中央平原が広がっていますよね?」

ユリーシャが机の上に身を乗り出しながら地図を指し示してきた。距離が近くなったのでいい匂いがします。


「この中央平原諸国の一つ、ロレイマーニ王国が急速に台頭し、中央平原の統一は時間の問題と思われていました」

風雲急を告げる展開だな。


「ロレイマーニの次の狙いがアルカザーマ地方にあるのは明らかでした。この時、連合はロレイマーニに抵抗するのか、それとも服従するのか、意見が割れ分裂の危機に陥っていたのです…」

どっちを選んでも…ってヤツだ。


「この国難にあって、連合の盟主として君臨していたミスワキの国王はある決断を下します」

「それがレガルディアとの同盟…って訳か?」

正直に言って、それ以外にはないと思うぜ。


「はい…ただ、この決断はミスワキの独断で行われました。当然、その後に開かれた連合会議は紛糾することになります。しかし、最終的には了承されました」

渡りに船ですね。


「レガルディアは連合の貴族とレガルディアの貴族の間で積極的に婚姻を結び、それを楔にして魔法使いを移住させ、アルカザーマへの影響力を強めていきました」

これはレガルディアお得意の同化政策ってヤツだ。


「一方で連合もダラカニ山脈を抜ける交通の要衝であるレトの谷に、レガルディア軍が常駐することを求めました」

地図で見ると、レトの谷を通らないルートはダラカニ山脈を北へ大きく迂回するルートしかない。かなり遠回りだ。ロレイマーニが攻め込んでくるとすれば、間違いなくレトの谷を通るはずだ。


「レガルディアの魔法使い達はダラカニ山脈の岩や石を使い、レトの谷の入口に砦を造りました」

この砦は三重の城壁に囲まれ、城壁と城壁の間にはバラの魔法樹が植えられている。間違いなくロレイマーニを意識したもので、当時は城門もミスワキ方面にしかなかった。


「さらにこの砦の周囲に新たな城壁を造り、レガルディアの人々を次から次へと移住させていきました」

砦を中心とした城塞都市の建設か…かつて辺境の開拓でもやっていたレガルディアの十八番だな。


「その際に街道は昔のライラリッジのように、ややもすれば場当たり的に造られました。しかし、ライラリッジのような迷宮都市にならないように、気を付けて造られてもいました」

「計画的な無計画ってヤツだな」

都市の防衛を考えると、街道が整備され過ぎるのは考えものだ。


「矛盾していますが、そうなりますね。この地に移住してきた人々は、この新たな城塞都市をミルリーフと名付けました」

ひとまず、準備完了ってとこか。


「しかし、アルカザーマ連合はこのままではミルリーフがレガルディアの飛び地になるのでは…と危惧を抱き始めました。中にはレガルディアとの同盟を解消すべきだ、と声高に訴える者もいたそうです」

「随分と勝手だな…」

最も危ない所に駐留するよう求めたのは自分達だろうに。


「そうですね…確かにミルリーフにはレガルディアの人々が多く住んでいました。でも、アルカザーマの人々を拒んでいた訳ではありません。ただ、当時の状況からミルリーフへ移り住む人は、それほど多くなかったようですが…」

そりゃそうだ。


「そんな折に、危惧されていたロレイマーニの侵攻が始まりました。しかし、ミルリーフの魔法戦士はこれをあっさりと撃退します」

さすがですね。


「これを機に、レガルディアはミルリーフをさらに整備し拡張していきました。なぜならロレイマーニの国力を考えると、今回の侵攻が様子見であることは明らかだったからです」

その見立ては間違っていないが、問題もあるぞ。


「それだとまた連合から反発を食らいそうだな…」

「もちろん食らいました!」

ユリーシャは思いっきり開き直っている。当時ミルリーフに移住してきた人々も、きっと同じだったんだろう。


「しかし、レガルディアの懸念していた通り、再びロレイマーニの侵攻が始まりました。今回、ミルリーフの魔法戦士は籠城することを選びました」

さあ、連合はどうする?


「事ここに至ってもなお、連合は意見を集約することができずにいました…」

「本当に同盟してんのか?」

信義則にもとるってヤツだろう。


「で、ですよね…しかも今回の侵攻はこれだけではありませんでした。ロレイマーニは北回りでも攻めてきたのです」

おいおいおい…。

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